「ご先祖様」は「お墓」は、なぜ大切か?

人生:スピリチュアルブログ
写真AC

私が大好きなある歌があります。
めちゃめちゃメンタル上がる歌!
あなたも是非聴いてメンタル上げてください♥

負けないこと!
投げ出さないこと!
逃げ出さないこと!
信じ抜くこと!!
それが一番大事!!!

超絶ポジティーブ☆
実にその通りですね。
聴くたびに励まされます!

でね、この歌でこんなフレーズがあります。
「高価な墓石をたてるより 安くても生きてる方が素晴らしい」

これ、思うんです。
令和の今、20代以下の人にはこの歌詞の意味がわからないだろうな、と。

「高価な墓石」
このワード。意味が分からないでしょう。
だって、今は「墓じまい」がホットイシューですよ。

こんな令和2020年代の今、お若い方は想像もつかないかもしれないですけれども、20年くらい前までは「墓を守るために結婚して子どもをつくる」という人も、田舎にはまだいました。

私も20年ほど前、とある九州の本家の長男から「うちの墓は江戸時代からの先祖の骨が入っている」と話を聞いて「世界が違う……」と驚いたことがあります。

2005年頃の私

私、2005年からこの仕事をしております。
始めた当初は「ご先祖様が怒ってませんか」「ご先祖様が何か言ってますか」「ご先祖様は私のこと守ってくれてますか」というご相談も、たびたび承りました。

ご先祖様なんてもう生まれ変わってて、今はウガンダで3歳の少年かもしれないしラトビアで44歳のエンジニアかもしれないし、カンボジアで3児の母かもしれないのになあ。

出すぎたことを言うようですが、正直そう思ったものです。

でも、ご先祖様を、お墓を大切にする合理的理由はある。
元京都大学総長の山極寿一先生は、このようにおっしゃっています。

暴力はどこからきたか 人間性の起源を探る (Amazon)

長い間、狩猟採集者としての人類にとって土地の境界はさほど重要ではなく、集団のアイデンティティが個人をつなぎとめる器だったはずだ。ところが、農耕の出現は個人と集団を土地に帰属させ、土地を管理する者に大きな権限を与えるようになった。

境界によって所有権が明確になった土地は結合して大きな領域として管理されるようになり、それを統括するものが土地と同時に集団を統合する支配者となった。この構造的な改変が土地や境界をめぐる争いに引き起こし、集団間の戦争に発展する素地を作ったのだと考えられる。

しかし、人の一生は短いものだ。
生涯にわたって権利を主張できる土地の広さは知れている。

そこで、人類は死者を利用することを思いついた。
この土地は父からゆずり受けたもの、先祖代々の土地であると宣言することによって、その所有権を子孫へと継承していくのである。

墓はそのために建てられた。
人々が先祖を崇拝し、家系図を大事にするのは、先祖を引き合いに出して土地の権利を守れるからである。

狩猟採集民や遊牧民の社会には墓を作らない文化が多い。ピグミーもブッシュマンも死体を埋葬するが、墓というものは作らない。モンゴルの遊牧民は鳥葬で、死体を鳥に食わせて埋葬すらしない。

暴力はどこからきたか 人間性の起源を探る p224~225
太字強調は記事作成者による

なるほど!
農耕をはじめて定着生活になったから、「自分の土地」ができて、その土地を守るために「ここは先祖代々の土地だ」という”神話”を作り上げたわけですね。

農耕民族にとって土地のあるなしは死活問題ですから、土地を守るために伝統を作った。先祖信仰を作った、と。

スピリチュアルにみると、ちょっと違和感がある先祖信仰も、このような理由があるとわかったら「なるほど」と思いますね。農耕をする人にとっては、「先祖代々の土地」という概念はとても大切なのだ、と。

図録▽産業別就業者数の長期推移(サービス経済化)

ただ、グラフの通り第一次産業従事者が3.3%しかいない2020年。そんな現代においては、「先祖代々の土地を守る」という考え方が薄れてくる。これもまた、自然の流れと言えましょう。

この歌「千の風になって」も、昭和の時代では流行らなかったかもしれません。2000年代になったからこそ、人の心に響いたのでしょう。

農業従事者ではなくなったら、お墓はいらなくなる。
樹木葬でも散骨でもOK。
墓じまいも抵抗なし。

私も最後は灰にしてもらって、海でも山でもいいのでまいてもらいたいですね。
土に還る。無に還る。最高です。

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さて、主張をひっくり返すようですけれども、「ご先祖様が大事」「先祖代々の土地を守ることこそ人の道」という考え方も、実は正しいです。

