上手くいかないときは、リスクマネジメントを学ぶチャンス!~天地否<易経>

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どうにもこうにも、なんだか上手くいかない。
人と話しても、話が通じない。
自分と立場が違う人ばかりで、わかりあえない。

そんな時が「易経」でいうところの天地否の時です。

天と地の気が巡らない時期

天地否は「蓋をする、塞がる時」で、「否」という字には、天との交わりを断絶するという意味があります。

天の気は上に行き、地の気は下へと向かうことから、天地の気が全く交わらず、なにも新しいものごとが生まれません。
暗黒のような時代なのです。

超訳 易経 陰―坤為地ほか p109

「否はこれ人にあらず」
天地否は人災だと易経は説いています。
人の道を外れるから、(スピリチュアルにいうなら魂の導きを無視するから)こんな状態になってしまったんだよ、と。

マジレスしても無駄 沈黙は金、雄弁は銀

天地否の時にまっすぐ生きてはいけません。
つまり「マジレス」しちゃいけないのです。

「否」は口を塞ぐという意味があります。
私利私欲の世の中ですから、「まともなことを言ってもらっちゃ困る」という空気に満ちあふれ、正論はいっさい通らない時です。

超訳 易経 陰―坤為地ほか p110

本当のことを言っても、人からあざ笑われるだけで馬鹿にされて終わりになります。
真実を伝えようとして頑張っても無駄な時なのです。

男と女は分断され、親と子も分断され、師と弟子も分断されます。
そんなときに、何か事をなそうと頑張っても無駄です。

それどころか腹黒い人にだまされたり、組織からとんでもない命令を下されたり、変な投資話を持ち掛けられたりしかねません。

そういうときは「はい、はい」と従順に聞いておいて、聞き流すのです。そして「あれはどうなった?」と聞かれたら「あれ?えっ? 何のことですか?」ととぼける。
「賢い人ほど、こういう時にあえて無能に見えるようにふるまって切り抜けるものだ」と易経では説いているのです。

カズレーザーさんが「高圧的な人にどう対処したらいいのか」と答えていますが、これが「天地否的最適解」でありますので、ご紹介します。

動画4:00~

高圧的な人、明らかに理不尽な発言をする人は、話が通じない人なのでそういう人にこういう口ごたえはしないほうが良いと思います。
どうにもならない人はいますからね。

「言えないままで相手が調子に乗るのがいやなので言えるようになりたい」

高圧的な人は調子に乗りたい人なので、正論で注意しても多分きかないでしょう。そういう人が排除されない会社の構造になってるんでしょうから、口ごたえしないほうがいいと思いますね。

そう、聞き流す。
そして無能なふりをして、人の道に外れたことはやらないようにふるまう。

そしてここで大切なのが、無能なふりをして「お前は無能だな!」とレッテルを張られたときに「そうなんです~無能なんですぅ~」とヘラヘラできることです!

自己肯定感が低くてプライドの高い人は、「お前は無能だ!」と言われた瞬間にガラスのハートが粉々に砕け散ってしまいます。でも、それじゃマジレスして話聞いてもらえなくて消耗して終わっちゃう危険ループにはまってしまいかねません~!!

天地否の時は無能ぶってヘラヘラする。
何言われても気にしない。
それが大事です!!

天地否の時はどう過ごしたらいい?

こんな苦難の時をどうやって切り抜けたらよいのでしょう?
易経では、このように言います。

象に曰く、天地交わらざるは否なり。
君子もって徳をつつましやかにし難を避ける。
栄するに禄をもってすべからず。

「ろくでもないことしたほうが上手くいく時なんだから、あまり前に出ずにじっとしてなさい」ってことですね。徳をつつましやかにすれば苦しみを避けることができる、つまりスピリチュアルな視点では瞑想などで内面の修養に務めると良い、とも言えそうですね。

最近、Youtubeで暴露系動画が流行ってます。それは「天地否のときに調子に乗ってイタイことしてると、あとからそれは白日の下にさらされるんだよ」という好例にも見えます。

そんなときに、ひょんなはずみで上手くいってしまったらどうしたらいいのか。
それは、「禄(金・財産)をもってすべからず」。

「ただ天のためにしたことだから」と、すっと自分は消えるくらいでいいのでしょう。結果に執着しないという手放しのミッションですね。

「功ある者には禄を与えよ、徳ある者には地位を与えよ」
これは書経を元に西郷隆盛がいった言葉ですが、天地否のときにはより一段と重く響きますね。

これは「わかりやすく功を立てるような武人には報酬を与えて、人格の優れたものには権力を与えなさい」という教えです。
逆の視点でいうなら、派手でわかりやすい結果を出す人に権力を与えてはいけない、人格の優れたものを金銭漬けにしてはいけない、とも言えますね。

う~ん、その視点からいうと、高学歴のエリートを安月給で使い倒していた官僚システムって書経的には正しかったのかもしれません。でも、そのためには強烈な自負、選良として国に奉仕する志が必要です。そして家庭を犠牲にする覚悟も求められます。なかなか過酷ですね。

