老害にならず尊敬される年長者へ~築きあげたものを手放す勇気【日本神話】

四柱推命/算命学

富をもたらすオオクニヌシは、手放しの天才

古事記を読み返していて、「オオクニヌシって手放しの天才だな……」と感動いたしました。
成功したのちに老いを迎えた人間が「老害」と呼ばれないためのヒントがオオクニヌシの生き方にはあると感じたのです。

オオクニヌシって現在でも出雲大社に祀られている偉大な神です。大黒天とも同一視されて、財運福徳や出世開運のご利益がある神様として親しまれています。

でも、実は「負け組」でもあるのです。
しかも、成功したのちの転落組。
苦労してなしとげた成果を最後には、ぜーんぶ天の神々(天津神)に取られちゃう。それがオオクニヌシの人生です。ネガティブに見るなら、メチャメチャ虚しい人生です。

なのに、現在なお、語り継がれて愛されて慕われる神様であり続けています。
それはなぜか。
私は「ちゃんと手放すべき時に手放せた」からではないかと思います。

オオクニヌシの生き方に見る理想的な人生サイクル

オオクニヌシの人生は、「旺・相・休・囚・死」この宇宙のサイクルにぴったりと一致しています。無理がありません。

  1. 囚:末弟として兄たちより迫害を受ける。二度の死を経験する
  2. 相:地下世界でスサノヲの試練を受け、スセリビメと結婚する
  3. 旺:仲間を得、豊かな国づくりに邁進する
  4. 休:敵をも魅了する大器へと成長する
  5. 死:自分が育てた国を天の神々に譲る

このサイクルで、「旺」を満喫した成功者にとって難しいのが「休」「死」のサイクルです。

だって、上手く行ったんですよ。成功したんですよ。この世の栄華を手に入れたのですよ。
そのままオラオラで「自分はまだ老いてなんかない!まだまだ若い!」って勢いを保ちたくなるのが人情でしょう?

でも、それだと易経の言うところの「亢龍」になってしまうのですよね……。いわゆる、「老害」に。

オオクニヌシは数々の試練と苦労を越えて、国づくりを進めていきます。国は豊かになり、民に慕われる君主となります。

そんな豊かに成長した国を天の神々は召し上げようとします。そのために使いを出すのですが、その使い達もオオクニヌシの器の大きさや人徳、オオクニヌシの作った国の快適さにすっかり魅了されて、オオクニヌシのファンになってしまう始末!

普通だったら、これだけの大きな成功を収めた人なら調子に乗って傲慢になりそうなものですよね?
どうしてオオクニヌシは成功してなお才気に偏らず人徳を養う大器となりえたのでしょう?

易経的に「飛龍(成功者)」から「亢龍(老害)」になるメカニズムはこうなります。

飛龍から亢龍になる過程はどこに当たるかというと、「りん」の「けちる」です。何をけちるのか。人の意見に耳を傾けるのをけちる、クレームに対処して改めるのをけちる、反省するのをけちる、労力を惜しみ、頭を下げるのをけちるのです。

「人を養って、世の中を良くしてやっているのに、なぜ俺様がへりくだらなくてはならないのだ」と出し惜しむ、けちな心です。

「吝」を繰り返していると、感受性を失い、それが高じると平気で不正を行い、人命よりも利益を優先するなど、子どもでもわかるような善悪の判断すらできなくなります。

超訳 易経 陽―乾為天 p107~108

オオクニヌシは、けちらなかった。
これは大きいですね。

「けちらない」という言葉を「面倒くさがらない」という言葉に置き換えるとより現代的な感じがするのではないでしょうか。

今の世は便利になって、すぐ”ライフハック”だの”時短”だので「面倒くさいことは全部回避」したがりますよね。「知るのは最適解だけでいい」と。

もちろん、これは”一般庶民”はやって良いことだと思います。
しかし、王の器たる人間には時に毒になる。「面倒くさい」を避けていると、才気に偏りすぎて人徳が育たない場合があるからです。

現代風にいうならGAFAに乗って「便利」「便利」って言ってると、実は落とし穴があるかも?みたいな話ですね。

さて、オオクニヌシの何がけちらなかったかというと、人の意見に耳を傾けるのをけちらなかったという点が顕著です。まさに、孔子の言うところの「六十にして耳順う」ですね。

オオクニヌシは天の神々が「おまえの作った国をよこせ」と無情な要求を突きつけてきた時に、どう対応したか。
なんと「息子の意見をきいてください」と言ったのです!

すごい!
すごくないですか。
だって、実績のある成功者が意見を求められたときに自分では決めずに後継者の意見を仰ぐのですよ。

プライドあるリーダーに、このふるまいができる人が何人いることでしょう。なかなか難しいことです。でも、オオクニヌシはすでに分別ついた息子たちに判断をゆだねたのです。

そして息子たちが「国を譲ります」と言ったら、その判断に従うのです!
なんてこと!

小人の私だったら「いやだいやだ、国は譲りたくなーい」と駄々をこねてしまいそうです。でも、オオクニヌシは自分の築いた財に執着することなく、「息子たちがそういうなら」といさぎよく手放してしまうのです!