サピエンス全史(上) 文明の構造と人類の幸福 サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福

サピエンス全史にある通り、人類は虚構を信じることで地球で覇権を握りました。

だって、世の中なんて虚構ですよ。
株式市場だって虚構だし、不動産だって虚構だし(そもそも海や大陸に線を引くこと自体がおかしい)、神話だって虚構です。全部虚構です。

ですが、その虚構こそを真剣に信じるからこそ、人類は発展したのです。
「天照大神が日本を守ってくだすっている!日本はひのもとの国である!」と真剣に信じて伊勢神宮にお参りするからこそ、発展したのです。

ですから、「ご先祖様が守ってくださっている」という考えも、馬鹿にできないものがあります。墓だって「そんなのただの石だろ、そんなところに魂は眠ってないよ」と言えないものがあります。

だって、スピリチュアルな大原則を思い出してください。
「宇宙はあなたの思念を現実化する」

「ご先祖様のたたりだ」と思えば、そうなんですよ。
「ご先祖様が怒ってるから地震が起きた」と言えばそうなんですよ。
……そう。「氏神様(土地の神社の神様)が祟り殺した」と言えば、そうなんですよ……。

つけびの村  噂が5人を殺したのか?(Amazon)

2013年、山口県の限界集落で起きた連続放火殺人事件。たった12人の集落で、5人が殺される惨事。平成の八つ墓村と言われました。
その事件を追った、つけびの村  噂が5人を殺したのか?。(文庫版は2023/3/7に発売予定です

このルポルタージュは、映画・シックスセンス並みの大どんでん返しを見せます。
超ネタバレなので、これから本を読みたいと思っている人はここで記事を閉じてください。

そのどんでん返しとは。
集落の長老が、事件の真相を語った時に起きました。

殺されたのは5人で、結局、そのあと3人死んで、8人死んだ。

事件では5人死んでる。
その年の初めと12月に、女と男が死んじょる。
そして河村がひとり後から死んで、合わせて8人死んだ。

その中で事件に関係したというのは、間接的には関係しとるんかもしれんが、事件で死んだ5人と河村は、完全に事件に関係しとるからのう。

氏神様をボロクソ言いよったのよ。

「氏神様があっても同じことで神主もつまらんし、氏神様もつまらんし、わしはもう氏子でもなんでもない」と口々にみんな言いよった。

それ言った人はね、全部淘汰されたね、あの事件で。

考えてみるとね、氏神様のことで喧嘩したり文句を言ったり、神主の悪口を言ったり、氏神様の氏子を外れるちゅうて駄々をこねたりするのは……すべて……すべて、今回の事件で死んでる。今考えてみると氏神様ちゅうのは力が強かったんやなと思うよ。(中略)

地域を乱したからあの人は一緒に殺されたんやな。
氏神様が始末したのよ。生きちょってもお前は役に立たんっち。

つけびの村  噂が5人を殺したのか? p224~225

なんということでしょう。
山口連続殺人放火事件は、氏神様の祟りだったのです!

犯人は妄想性障害を起こし(気がふれて)、村人を次々と殺していきました。
氏神様がそうした。という見解も、見方によっては成り立つのかもしれません。

ただ、このつけびの村  噂が5人を殺したのか?の著者も、この長老の話を聞いた時、「まさか……事件から10年経たなければ話せない真相というのは、氏神様の祟りだったのか」と戸惑いを見せています。一般的な都会人の反応としては、もっともなことでしょう。

しかし、本の中にもあるように、長老は本当に心の芯から、氏神様を信仰しています。氏神様の力で放火殺人事件が起き、「要らない人間が淘汰された」と考えています。

「ご先祖様の祟り」も同じです。
真剣に信じる人には、本当にあるものです。
だって、宇宙はあなたの思念を現実化するのだから。(それが”集団の思念”になったときには、もっと強力になることでしょう)

つまり、ご先祖様やお墓がどれほど大事なのか。
それを決めるのはあなたの心です。
あなたが大事だと思えば、それは大事なのです。

さて、あなたにとってご先祖様は大切なものですか?
お墓は守るべき大切なものですか?
それを決めるのは、あなたの心です。

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