天地否の時はマジレスしないで沈黙する。無能ぶって聞き流す。
もし結果が出たとしても評価を求めない。むしろ他人に報奨を譲るくらいでもいい。

そうするとどんどん状況は悪くなっていきます。
でも、危機感を持ちながら待つのです。
すると、陽が極まり陰が極まるときがきます。

地天泰で「絶好調の時は永遠には続かない」と言っているように、天地否の時もやがて光が見えてきます。花開く春に向かって一歩一歩近づいているのが、寒い冬の時期。三寒四温を繰り返して、少しずつ、少しずつ春になっていきます。

天地否の時に、焦りは禁物です。
待つのも相場。

元消防士の方としみけんさんのコラボ動画で、「今ここで火事になったらどうする!」というシミュレーションをしています。
この過ごし方が「天地否的ライフハック」だな!と。

動画5:25~
タイチョー「僕なら、一切暴れずにここで目をつぶってこうやって(うずくまって)ます」
しみけん「俺違うわ。『俺死にたくないよ!! あー助けてくれぇ~!!』って」
タイチョー「今のしみけんさんのやったらあかん理由って、ただただ大声出してパニックになってるからだと思いませんか? 違います。ダメな理由は「動いてること」なんですよ。動くとどうなるか。煙が混ざるんです。煙って上から下にたまってくる時間があるんですよね。動くと煙が混ざるから、自分が一酸化炭素中毒になって死んじゃう

モヤモヤを解消しようとしない。
あえてモヤモヤしたままでいる。
モヤモヤを解消しようとあがくと、かえってモヤモヤ(煙)にまかれて苦しむ羽目になるわけで。

そう。
気が巡ってこない時に動き回ったら、いたずらにエネルギー消耗するだけなんです。
そういう時はじっとしとく。そして流れが来たときに油断せずに「否を止む」のです。

まずは、ただただ世界を眺める心持ちでいる。
そんな状態って、ウィパッサナー瞑想みたいですね。

緊張と共に、冷静さを保つ。
心の静謐さをもっとも鍛えてくれるのが、閉塞感ある天地否の時なのかもしれません。

なぜこの記事を書こうと思ったのか

以下は蛇足です。お時間ある方のみお読みください。

2022年4月16日発行のメルマガにこう書きました。

なぜ天地否について書こうかと思ったかというと、私今、易経の勉強のために月初めに卦を立ててるんです。「今月の流れはどんな感じ~」って易で観てるんですね。

これね、なかなか面白いですから、メルマガ限定の「おしゃべり」でも、そのうち使っていきたいなって思ってます。総合的占いコンサルセッションですね。笑

それで、3月と4月の本卦が「天地否」だったんです!
2カ月連続、天地否!!!

易経詳しい方は「えっ!?そんな天地否ばっかり出て大丈夫ですか!?」って思われたことでしょう。そう。天地否、単純な言い方すると「絶不調」「大凶」な卦ですからね~。

おかげさまで仕事はつつがなくやらせてもらってるのですが、確かに、プライベートの流れは「天地否」なんです。苦笑

それでプライベートが何があったかっていうのは、メルマガに書いたとおりでございます。パートナーとの関係って、難しいですね!

天地否~。しんどい~!
助けを求めても得られない感じでなんともかんとも。

でも、意味もなく起こることは無いわけです。スピリチュアルな法則を熟知している方ならばご存知の通りに。

色々色々としんどいことはあったのですが、それと同時に「あれ、意外と動じてないな」って自分がいることも発見できました。

表面的には動揺して「どうしようどうしよう」と思ってても、心の一番奥では「大丈夫」って思ってる。深い流れ的には「大丈夫」という信頼がある。

前の日に「明日こうなったらどうしよう」と心配するわけですけれども、「まあ、そんなん今考えてもしゃあないわ」って結構切り替えることができたり。そして、その場になるとドーンと肚がくくれてたりするわけです。笑

易経の解釈を書いた繋辞伝の中には、孔子の言葉をしてこんな内容が伝えられています。

子曰く、危うきものは、その位に安んずる者なり。
亡ぶるものは、その存を保つ者なり。
乱るるものは、その治を保つ者なり。

これの故に、君子は安くして危うきを忘れず。
存して亡ぶるを忘れず。
治にして乱を忘れず。
ここをもって、身易くして国家保つべきなり。

繋辞下伝 第五章

日本のことわざでいうところの「勝って兜の緒を締めよ」ですね。
二元性の原理がここにも示されていて面白いです。

上手くいっているときほど好事魔多いし、既得権益にしがみつくものは凋落していくものだし、安定を求める者ほど不安定な生活に行きつく、と戒めています。
実に、二元性の法則極まれり!ですね。

天と地が分断されるときがあるから、天と地が交わる時も来る。
時の流れというのは、面白いものですね。

分断されている時に「その分断は間違いだ!」なんて青筋立てて怒っても、「何あの人、怖~い」って引かれて終わってしまう。そういう時は老獪に「じぶんはよくわかりませ~ん」と切り抜け、時が来た時に備える。

危機管理能力、リスクを上手く扱っていくためには、「真面目一辺倒」「正論一辺倒」ではいけないわけですね。
学びになります。易経、素晴らしい!

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