歌舞伎役者・市川猿之助さんがセクハラやパワハラをしていたという週刊誌記事が出ました。

その後にいたわしい事故(事件?)も起こり、ファンの中には「猿之助の演技は素晴らしい。歌舞伎役者にとって遊びは芸の肥やしだ」と猿之助さんをかばうような論調もみられています。
芸の素晴らしさと、本人の人格は分けて評価してほしいということですね。

いい作品を作れば
必ず見る側はわかってくれる!
作家は余計な言葉は語らずに作品で語るべきだ!
こう思っていらっしゃるクリエイターは、昭和の時代には珍しくありませんでした。
例えば、声優や編集者は裏方なのだから表に出るべきではない、と考えられる方も多くいらっしゃいました。
しかし、今の時代はもうそうではないようです。
クリエイターは人格をも作品の一部にせねばならない。
「どんな人間がどんな想いで作ったのか」を積極的に(SNSやメディア等で)発信しなければならない。
コミュニケーション能力があり人格的に優れていて性的にも清廉な人が作る作品。それでこそ「素敵な作品だ」と受け手は安心して受け取れるのですね。
いくら作品が素敵でも、本人の素行が悪ければ作品の価値も下がってしまう。
今はそんな時代になったようです。
なぜなら、あのピカソやダリ、バルテュスの価値が下がっているから。
「既婚者であったにもかかわらず不倫をして愛人を作り、女性に対して不快かつ不適切な行動をしていたから」という理由で……。


当然の話ですが、ピカソの作品は変わりません。
ゲルニカが次の日になったら青の時代の作品に変わってた、なんてことはありません。
しかし、作品の評価は時代によって変わります。
時代の価値観によって、優れている作品に見えたりそうでなかったりします。

これは占いでもそうです。
昔の価値観で「良かったホロスコープ(命式)」も今の価値観では「あまりぱっとしないホロスコープ(命式)」と判断されたり、逆に悪いと言われていたものが良いと逆転評価されたりもします。
つまり「絶対的に価値のある作品(ホロスコープ・命式)」なんてものは、そもそも存在しないということですね。

興味深いのは、現代人がピカソやダリの作品自体を見て「なんだか不快だ」と思っているわけではないことです。ピカソやダリ自身の生き方が嫌がられているのです。
「確かにすごく力のある作品かもしれないけど、この人不倫したんでしょう? 結婚相手以外と性的関係を結ぶ人って尊敬できないかも。その上、愛人にもパワハラやモラハラをしていたのでしょう? そんな人が作ったものはちょっと……」と。

ピカソやダリを侮辱するな!
アートをアートとして純粋に見られない人間は
アートを評価する資格なんて無い!!
なんて、古式ゆかしい愛好家の方は思うのかもしれません。
しかし、今の時代はそういう流れです。
「不倫をするような不潔な人の作品なんて、汚いから見たくない」。これが多くの人が抱く感覚なのです。
岡田斗司夫さんはこの流れを「ホワイト社会」という切り口で説明しています。
世の中がホワイト化することで「女遊びは芸の肥やし」は通用しない世の中になってきていると。
動画19:20頃~
松本人志ってワイドナショーが始まった時からずっと
「俺は不倫する不倫する不倫する」というふうに、ずっと言ってたんですね。これでもまだ控えてるんですよ。(中略)
結婚する前の松本人志は「いろんな女とヤってる」というのをずっといってたし、結婚してからもさすがに不倫してるとは言わないんだけれども「いずれ不倫する絶対不倫する」ってずっと言ってたんですよね。
それがだんだんだんだんトーンが下がってきて。
「ああ、これ、今のテレビで言っちゃダメなんだな」と。
あの人芸能界の最先端で生きてるからそういうの敏感なんですよね。(中略)
「芸人が不倫することは当たり前」というのは最近もう許されなくなっている。(中略)
この現代においてですね、一番いわれてはいけないことは
「不潔感がある」
ということなんですけれども、それを(不倫してるのは不潔でキショイと女子高生から)返されて多分ね、そこから松本人志は不倫問題に関してほとんど発言しなくなったんですよ。
2020年代において、不倫やセクハラやパワハラをするようなアーティストの作品は、はじめから見る価値が無い。才能や技術があるなし以前に、生き方に「清潔感」のない人はスタートラインにすら立てないのです。

ピカソやダリとは逆に、昔は忘れ去られていたのに評価が高まっている画家のひとりに、フェルメールがいます。
フェルメールは家にこもって絵を描く陰キャ引きこもりではありません。
30歳の若さで聖ルカ組合(芸術家のコミュニティ)の理事を務めるリーダーでありました。ちゃんと組織に属し、社会に適応できるコミュニケーション能力に長けた人だったのです。素敵ですね!
フェルメールは自分で稼ぐのではなくパトロンに資金援助してもらって絵を描いていました。今風にいうなら、作品作成のためにクラファン募ったら毎回500万円出してくれる太客がいる感じですね。
ご存知の通り、フェルメールは寡作です。
言い換えると「作品を量産せずとも生活できた」ということになります。年に2~3点描けばOK。
これも、パトロンから気に入られる人間性、人から好かれるコミュニケーション能力があったからといえましょう。人見知りをせずに、人と温かく心を通わせることができたのですね♥
そして、組織では頼れるリーダー。
色々な人とふれあうことで、成長することができたのでしょうね!
一人で家にこもっていては、狭い世界から出られない。人との出会いこそが、魂を磨いてくれるのです……♥
誰とも仲良くなれるって、内なる宝石を持っている状態といえます。
ただ在るだけでも、内から光があふれだす……。
そのコミュニケーション能力によって、キラキラ輝くのです!

(余談ですが、フェルメールの絵に使われている印象的な青。これは「ウルトラマリン」という顔料を使っています。フェルメールの時代のウルトラマリンは天然のラピスラズリを原料として使っていました。ですから、フェルメールの絵画はパワーストーンのエネルギーを持った絵画と言えるかもしれませんね!)
今の時代はアートを作る人こそ、「人好きのするパーソナリティ」が大切。
陰気に人を拒絶するのではなく、オープンハートでたくさんの人と笑顔で接することができるポジティブさが必要となるのですね。
ですから、今の世で売れるアーティストは素敵。
私はそう思います!