推し活を否定します。なぜなら2023年だからです。

人生:スピリチュアルブログ
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2013年頃、私はこう言いました。
「今時テレビなんて見てるの? バカなの?」

2023年の今、私はこう言います。
「今時推し活なんてしてるの? バカなの?」

今時ゲームなんてしてるの? バカなの?

誤解のないようお断りしておきますが、これは「変易」の話であって「不易」の話ではありません。

1980年代にテレビを見ていることはむしろ当たり前で自然なことですらありました。
しかし、2010年代にテレビを見ていることはむしろ時代遅れになりました。

同じく2010年代に推し活をすることは自然で流れに乗っていることでした。
しかし、2020年代に推し活をする人は悲しいかな「搾取される情弱」になりはてています。

昔からリンデンバウムブログをお読みの方はご存知かもしれませんが、私は生粋のオタクです。鎧伝サムライトルーパーのやおい同人誌を作っていた腐女子です。高機動幻想ガンパレード・マーチのシバムラティックバランス(高難度ゲームにおける高難度設定)をプレイするようなドMゲーマーです。

その私が言うのです。
「今時推し活なんてしてるの? バカなの?」
「今時ゲームなんてしてるの? バカなの?」

これは、2018年には考えもつかなかった言葉です。
しかし、2023年の今は違います。
5年前に「素敵なこと」が、5年後には「唾棄すべき行動」になっています。

それくらい、今の時の流れは早い……。

2020年代に推し活(オタ活)したりゲームにはまるのは、害が大きい。
私はそう感じております。

「アイドルに夢中になるのは恥ずかしい」という真っ当さ

ほんの10年ほど前まで、
「大人がアイドルに夢中になるなんて恥ずかしい」
という常識がありました。

今は推し活の名の元に、大人が堂々とアイドルを応援する風潮があります。
しかし、その流れに陰りが見えてきたのではないでしょうか。

「いい年してアイドルが好きだなんて恥ずかしい」
この真っ当な考えが復権してきていると、私は感じます。

この半年ほどで、芸能人に対する見方はがらりと変わりました。
ジャニーズの性加害問題がきっかけです。

感度の高い人は、ガーシーの暴露の時点で思ったことでしょう。
「芸能人を推す行為は、今の腐りきった芸能界のシステムを延命させることになる」と。

芸能界(興業の世界)は伝統的に性加害(性接待)が横行する業界です。

私は小さな頃に母がこのように吐き捨てた言葉を覚えています。
「歌手や女優をやるだなんて、育ちが悪いってことよ」

「河原乞食」という言葉があります。
芸能をやる人に対する差別用語です。
つまり、もともと芸能人は「そういうふうに」見られていたと言えます。

私はあるアイドルを応援していました。
彼女はスキャンダルの出ない清純派として有名でした。
ドルヲタはこう言いました。

「あの子は俺たちを裏切らない」

私は笑顔でステージに立つ彼女を見て思いました。
「麻友は本当にえらいなあ。非常に真面目な子だなあ。若いイケメンには目もくれず、愛人として肉便器として日々おじさんに股を開いているのだ」と。

彼女は精神を病んで芸能界を引退しました。
私はそれからアイドルを推すことをやめました。

男性アイドルも、似たようなものです。
それは一連のジャニーズ問題が証明しているでしょう。
声優だって2.5次元俳優だってVtuberだってそうです。

芸能界は、そういうところです。
そういうところにいる人たちを応援する(推す)ことは、そういうシステムを支えるということ。

私は、もうアイドルに夢中になる行為を肯定できません。
過去アイドルを推していた自分を恥じています。

大人がアイドルに夢中になるなんて恥ずべきことです。
浅はかでした。
もうしません。

「推し活」それは完成された搾取システム

2023年の今、推し活を積極的に否定する理由がもう一つあります。
それは、推し活があまりにも完成度の高い搾取システムになりはてているからです。これはゲームへの課金も同じです。

