成功体験は失敗の元。自信なんて無くていい。

ビジネス:スピリチュアルブログ
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成功体験がないから
一歩を踏み出せないんです……

この言葉に、20代の私なら「そうだよね、わかる」と言ったでしょう。
しかし40代の私はこう思います。
「何言ってるの、成功体験があるからこそ大失敗するんじゃない!」

失敗は成功の母。
つまり、成功は失敗の母。

「大きすぎてつぶせない」成長の悲劇

成功している成長企業といえば、GAFA。
グーグル、アップル、フェイスブック(現メタ)、アマゾンの略です。
GAFAやビッグテック企業はコロナ禍でさらに成長し、「成功」をおさめました。

だがしかし――。

GAFA next stage ガーファ・ネクストステージ:
四騎士+Xの次なる支配戦略(Amazon)

新型コロナのパンデミックは、ビッグテックの悪行から目をそらすという効果をもたらした。そもそも現代では、どんなニュースも12時間も経たないうちに忘れられていく。それにパンデミックと国家の無能ぶりが重なり、他のすべてのことが軽く見られてしまった。

しかし人々が注目していようがいまいが、歯止めなき成長と市場支配によっておびただしい数の問題が生じている。(中略)

「大きすぎて潰せない」企業にとって正しい戦略は、特大のリスクを負うことだ。成功の手柄は自分たちのものになり、失敗したときのつけは社会のものになる。つまり、政府から救済してもらえるのだ。

このリスクの非対称性のために、銀行はレバレッジを利用し、世界的な経済危機を引き起こしそうになった。

ビッグテックにとっての正しい戦略とは「何も悪いことは起きていない」と無視を決め込むことだ。選挙妨害、十代のうつ病、反ワクチン、若者の先鋭化、雇用喪失……彼らはそんな問題はどこにもないかのように振る舞うだろう。

GAFA next stage ガーファ・ネクストステージ:四騎士+Xの次なる支配戦略 p100~102

「大きすぎて潰せない」!
“Too big to fail”。
この言葉を私たちは15年ほど前に、何度聞いたことでしょう。

そう、リーマンショックで。

Too Big to Fail: The Inside Story of How Wall Street and Washington Fought to Save the Financial System–and Themselves (Amazon)

Too Big to Fail: The Inside Story of How Wall Street and Washington Fought to Save the Financial System–and Themselves 
日本語版ではリーマン・ショック・コンフィデンシャル上 追いつめられた金融エリートたち (ハヤカワ文庫NF)

この本を読みながら、30代の私は思いました。
「オッサンwwアホやなあwww」
まるでコントじゃん、と思いました。

この本は、当たり前ですがリーマンショックの後に書かれています。
つまり、この本を読むとき読者は「結末を知っていて」読むのです。
だからこそ、「成功体験」に彩られたリチャード・ファルドが自信満々に破滅へと向かって猛ダッシュを決めていく様子が、きわめて滑稽に印象づけられます。

そう。
今。私は、書きました。
「成功体験に彩られたエリートが、自信満々に破滅へと向かって猛ダッシュ」と。

30代に比べてより多くの成功体験(+失敗体験)を積んできた40代の私が、今この本を読むと背中に冷たいものを感じます。
「ヤバイ。私も『こう』なるかもしれない」と。

もちろん、ファルドに比べたら私の成功体験など(もちろん失敗経験も)ミジンコレベルです。
しかし、「成功体験を積んできた人間がその自信ゆえに崩壊の道を歩む」というストーリーは普遍的であり自分事である、と感じるのです。

易を勉強しているからこそ、余計身に沁みます。
盛者必衰。亢龍悔いあり。GAFAと持ち上げられてきたフェイスブック(現メタ)の迷走ぶりも、その言葉が真実であることを裏付けます。

フェイスブックの失墜(Amazon)

「成功体験があるから上手くいく」のではないのです。
成功体験があるからこそ、自信をもって(うぬぼれすぎて)失敗するのです。
成功体験はプラスに働くことばかりではありません。

「自分には成功体験が足りない。成功体験こそが必要だ」と思われているならば、ぜひ上記のリーマン・ショック・コンフィデンシャルを一読してください。成功体験が目を曇らせる現象、エグイです。

「自信がないからできない」の嘘

「成功体験がないから一歩を踏み出せない」
これと似たこんな言葉もよく聞きます。

自信が持てないから
できないんです

いやいやいや。
いやいやいや。
何を言うんですか。

「自信がないからできない」なら、人間何もできなくないですか?

私、昔から人に言われるんですよ。
「自信があってうらやましい」って。
とんでもない! 自信なんて、全然ありません!!

私は行動力が鬼のようにある「思い立ったら即実行」人間なので、自信があるように見えるのでしょう。しかし、自信なんてありません。

考えてみてください。
そもそも未経験のことに対して自信があるっておかしくないですか?
それって単なる傲慢であって、根拠のないうぬぼれにすぎないでしょう?

