マイノリティがかえって快適~自刑持ちの生き方

四柱推命/算命学
写真AC

「人間・河合隼雄」の魅力

最近、私は心理療法家であった故・河合隼雄さんの本をアホみたいに読みあさっております。

もちろん、ユング派の心理療法アプローチが興味深くて面白くて読んでしまう、ということもあります。実際、ユングは西洋占星術や易経に関しても造詣の深い人です。

西洋占星術の大家、リズ・グリーンが占星術とユング心理学:ユング思想の起源としての占星術と魔術で記している通りでもあります。

ユング心理学の理論を参考にして生まれた「トランスパーソナル心理学」といえば、スピリチュアルな世界とも密接につながりが見えます。実際にこの記事を読まれている中にも興味関心のある方が多いことでしょう。 

そういうバックボーンはもちろんあるのですが、私は一人の人、「河合隼雄」という人が面白くて仕方がないなあと思うのです。だからこそ、ここまでのめりこむわけで。

河合さんの講演を見ると、難しい話をしているはずなのにとても面白いんです。
実際に、聴衆が「ワッハッハ」と笑う場面も多い。ユーモアにあふれているんですね。

この講演内では、コンピューターに疎い様子がばれてしまっています。そこが、また魅力的。軽く自分を笑いものにしてしまいます。
京都大学の大教授が!ですよ。

そこがどうしようもなく魅力的で、年齢を重ねている人間なのに「カワイイ」のです。カワイイは正義。大正義。
京大教授なのに、キュートなトリックスター。頭が混乱しますよね。

「人間・河合隼雄」が私を惹きつける一番の理由が、ここにあります。
それは、「王道のメインストリームを行っているように見えるのに、実ははぐれ者」なアンビバレントさ。

河合さんは午月の午日生まれ。
私と同じ、日支+月支が午+午の自刑持ち!
火が最も極まる(午)、偏りを持った人間。ここに、ものすごく共感するわけです。

※自刑とは、地支の以下の組み合わせを言います。
 辰+辰、午+午、酉+酉、亥+亥

「好き」を大事にしない。だから視野が広くて魅力的

河合さんに「人として」惚れこんだファースト・パンチは、「本を読まないこと」でした。

「老いる」とはどういうことか は新聞連載をまとめたもので、短いショートエッセイです。私が今まで読んだ河合隼雄の本で一番読みやすく、かつクスッと笑える軽い読み物となっています。

その中で、河合先生は自分が本を読まないことを書かれています。
大学教授が本を読まない。
すごいパンチ。私はノックアウトされました。

「本を読まない学者なんて、素敵すぎる!!」と感激したものです。
学者(研究者)って本ばっかり読んでて社会適応が不得手な人が多い、コミュニケーション能力や社交性の低い人が多いイメージです。(もちろん、今はそうではないと思いますけれども)

なのに、河合先生は大学教授なのに本を読まない!
素敵ー!!!
だから、人としてこんなに魅力的なんだって納得しました。

もちろん、「本を読んでるからこそ魅力的」という場合もありますよ。
文化系の人じゃなくて、「本から最も遠そうな分野」の人が本を読んでいたら、かえってそのことが魅力になります。なぜなら、「視野の広さ」を感じさせるからです。体育会系脳筋に見える人が本読んでたら、すごく魅力的!

「好きを大事に!」してない人って、非常に魅力的なんですね。
なぜなら「好きじゃないことも知ってる」から。好きじゃないことにもアンテナを張るだけの余裕があって、好きじゃないことも取り込める器の大きさがある。

だから、「漫画家なのにマンガを読まない」吉田秋生の作品って、すごく魅力的なんですよ!

