スイスの精神科医・心理学者であるユングは、東洋哲学や神秘主義に対しても造詣の深い人でした。そして、西洋占星術についても深い興味を示す人でした。その様子は、占星術師リズ・グリーンの占星術とユング心理学:ユング思想の起源としての占星術と魔術 に詳しいです。
そんなユングが東アフリカにいった時の出来事を読んで、私「アセンダントだ!」って思ったんです。
ユングが東アフリカのエルゴン山中の住民のところに滞在していた時、住民が日の出の際の太陽を崇拝するのを知り、「太陽は神様なのか」とたずねてみる。
住民たちは、まったく馬鹿げた質問としてそれを打ち消した。
ユングはそのとき空高く昇っていた太陽を指さして、「太陽がここにいるときは、君らは神様じゃないというが、東のほうにいる時は神様だという」と、さらに追及する。皆はまったく困ってしまうが、老酋長が「あの上にいる太陽が神様でないことは本当だ。しかし太陽が昇るとき、それが神様だ」と説明する。
これに対してユングは深い理解を示して、自伝の中で次のように述べている。
「私は、人間の魂には始源の時から光への憧憬があり、原初の暗闇から脱出しようという抑えがたい衝動があったのだということを、理解した。……朝の太陽の生誕は、圧倒的な意味深い体験として、黒人たちの心を打つ。光の来る瞬間が神である。その瞬間が救いを、解放をもたらす。それは瞬間の原体験であって、太陽は神だと言ってしまうと、その原体験は失われ、忘れられてしまう」。このような体験を把握することは、合理的思考法のみで固められたひとにとっては、まことに困難なことであろう。
太陽は神であるか、神でないか、どちらであるとか、太陽が神であるならば、常に神であらねばならぬとか考えるような人は、元型的な体験を把握できなくなる。
昔話の深層 ユング心理学とグリム童話 (講談社+α文庫) 昔話と心の構造
これ。
「あの上にいる太陽が神様でないことは本当だ。しかし太陽が昇るとき、それが神様だ」
これ、アセンダントでしょう。
アセンダントというのは、ホロスコープで出生時刻時に東の地点を指します。そこに何の星座が入っているかが、重要視されます。ライツ(太陽・月)と並んで、ホロスコープリーディングにおける重要ポイントです。
アセンダントは「その人の魂が、この世界にどこから入ってきたのか」を示します。人間はそのパターンを知らず知らずのうちに繰り返します。内側からわき起こってくるエネルギーは惑星によって示されますが、アセンダント(及び12ハウス)は、地球の地点より定義されます。つまり「自律的に自分で支配するエネルギーではなく、外側から与えられた環境」となります。
その開始点がアセンダント。
でも、なぜ「東」なのか。東からカウントするのか。
それは、ユングが西アフリカの人から聞いた言葉「昇るとき、それが神様だ」ということなのでしょう。
24時間いつでもいいわけではない。
そうじゃなくて、日の出。
その時にこそ、神が宿るのであると。
このことで思い出すのが、長期投資です。

???
なぜそこで投資が出てくる?
と思われましたよね。すいません。
最近、私こんな山本一郎さんの動画を見ていたんです。
「長期投資ってタイミングが大切だよね」というお話でして。
いやはや、実にその通りだよなあと思った内容でした。
私も投資はじめた時にはバフェットの本とか読んでましたから、基本的に投資は長期でしか考えてない感じで買う癖があります。だってバフェットって「10年間株を保有する気がなければ、10分間保有することさえ考えない方がいい」とか言っちゃう人ですから。
私は株を買ったら寝かせておきます。放置プレイです。休むも相場、待つも相場。基本三年寝太郎で気がついたら「えっ、こんなに上がってたの、ビックリ~」みたいな感じです。
やる気出して相場チェックしまくると、上がったり下がったりでストレスかかるので向いてません。なのでFXとか超絶向いてません。
私にとって株は余剰資産でやるものです。投資で生活費を稼ぐのは、私は無理です。
ですが、このコロナ禍でいわゆるバフェットが推奨していたような銘柄、例えば航空会社などの公共性のある産業やインフラ産業すら壊滅的打撃を受けました。
なので、平時に勧められるような投資方法、それこそ厚切りジェイソンさんが本に書いていたような「インデックスを買っておこう」的な投資方法では厳しくなるのは当然です。
やはり世の流れを見て、どこに流れが来ているかを読んで、適時ポートフォリオを組みなおしていくというのは、投資における基本中の基本、なのではないでしょうか……。
そして、動画内で山本さんがおっしゃっているように長期投資はタイミングが大事。流れを読んで、買うべき時に買う。それがとても大切。
つまり、「あの上にいる太陽が神様でないことは本当だ。しかし太陽が昇るとき、それが神様だ」。
株が神様ではないことは本当だ。しかし、タイミングが来た時、その時の株は神様だ。
みたいな話で。
時を押さえるって、本当に大切なことです。
だから易経を学ぶ経営者の方が多いのでしょう。易経は「時の移り変わりの法則」を教えている古代の知恵ですから。
西洋占星術でアセンダントだけが特に重要視されるのと同じで、長期投資にだって「特に重要なポイント(時)」があるのです。いつも鉄板で「これやっておけば絶対OK」なんてセオリーはありません。
いつ太陽が昇るのか。
そのタイミングを察知する直感の鋭さは、色々と今の時代には大切な能力なんじゃないのかなぁ~と思います。
だって、「ふつう」にやってたら上手くいかないですからね、今は。
「みんなと同じように、普通に生きられない自分が嫌だ」とかおっしゃる人いますけど、今の日本で普通に生きてたら普通に貧民になるんですけど、それでも普通が良いんでしょうか。謎です。
普通に生きない=豊かにイキイキ生きるには「東に昇る神」をキャッチすることです。その神がどんな形をしているのか、どんな性質を帯びているのか、それを知りたい人は自分のアセンダントを掘り下げてみるとよろしいのではないでしょうか。
最後に、上の動画で金言だと思った言葉を。
動画11:22~
個人投資家の利点は何かというと、自分の持ってる金を全部払わなくてもいいという点。自分が行けるぞと確信を持てたときだけ張ればいいし、金を使いきる必要はない
本当に、その通りだと思います。金言。
待つも相場、休むも相場。