やってみたことない事柄に挑戦するときは、自信を持ちようがない。
未経験なんだから当たり前です。

自信があるからやるんじゃない。
自信がないけどやるんです。
自信がないけど、やりたいからやるんです!

私は体育会系脳筋だから、「自信がない」と悩む前に身体が勝手に動いちゃいます。

超典型的な、体癖5種
自信があるわけではない。
脳の作りが極単純なだけです。ウェイッ!!!

でもね、本来はみんな「自信がないけどやってた」はずなんですよ。
忘れちゃってるだけで。
つまり、「赤ちゃんの頃」はそうだったんです。

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赤ちゃんははじめ寝たきりです。
でも、半年くらいで寝返りができるようになり、ハイハイをし、1歳くらいにはつかまり立ち(たっち)ができるようになります。

でも、すぐにたっちできるわけではありません。
何回も何回も、失敗します。
時には派手に尻もちをついてウェーンと泣いてしまいます。

そこで自信を失って、立とうとすることをやめるのか?

もしそこでやめていたならば、今あなたは立つことができていません。
でも、今両足で、立っているでしょう?
そう、赤ちゃんの時のあなたはあきらめなかったのです。

何回も失敗して、何回も上手くいかなくて。
でも、それでも繰り返し繰り返し(自信なんかないけど)「立つこと」に挑戦しました。
だから、今のあなたは両足で立つことができています。

赤ちゃんだった時の自分を思い出す――のは難しいかもしれないけれども、そもそも自分は自信がなくてもチャレンジする人間だったのです。その現実を「自分は足で立てる」という事実から知ってください。

赤ちゃんの時のあなたは実績ゼロです。
自信なんて持ちようがありません。
でも、チャレンジして立てるようになりました。

自信がないからできない?
違います。
自信がなくてもやるんです。

何回失敗してもやるんです。
だから成功するのです。
失敗は成功の母ですから。

無限の成長? それは棺桶に足を突っ込むってこと

GAFA next stage ガーファ・ネクストステージ:
四騎士+Xの次なる支配戦略(Amazon)

ギャロウェイのGAFA next stage ガーファ・ネクストステージは2020年の発行です(日本語版は2021年)。ですから、2022年の今では「答え合わせ」感覚で読むことができます。

そのせいか、上で引用した一文
「歯止めなき成長と市場支配によっておびただしい数の問題が生じている」
ここに私は引っ掛かりを覚えました。

歯止めなき成長?
そんなものはありえない。
旺じるものは必ず衰えるのだから。

この本の執筆時(2020年)は多くの企業を尻目に、GAFAやビッグテックの時価総額はうなぎのぼりでした。しかし2022年の今は違います。

テック株の下落の背景には、大手の「高成長神話」に陰りが見えたこともある。動画配信の米ネットフリックスは会員の減少に直面した。四半期ごとに比較可能な12年以降で減少は初めてだ。米アルファベット(米グーグルの親会社)は22年7~9月期、動画共有サービス「ユーチューブ」の広告売上高が前年割れに。メタ(旧フェイスブック)とアマゾン・ドット・コムの営業利益は前年同期のほぼ半分になった。

テック業界浮上せず 高成長神話陰りバブル崩壊、株価「二番底」も:日経ビジネス電子版

コロナ禍の巣ごもり需要を背景に、ビッグテックは業績を伸ばしました。でも、今その反動が起きているのです。22年1~12月初旬にリストラをしたテック企業は930社を超え、14万人超が職を失いました。【参考】Layoffs.fyi – Tech Layoff Tracker and Startup Layoff Lists

皮肉にもコロナ禍の好調で高コスト体質になってしまい、バランスを崩したのです。
旺じるものは衰える。陽が極まれば陰転する。

Youtubeの広告売上高が前年割れに。このニュースって人気Youtuberラファエルの「収益10分の1」発言とリンクしてますよね。

去年あたりから「Youtubeの広告単価が下がった」と、チラホラ声は聞こえてきます。今は絶対王者に見えるグーグルだって、この先安泰とは限りません。
旺じるものは衰えるのです。

(だから懲役太郎さんが「あんまり(数字が)ハネすぎないようにしてる」という戦略は賢いなと思います。亢龍にならないための知恵といえましょう)

「歯止めなき成長」があるとしたら、それは企業が死に向かう前ぶれです。人だってガン細胞が無限増殖することで死にます。
無限成長が意味するもの。それは、死滅です。

OSHO風にいうなら「これも、また過ぎ去る」
(This too shall pass.)

日本語字幕が利用できます

限りない成長があるとしたら、それは魂の中だけでしょう。
二元性の世界にあるものは、かならず成長した後衰えます。
精神や魂は物質にはとらわれないので、無限の成長が可能なのです。

素敵なビジネスパーソンであるあなたに、魂の成長が訪れますように。
リンデンバウムはビジネスを頑張るあなたを応援します!!!

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