合理的なキャリアパスとしての結婚~損する結婚 儲かる離婚

人生:スピリチュアルブログ
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そして、私たちは恋をしなくなった

2000年代の私

私は、スピリチュアルカウンセリングをはじめて17年目になります。
「十年一昔」とは良くいったもので、「二十年ふた昔」といえるくらい、この仕事をやってきました。この仕事を通じて世の中の変遷も見てきました。

約20年前、00年代の持ちこまれる悩みと、20年代の今持ち込まれる悩み。
全然違います。
どう違うと思いますか?

00年代に一番多かった相談。
それは、恋愛・不倫・結婚です。
この3つで9割と言っても過言ではありません。

一方20年代の今多い相談は。
それは、経営・移住・投資です。
この3つで6~7割です。恋愛相談は200件受けて1件くらいのレアレアケースとなります。SSR枠。

セクシャルエネルギーについてのご相談もありますが、入り口は経営だったりします。そう、経営相談していると、「それは性エネルギーの別の形の表現ですよね」という話になるのです。そして、ビジネスの解決よりも性生活の見直しから手を付けたほうが良い、なんてケースもあります。

しかし、それはあくまでも性エネルギーの話であって、惚れた腫れたの話ではありません。恋愛でも不倫でもなかったりします。

ある日、アラフィフの女性経営者と話をしていた時のこと。

今の若い子って、夫婦で仲が良いわよね
なんていうのかしら、夫婦ってよりも兄妹みたいなの
20代なのに30年連れ添った老年夫婦みたいな空気感

この話を聞いて、私は「ああ、そりゃスピリチュアルセッションで恋愛(結婚)相談が減るわけだ」と納得しました。

00年代の女子にとって結婚とは、「素敵な王子様に選ばれてプリンセスになれるハッピーエンドな人生のゴール」でした。

20年代男子
20年代男子

申し訳ございません
何をおっしゃりたいのか
意味が分かりかねます

すいません。
20年代の今に、90~00年代のあの「恋愛さえしていれば人生全部上手くいく」系ムーブメントを正確に伝えるのは、60年代にヒッピーが薬物摂取で悟りが開けると本気で思っていたことの正当性を伝えるのと同じくらい難しいです。

しかし、当時の女子のマジョリティは、本気で、そう考えていました。
だからこそ「結婚できない女は不幸」で、「結婚できない女は負け組」で、「結婚したくない女は頭がおかしい」こんな価値観だったのです。

あの異様な空気感は、岡田斗司夫さんの結婚ってどうよ!?に忠実に再現されております。体験してみたい方、00年代を懐かしみたい方は、ぜひお読みになってください。

00年代を生きる女子にとって結婚は血眼になって情熱を注ぎこむべき一大イシューでした。
「彼と私はツインソウルかどうか」は、非常に重要な問題だったのです。

00年代女子はこぞって聞いたものです。
「私の運命の相手は誰なんですか!?」

その目には情熱の炎が宿っていました。「自分をプリンセスにしてくれる男性」を見つけ出す「つまらない自分の人生から脱却できる唯一の道が結婚」なのですから、熱が入るのも当然ですネ。

(一方で00年男子は、過去世とか使命とか、もうちょっとスピリチュアル寄りな相談をしていました)

ところが、20年代の現在、そんな情熱をもって「ツインソウルを探す旅」に出ている人はまずお目にかかりません。
正直、夫婦関係のお悩み相談は、あまりありません。

なぜなら、上の女性経営者が的確に表現したように「夫婦ってよりも兄妹みたい」だから。はじめから情熱的な関係ではないから。

00年代女子のような「彼がいなきゃ私生きていけないんです!彼と出会うために私は生まれてきたってわかってます!」なんて言葉は、20年代女子の口からは出てきません。

20年代を生きる若者たちは「結婚」に対して割り切っているのです。自分に合った、安定した生活を営める相手。そういう相手を恋愛感情ではなく「人として好きかどうか」で判断し、冷静に結婚しているのです。

結婚に、夢を見ていないのです。
結婚は、現実生活なのです。

これは実に正しい判断であり、00年代女子、つまり今のアラフォー~アラフィフ女性(もちろん私も含みます)が恋愛・結婚に対して頭お花畑過ぎただけの話です。

自分の親世代が「結婚したいのはセックスの相性が合う男!」なんて頭の悪いことをいって高校中退のヤンキーとデキ婚し貧困シングルマザーになったり、「ツインソウルの彼と私は幸せになれる!」と結婚してみたらアルコールとセックス依存の男だったり、まさにリアル「Sex and the City」を繰り広げるのを見てきて、「恋愛に命かけると人生詰むな」と、ミレニアル世代は賢く理解してきたのでしょう。

だから、割り切ってるのです。
結婚に夢を見ていないのです。

ある大企業にお勤めの女性は、「安定した今の仕事では、自分の本当の力は生かせない」と感じていました。周りからすると「なんて贅沢な!」という話です。しかし、彼女は独立して自分の力を試したかったのです。