「あなたの子どもコトシロヌシの神・タケミナカタの神お二方は、天の神の御子の仰せにそむきませんと申しました。あなたの心はどうですか」と問いました。そこでお答え申しますには、「わたくしの子ども二人の申した通りにわたくしも違いません。この葦原の中心の國は仰せの通り獻上致しましよう」

稗田の阿禮、太の安萬侶 武田祐吉訳 古事記 現代語譯 古事記

ただ、ここでオオクニヌシはただで手放したわけではありませんでした。
交換条件に、敬意を求めたのです。

「ただわたくしの住所を天の御子みこの帝位にお登りになる壯大な御殿の通りに、大磐石に柱を太く立て大空に棟木むなぎを高くあげてお作り下さるならば、わたくしは所々の隅に隱れておりましよう。またわたくしの子どもの多くの神はコトシロヌシの神をみちびきとしてお仕え申しましたなら、そむく神はございますまい」

稗田の阿禮、太の安萬侶 武田祐吉訳 古事記 現代語譯 古事記

このリクエストで作られたのが↓これです。

島根県立古代出雲歴史博物館

ちょっと意味わからないですよね。更に古代出雲大社の復元図を作成した有限会社友森工業さんのサイトには、こんな比較画像が掲載されています。

うん、ちょっと意味がわからないですよね。古代の木造建築技術って……。

こんなのファンタジーだと思いますよね?
でも、2000年に実際地下から巨大な柱が発掘されて、どうもこの巨大建造物、本当にあったらしいという話でして……。

すごいですね、オオクニヌシ。
普通にただ国を作っただけでは名も消えていたかもしれませんが、出雲大社を作ってもらうことで現在にまで記憶に残ることになったのです。

手放すものは潔く手放す。
そして、精神的に形に残るものを求める。

これが老害にならないどころか次世代に尊敬されるリーダーとして記憶に残り続けるわざなのでしょう。人徳のなせるわざ。

日本女性が無意識に好む男性像~オオクニヌシ・ヤマトタケル

和服の女性

オオクニヌシは狩猟神ではなく農業神です。
穏やかで調整型。アメノホヒやアメノワカヒコのような利害関係が対立する相手すら懐柔させてしまう人間力。コミュニケーション能力抜群で、物腰が柔らかい。

やはり、日本女性の集合無意識にはこういった男性を好むパターンがあるのでしょうか。
狩猟系の神様――西洋で人気のあるリーダータイプ、ジョブズやマスクみたいな意志の強い感じは全くなくて、穏やかで丸い人格者。(割と普段は情けない)

なぜ私がそんなことに目を向けるかというと、正直私はあまりオオクニヌシ的タイプの男性が好みではないからです。でも、すごくモテますよね、こういう男性。自分で努力する前に美女が寄ってきて愛ですべてを解決してくれる。島耕作の匂いがします。

そして、もう一つのモテる日本男性のパターン、日本女性の神話的元型として無意識に刻まれている感じがあるのが英雄・ヤマトタケルです。

しかし、英雄といってもやはり西洋のオラオラ型とは違って、どこか女性的で、しかも影があります。それどころか繊細で愛に飢えているのです。「俺に任せろ!」的力強さはない。

なんといっても、ヤマトタケルは女装して敵(クマソタケル)を懐柔して討ってしまうわけです。つまり、女装したら男を惑わせる美しさを放つくらい女性的な容貌をしていたということ。ジャニーズやK-popアイドルみたいな顔立ちだったってことですね。

いやー、好きですよね、日本女性。この手のヤマトタケル系男。
実際神話の中でもヤマトタケルはモテモテのモテで、生前いろんな女性から助けられることはもちろん、死んだあと残された女たちは嘆き悲しみ、彼のために大きな墓を建てたほど。

ビジュアル系の美しい男が好きな女性は、もれなくヤマトタケル元型に無意識のうちにつながってるんじゃないのかしら、と私は思っております。それくらいヤマトタケルってビジュアル系要素の強い男性だと。美しいし影が強いし。素晴らしい歌を詠むような繊細さも持ち合わせている。

やまとは 国のまほろば たたなづく青垣あをかき 山籠やまごもれる 倭しうるは

ヤマトタケルの歌

なぜこんな蛇足を長々付け足しているかというと、私は、この日本女性の好きなタイプの、オオクニヌシ・ヤマトタケル系の男性に魅力を感じることができないからであります。

みんな好きなんですよ。福士蒼汰も新田真剣佑も韓流俳優も。
私はみんながキムタク大好き言ってる横で、ユースケ・サンタマリア似の男と付き合ってすごい満足してたんですよ。好きだったんです。

だって、彼はサッカー部のエースストライカーだったから。
顔より体育会系脳筋であることのほうが私にとっては10000億倍大事だったから。

でも、「筋肉!筋肉!筋肉素晴らしい!!!」って言っても、みんな「????」って顔で私を見るんです。オオクニヌシみたいな優しい男とか、ヤマトタケルみたいな陰のあるイケメンが好きなんです。

私、すごい孤独感を感じていたんです。けれど、海外女性とはこの「筋肉!男は筋肉!マッスル最高!!」会話が通じることを発見しました。特にラテン系女性との間には共感の嵐しかない!!!!

そう。
私には、日本女性の、好みが理解できない!
昔っからナヨナヨした歌舞伎役者が好きで市川雷蔵が好きな日本女性が!!!

本当に納得がいかなかったんです。
でも、日本神話を紐解くことで納得できました!
「なるほど、日本女性の心の中には、超モテ男の元型・オオクニヌシとヤマトタケルがいるのだ」と。

私はこれからも一人でさみしく、体育会系脳筋を愛します。
「趣味はスポーツ」って言われたら瞬間で好きになります。チョロイです。
(もちろん女性でも体育会系の方は大好きです!脳筋!好き!!)

日本女性がもっと脳筋を愛するためには、スサノヲのイメージアップでもすればいいのでしょうか。でも、あれだけアマテラスに狼藉を働いていたらイメージ回復は厳しいですよね。
やはり日本女性は脳筋体育会系男は好きではないのです。しょんぼり。

筋肉は、いいぞ!!!(負け犬の遠吠え)

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