義経になるなら、官兵衛になろう~有能だからこそ訪れる試練の時期

ビジネス:スピリチュアルブログ

私ねえ、リンデンバウムのお客様を見ていて
「義経系が多いなぁ~」
って、思うことがあります。

「そんなに義経してたら、つらい思いをするのになぁ~」
と、歯がゆいのです。
もっと、楽に生きていいのに、と。

人気者だからこそ、疎まれる

「さくらん」でトップ花魁である粧ひは幼いきよ葉に、お前は花魁に向いていると告げます。その理由は、嫌われ者だから。

登りつめるもの、有能なものは妬みを買い、憎まれる。
このシーンはシンプルに、真理を教えてくれます。

それをなぜか理解しなかったのが、源義経です。
義経は実に有能で魅力にあふれる人気者。才能も人徳も併せ持ったスーパースターでした。清廉で実直で、ピュアでブレない。

だから殺されました。

「怖い。ホラーやめてください」って話ですね。でも、本当に、本当にリンデンバウムのお客様は、この義経タイプが、多いんです!

お育ちが良ろしいのかしら!
なんかまっすぐなんです!!
ピュアなんです!!!

ちゃんと成果も出してる
数字として結果だって出てるんです
なのに、上司は否定してきます
どうしたら上司は自分を認めてくれるんでしょうか

うちのチームのほうが実績上げてるのに
部長は実績上げてないほうばかり持ち上げるんです!
あんなやってもやらなくてもいい仕事してるチームなんかより、私たちのほうが会社にとって必要な仕事をしているのに!!

みたいなことを、真顔で、おっしゃるんですよー!!!

え、ええ~。
えええ~……。
なんで、そんなに、ピュアなんですか。

上で、さくらんの粧ひ(トップにのぼりつめた人)は、自分の後継者に「お前は憎まれるのが上手いから良い」と言ってるんです。

つまり、有能で才気を振るう人は、疎まれる運命にある。
数字を上げれば上げるほど、人から嫌われて妬まれる。
上からは「コイツは俺の地位を脅かすのではないか」と怖れられる。

ゆえに、理不尽な目に遭います。
あなたが周りから認めてもらえないのは、評価されないのは、あなたが結果を出しているからです。

そんな人間心理を理解せず「自分はちゃんとやってるのに!なんで認めてくれない!!」と正論をまっすぐに展開してしまう、そのピュアさに私は圧倒されます。

「この歳までその純粋さで生きてこられたなんて、よっぽど恵まれた環境で生きてこられたんだなあ。うらやましい限りだ」と。

これはお受験主義、学歴主義の弊害かもしれませんね。
学校ではお勉強ができれば素直に尊敬されて先生から誉められますもの。数字を上げれば、素直に評価されていい大学に合格できますもの。

でも、それは、大人の社会では通用しないわけで。
人間って、そこまで強くないし、正しくもあれないわけで。
(だから「みんな平等」の共産主義国家では上手くいかないわけで……)

夫の愚痴を言う女友達に「そんなに嫌なら別れればいいじゃん」とか、会社の愚痴を言う友達に「そんなに嫌なら辞めればいいじゃん」とか、マジレスしちゃうのって、30歳までは許されても、人生経験豊かな人が口にするとちょっと、「何この人……」ってなっちゃいますよね。人心掌握できなさすぎというか。

正論って、正しいんですよ。
間違ってないんですよ。
でも、「自分は正しい!」って胸を張って生きると、結局「なぜか周りから攻撃されてしまう、すごくがんばったのに評価されない」って経験を積むことになるんです……。つらい。

「正論って役に立たないな」って、ある地点で人は気づかなきゃならないのです。そう、行動によって正論を押しとおせる(現実で証明できる)ほどの能力のある人ほど、気づかなくてはなりません。

上司(秀吉)に怖れられた知将・黒田官兵衛

有能な人は、まっすぐ行くと義経コースになって危険です。
もちろん今の時代は源平合戦もないですから殺されはしません。けれども、上司にいびられて退職せざるを得なくなったり、居心地の悪いまま仕事を続けねばならない事態くらいにはなる可能性があります。

有能な人は、まっすぐピュアピュアな源義経ではなく老獪な黒田官兵衛をお手本にしてほしいです。

「黒田孝高画像」 東京大学史料編纂所所蔵模写
©東京大学史料編纂所

官兵衛は豊臣秀吉の天下取りを陰で支えた軍師です。頭脳明晰で数々の合戦を勝利に導いた功労者です。

だけど、秀吉から与えられたのは九州の一部だけ。他の武将たちはもーっと!豪華な褒美をもらっていたのに。メチャクチャ役に立った官兵衛は、その3分の1とか下手すると6分の1しかもらえませんでした。

でも、官兵衛はそれに不服を申し立てることもなく、44歳の若さであっさり息子へ家督を譲ります。

官兵衛はわかっていたのです。
自分は、主君である秀吉に内心疎まれていることを。

――官兵衛が早くに禄を譲り、官職を捨てたのは、利益をむさぼろうとする気持ちが薄く、物ごとにとらわれないだけでなく、秀吉が官兵衛のもつ大志と、武略をおそれていることに気がつき、また、秀吉のまわりの家臣たちも官兵衛の功名英才ぶりを妬むものがいるのを知り、そしられるのを逃れるためで、これは身を保つ立派なことである――というのも、まさに、保身のための家督交代でもあった。