小説家なのに小説を読まない人も、映画監督なのに映画を観ない人も魅力的です。そういう人の作品は、「世界が広い」から。表現の幅が広い。なぜなら、他ジャンルに目を向けるだけの器の大きさがあるからなんですね。

日本神話の思想―スサノヲ論 という本があります。
心理学+哲学+神話学の専門家がスサノヲについて鼎談する、かなりマニアックな本です。

その中でも、河合さんはこのようにおっしゃっていて。

ぼくはユング派の中では、大部自由な立場にいて他のユング派の人たちとはあまりつきあいがありません

日本神話の思想―スサノヲ論 (歴史と日本人 (8)) p149

「ああ、そこ!そこが大好き!!」と思いました。
ユング派コミュニティの中にはあまり付き合いがないけれども、他コミュニティの知り合いは多い、ハートが外に開かれた社交性。これが非常に魅力的で素敵だな!と。

なぜなら、「自刑的生き方」の一つの正解を提示してくれているからです。

同質コミュニティになじまない。それが自刑の生き方

自刑の人は、自分と似た習性の人とは馴染みません。
つまり、家族や同業、同じ趣味の人とは反りが合いません。逆に、異分野の人や異文化の人(外国人)とはウマが合います。

自分とは全然違う性質のコミュニティにマイノリティとして入りこむことで、安定するのです。しかも、全然考えの違う人と上手くやれる。それが自刑の強みです。あんまり家族や地元の友達とベッタリしてちゃダメだし、むしろ上手くいきません。人生に争いごとが多くなってしまいます。

なので、自分の足元とは違ったところで活躍するのが良いわけです。
河合隼雄さんも、本来は理学部卒業なのになぜか心理療法家になっちゃった変わり種です。心理療法家なのに文化庁長官や国行政改革会議委員を務め、文部省の中央教育審議会で活動したのも異質と言えば異質。

こうやって、「自分の生まれ育った環境」からドンドンドンドン離れていっちゃうのが自刑持ちでありながら争いを必要以上に生まずに人生を発展させていくコツとも言えましょう。自分のルーツと遠いほうが和合するのです。

なので、自刑+石門星の配置があると、結構大変なのかもなあと思います。
宇多田ヒカルさんのお母さん、お亡くなりになった藤圭子さんも午+午自刑からの石門星×2な人です。

本来は石門星って芸能(同質集団での和合)に強いし、プラスに働きます。
しかし、「自刑」は身内とモメがち、つまり同質の人間とはどうしてもぶつかってしまいます。それが「同質な仲間と一緒にいることが自然」の石門星とセットになると、「モメる中で学んでいきなさい」という配置になるわけで、なかなか大変な生き方であるなあ、と思うわけです。

歌手・藤圭子さんは歌手・前川清さんと結婚されました。が、すぐに離婚してしまいます。これも「自刑」と考えると同業である前川さんとはぶつかり合いが絶えない状態になってしまうのも当然と言えます。

次の夫、宇多田照實さんとは紆余曲折を経ながらなんだかんだと関係を続けられたのも、「プロデューサーとプレイヤー」という立場の違いがあったからかもしれません。自刑は、同質の相手にはケンカを売ってしまいます。「はなっからわかりあえないよね」くらいに異質な方が、却って良いのです。

この「同質だと上手くいかない」という性質は、ともすると孤独も生みます。普通は最もわかりあえる相手と反発するからです。

ですから、自刑の人間が心穏やかに生きるには「孤独力」がとても大切になってきます。自刑が心穏やかに生きていくには「距離感」が大切だからです。

家族だろうと友だちだろうと同僚だろうと、あまりにも距離をつめてしまうと自動的に「自刑パンチ」が炸裂してしまいます。

適切な距離感を保てる――ということは、コミュニケーション能力が大切です。空気を読んで「つかず離れず」に調整することが要求されますから。

河合さんもコミュニケーション技術が素晴らしいと思います。社交性があって人脈がある。そういう人って、本当に素敵ですよね!
憧れます。私もそうなりたいです!

絶妙な距離感で相手に寄りかからず、自分に依って立つ。すなわち、自灯明。
「自らのともしびになりなさい」このブッダの言葉こそが、自刑持ちにとっての光となるのでしょうね。

他人に調和し、かつ己を誰にも与えてはならない。

哲学者 ミシェル・ド・モンテーニュの言葉

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