そこで彼女が選んだ道は、結婚でした。
20歳以上年上の、地位も財もある男性の後妻になることを選んだのです。

彼女は、非常に冷静に言います。

彼に異性としての魅力は感じていません。
正直セックスは苦痛です。したくないです。
しかし、それさえ我慢すれば、彼の人脈と財力が手に入る。
彼の人脈があれば、私はしたいことができるんです。
それを考えたら、週3~4日の「夜の御勤め」くらいは我慢できます。
彼の力なしに、ゼロから積み上げるのはものすごい労力です。それを考えたら、夜30分の忍耐なんて軽いものです。

清楚でいかにも高学歴な優等生然とした彼女が、淡々と「ジジイに股開く代わりに人脈と金をもらいます」と話すのに、私は圧倒されてしまいました。
彼女は、本当に腹をくくって、覚悟して、結婚という道を選んだのです。自分のために。

その勇気に、私は尊敬の念すら湧きました。自分は「好きな人じゃないと一緒にいたくない」だなんて00年代女子にありがちな甘っちょろいことを想っているからです。私にはできないことを、この若い清楚な女性は覚悟を持って為そうとしている。その姿勢をどうして浅はかな正論で糾弾できましょうか。

そして、賢い彼女は結婚生活をこうも見抜いています。

彼は若い女が好きなので、私と結婚しても別の女と浮気するでしょう。
そうすれば、私の夜の負担も減ります。
そして、私が浮気やDVなどの不適切な行動をしないかぎり、彼の不始末を握っておけばそうそう簡単に離婚できません。
もし別の女に行きたがったとしても、別居して婚姻費用を請求すれば3年くらいは引っぱれます。

その間に、彼の人脈を私の人脈に置き換える作業を完了すればよいのです。

ああ、そうか。
実は20年代の今「損する結婚 儲かる離婚」は「打算的な冷酷人間が読む本」ではなく、むしろ過酷な現実をサバイブせねばならぬ20年代の若者にとって「救済の書」にすらなるのか。

「婚姻費用」
この法律用語が清楚な彼女の口から飛び出した瞬間、私はそう思ったのです。

損する結婚 儲かる離婚

婚姻費用。
それは、例えば、「専業主婦の妻が浮気して別居したとしても、夫が別居中の妻に毎月支払わねばならない生活費」です。

つまり、法律では「パートナーに自分と同じレベルの生活をさせる義務」があって、稼いでる方は稼いでないほうの経済的な面倒を見なければならないのです。それが婚姻費用、別名「コンピ」。

どれだけ相手が悪いことをして離婚するために別居することになっても、自分が稼いでいて相手が稼いでいないと、婚姻費用を支払わねばならないのです。相手がDV人間だろうと浮気者だろうとギャンブル狂いだろうと。

彼女は若いころに結婚して子どもを作ったが、その後に離婚して子どもをひきとったシングルマザーであった。

彼女は実家の両親と協力して子育てしながら、離婚後も仕事を頑張り、経済的にはとても成功していた。そんなキャリアウーマンである彼女は、やさしいひとりの男性に出会い、恋に落ちた。

彼は定職には就いておらず、収入は不安定だったが、とても誠実で心優しい男性だった。また、前の夫との子どももかわいがってくれた。彼女はその男と結婚することにしたのだ。

しかし結婚してほどなくして、彼の誠実さや優しさは失われていった。詳細は書かないが、彼女は夫のことを愛することができなくなった。

そこで、彼女は離婚する決心をしたのだが、その後の展開がまさに、本書に書いたとおりであった。

彼女はコンピ地獄にハメられ、毎月、かなりの金額を別居して家にいない夫に送らないといけなくなった。

そして、彼女の夫は、裁判で、彼女がこの期間に稼ぐことができたのは夫である自分が家事や子どもの世話などをしたからだだと主張し、また、実際にはほとんどかまっていなかった彼女の子どもにも、自分という父親が必要だ、と強く主張している。

そして、どうしても離婚したいなら、数千万円を払うように、案に脅されている。

筆者は、彼女にまだ出版されていない本書の原稿を送ってあげた。
本書は女性にこそ読んでほしい本なのである。

損する結婚 儲かる離婚 p205~206

私は、基本的に「結婚という制度が自分にメリットがあるならしたほうがいいし、メリットがないならしないほうが良い」派です。

リンデンバウムは「子どものいないあなたのためのスピリチュアルサロン」です。ですから、若い人に対しては「子ども作らないなら結婚なんてしなくてもいい」、そして「50歳過ぎたら籍を入れたほうが何かと便利」と考えています。

私は、結婚制度のメリットは「子どもを育てるのに便利」「財産を受け継ぐのに便利」この2点だと考えています。
しかし、上の損する結婚 儲かる離婚の視点を持ち込むならば、「(自分に経済力がない場合)相手に婚姻費用を払わせられること」もメリットと言えるかもしれません。