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2012年、電通がオタク層の視点でマーケティングするプロジェクトチーム「オタクがラブなもの研究所」を発足しました。
オタクの消費行動に天下の電通様が目をつけたのです。

それから10年。
「推し活」「オタ活」は見事にクールな行動様式として定着しました。
オタクであることはかっこいいことになりました。

さすがは天下の電通様。
大衆誘導にかけて右に出るものはない。
現代日本におけるハーメルンの笛吹きであります。

10年前は、オタクであることはそれほど害ではありませんでした。
「オタクであることは恥ずかしいので、堂々とできない」ということが本人的には害だったくらいでしょうか。

しかし、今の推し活やオタ活は害です。
害というか、高度に発達した搾取システムです。
「楽しいのが一番」と快楽に流されると、見事に吸いとられます。

私がこう忠告しても、推し活をする人はします。
覚せい剤は良くないよといっても依存する人はするのと同じです。

しかし、私はちゃんと自分の意見を表明する必要性を感じています。
「私、○○を推してます!オタクです♪」と笑顔で言う人に「そうなんですね」と返しつつ(この人は搾取される人生を選んだのだな)と冷めた目で見ていることを知っていただきたいからです。

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推し活をしてオタ活をして「楽しい」というあなたを、私は尊敬しません。

それでも、推し活は、正しい。

ここまで書いておいてなんですが、これからも一般的には推し活は肯定され続けることでしょう。資本主義的な流れとして、推し活は実に正しい行動であるからです。戦時中に臨時国債を買うレベルで称賛されることでしょう。

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末期的な資本主義システムを何とか延命させるために、情報弱者から搾取するのは非常に大切なスキームです。まさしく、推し活に金銭をつぎ込む層は「経済を回している」のであり、ある側面からすれば現代資本主義の救世主ですらあります。

だからこそ、2020年代の推し活やソシャゲはこれほどに効果的で搾取的なシステムに進化した・・・・わけです。正しく時代のニーズに沿っていると言えます。

そして、推し活やゲームは「現代におけるユース・バルジ現象の防止として非常に効果的」であります。

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「おもしろき こともなき世を おもしろく」

こちらは高杉晋作の辞世の句として有名ですが、彼の作った騎兵隊の主力は農家の次男以下だったといわれています。

彼らは普段生きる楽しみのない、「希望は、戦争。」(赤木智弘さんの最初の論文のタイトル)な人々ですから、遮二無二奮闘して内戦を煽り立てて最後は幕府軍まで追い払ってしまう。

今日でも、血気盛んな若年層の過剰人口に適切なはけ口(政治的なポストや経済的なパイ)が与えられない場合、極右・極左の革命やテロに走りがちな傾向があることが「ユース・バルジ」現象として注目されています。

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日本は暴動が起こらない国として「穏やかな国民性」だなんて言われていますが、歴史を見れば全然そんなことはありません。

50年ほど前は学生が機動隊に火炎瓶を投げていましたし、200年前には百姓が一揆を起こしていましたし、600年前には戦国時代で田畑に死体がごろごろ転がっていました。

令和にSEALsの後継のような学生たちが出てこないのも、「推しが尊い」ムーブメントと無関係ではないと、私は考えております。

人生や将来のことを考える前にスマホで即時に推しが見られる。ライブ映像が見られてガチャを回せて人格全肯定よしよしASMRが聴ける。癒される。

なんで社会のことなんか考えなきゃならないんですか、バカバカしい。「よしよし。いっぱい頑張ったね。吐き出していいからね。ぎゅっ。囁き・耳ふー・心音・ふわふわ」これが世界のすべてでしょう。推ししか勝たん。

更に、社交の手段としても推し活は大切です。
若年層にとって推し活やコンテンツ消費(オタ活)は「会話の手段」でもあります。みんなが押さえていそうなコンテンツを消費せねば、話題に入っていけないのです。

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まさに、推し活は今の世ど真ん中の正しい潮流と言えます。
これからも推し活をする人はいることでしょう。
そして、搾取されていくことでしょう。

推し活。
それは、現代のアヘンなのです。

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