黒田官兵衛 智謀の戦国軍師 p135

秀吉は何よりも官兵衛の優秀さを理解していました。自分よりも優れている面があることを認めていました。だからこそ、家督を譲った官兵衛を自分のそばに呼び寄せ、そしてブレーンとして働いてもらったのです。

ここで官兵衛の優れているのは「自分は秀吉から怖れられ、周りから妬まれているのだ」と自覚していることです。「自分はこんな結果を出したでしょう!どうしてもっと評価してくれないんですか!!」なんて浅はかに言わなかったのです。

そんな「自分は正しい!やるべきことはやった!」と胸を張るようじゃ、組織の中ではつぶされます。「宮仕えは辛い」のは、平安時代にすでに言われていたこと。それが、組織というものです。

そこが不満なら、独立すべき。
組織から出たくないなら、泥を飲むべき。
そういう話なのです。セオリーなのです。

真っ当に「うちの組織はおかしい!!」と声を上げる方が、世の理をわかっておらぬ愚か者なのです。勉強はできても、愚か者。地頭が悪いのです。

組織なんて、そもそもが腐るものだし、おかしいものなのです!
だからこそ、そこで泥を飲んで仕事をなせる人を、私は尊敬します。そのような人は「濁り」を生きる覚悟があるからです。

秀吉が官兵衛を警戒したことは事実であろう。
昔から、「権あるものは禄少なく」といういい方があるように、家臣に権と禄をあわせ与えると、自分にとって代わる恐れがあり、特に官兵衛のように智謀にたけた武将の場合、秀吉でなくとも、権と禄をあわせもたせることはしなかったと思われる。

黒田官兵衛 智謀の戦国軍師 p142
太字強調は記事作成者による

優秀で周りから頭一つ抜けるくらい仕事のできる人は、直属の上司とはぶつかりがちです。でも、重役や経営陣からは気に入られてかわいがられます。

「社長は自分のことわかってくれてる。なのに、どうして部長はああなんだ!」
そんな風な言葉を聞くことが多いです。
しかし、それも当然のこと。

直属の上司にとって、有能なあなたは「自分の地位を脅かすライバル」です。
自分の評価が上がる程度の活躍はしてもらえないと困りますが、「こいつは上に引き上げたほうが良い」と経営陣に目にとまるほどの活躍をされても困ります。

「ほどほど」にしててほしいのです。

なんて器の小さな人間なんだ!
そんな人間が上司だなんて
世の中おかしい!

そんなふうに考えるあなたには、岡田斗司夫さんの「プライドだけ高い無能上司に対してどう接したらいいのか」という人生相談を聴いてください。(動画23:17 Qプライドが高い上司の話)

本当に、これです。
「自分は正しい!相手は間違ってる!」
これを、ピュアに、指摘してしまうと、人間関係、上手くいかないんですよ……。

指摘は、間違ってない。
その通り!
だけど、真実だからこそ、図星だからこそ、相手は頑なに認めない。

「正しい(事実だ)からこそ言っちゃいけないこと」って、あるんです。
デブにデブって言っちゃいけないし、ハゲにハゲって言っちゃいけないし、ジジイにジジイって言っちゃいけないんです。そうでしょう。

だから私、もう金輪際ゲイバーには行きませんよ。
だってオネエの方って、私に正直に「ババア!」「ババア!」「ババア!」って言ってきますから。心折れちゃう。笑

これと同じで、無能に「無能」って言っちゃいけないんですよ……。
本当に、傷つくんですよ……。
それは、いじめです。

認知症のおじいちゃんに「なんで覚えてられないの!」って言ってもしょうがないでしょう。不出来な上司に「なんでまた同じこと繰り返すんですか!」っていっても、本人にはどうしようもないんですよ……。

そういう人間の欠点、無力さ、どうしようもなさを知って許す。
能力のある人間に、その課題は必修単位。
だから、上司はあなたを認めないし、足を引っ張ってくれるのです。あえて。

能力があるから、できるから胸を張っていいのは学生時代まで。
もしあなたが「なぜ正当に評価されないのだ」と不満なら、自分の人徳の無さに気づくべき時に来ているのかもしれません。人徳、器を広げるチャンスなのです。

ピュアなの、やめてください。
だって、義経になっちゃいます。
あなたの人生が悲劇で終わっちゃいます。それはいやだ!

官兵衛の賢さを持ってください。
有能ゆえに嫌われるし疎まれることを知ってください。
その時に自分を救ってくれるのは、徳です。わかりやすくいうと包容力です。清濁併せ呑む度量の大きさです。(”女性性”という言い方もできます)

すべての人は完璧ではありません。欠点があります。
その欠点をどこまで許せるか。それがその人の器の広さです。

といっても、別に出世しない人は器なんて広げなくてOKです。だって、小人は小人として生きていいのだもの。小さく生きるなら人間性を高めて成長する必要なんてないのです。それだと搾取されるけれども、それは仕方ない。

でも、リーダーたる使命をもった有能なあなたには、度量の広さや器の大きさが必要です。ですから、度量や器を養うための試練がやってきます。そりのあわない人と仕事を”させられ”るように仕組まれます。

その試練を、魂をみがくチャンスとしてとらえてください。
そして、黒田官兵衛のような賢い目を持ってください。
そうすれば、あなたの人生は大きく開けます!

それを私は楽しみにしていますね。

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