そう考えると、合点がいくことが一つあります。
「今の若いエリート男性は、高学歴女子と結婚したがる」という現象についてです。

「稼げる女」を求めるエリート男子

私の世代では「高学歴女子」は鼻つまみ者でした。
それまで仲良く話していたのに、大学名を出した瞬間「アッ!すいません!」と敬語を使われて距離を置かれるなんて経験を何度もしました。

少し話はずれますが、私は就活に失敗して介護の仕事をやっていたことがあります。学生の時分では大学名を言った時点で「あ、頭いいんだね……」とそそくさと離れていく男性ばかりだったのに、「介護士」と自己紹介するようになったら「ええっ!?いいね!介護やってるなんて、優しいんだね!」とガッつかれて当社比5倍でモテるようになりました。

中身は何も変わらないんですよ。
肩書が変わっただけで、手のひら返されたんです。
世の中の男性は、高学歴の女を蛇蝎の如く忌み嫌うものなのだ。そう思い知らされました。

しかし、そんな時代から幾星霜。
今のエリート男子は、結婚相手に自分と同じ高学歴エリートを選ぶそうなのです。

高学歴女子が引かれず、むしろ望ましいと思われる時代!
なんてこった!
生まれる時代、20年間違えた!!!涙

それは単純に、今という厳しい時代を生き残るための戦略です。サラリーマンの収入で妻子を養えた昭和の時代は遠くになりにけり。

加えて、この「婚姻費用」というリスクを考えるとまた違った合理性が見えてきます。「経済的に相手と対等であること」こそが、一番リスクが少ないのです。

彼はとてもまじめなタイプの男だったので、妻の浮気が許せなかった。彼から離婚を切り出した。すると、彼の奥さんも、それを認めた。そして、彼女は家を出て行ってしまった。しかし、彼の長い苦悩はここからはじまるのだった。

彼に何が起こったのか?
結論から書くと、彼はこれから長い裁判を戦い続けることになり、最終的に離婚を勝ち取るのだが、それまでに2年間もの月日と膨大なエネルギー、そして大変な金額を費やすことになった。

いったんは離婚を認めた妻だったが、その後にやっぱり離婚しないと言い出したのだ。
そして、驚くことだが、彼はこの出ていった妻――どこに住んでいるかもわからない――に家庭裁判所から毎月37万円もの支払い命令を受けていた。(中略)

彼にはひとつも落ち度がないにもかかわらず、浮気をした妻に離婚してもらうために、37万円×24カ月=888万円、そして、和解の解決金3000万円で、合計3888万円も支払ったのだ。(中略)

彼の離婚係争は、決して特殊なケースではなく、日本の司法慣習に完全に則っている。つまり、同じくらいの年収があれば、誰もが陥る可能性のあることなのだ。

「離婚すると財産の半分を支払う」「相手が浮気をしたら裁判で簡単に離婚できる」「不貞行為をした相手からは莫大な慰謝料が取れる」などということが世間では言われているが、これは全くの誤りである。

損する結婚 儲かる離婚 p4~6

浮気して家を出ていった妻に月37万円もの婚姻費用を支払わねばならなくなったのは、ひとえに「妻が専業主婦だったから」、つまり、自分との収入格差が大きかったがゆえに起こってしまったことです。

婚姻費用は、稼いでいる方が稼いでいないほうに払うものです。
逆にいうと「対等カップル」で年収が全く同じ相手と結婚しているならば、婚姻費用の支払いは生じません。(子どもがいる場合はまた別になります)

「対等カップル」であることこそが最大のリスクヘッジになる。高学歴の人が高学歴の人と結婚したがるのは、大変合理的な行動と言えます。

反対に、専業主婦/夫を望むような経済的に基盤の弱い人と結婚すると、関係がこじれた時に愛情の無い相手の生活費を払い続けねばならないリスクをはらむことになります。「家庭に入りたい」「養われたい」という自立心の低い相手と結婚するのは、20年代の現在では相当な覚悟を要する行為です。

言い換えると、それだけ世相が厳しくなっているからこういったリスクを意識する人が増えているといえます。
「恋愛感情や性欲ではなく、対等な結婚相手を冷静に選ぶ」という視点は、時代の流れに合ったものなのでしょうね。

だから、恋愛相談はしないのです。
だって、合理的に考えるなら「正解」の相手は悩まなくてもわかるのだもの。

ああ、でも、私の観測範囲内だと20年代は男性のほうがロマンチストなのかもしれないなあと感じます。結婚を生活手段として冷静に割り切っている女性に対して、パパ活相手の女子とガチで結婚を夢見る男性がいたりしますので。

00年代では女子が王子様との結婚を夢見ていて男子のほうがリアリストだった(結婚は人生の墓場だとか言ってた)のとは真逆ですね。
逆もまた真なり。時の流れとは、面白いものです。

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