こちらは「経営者限定リクエスト企画」のアンサー記事となります。
こちらの企画、受付はもう終了しております。たくさんのリクエストありがとうございました。
資金をプールすべき時と積極的に投資すべき時。
タイミングの見極めはどうしたらいいでしょう。
資金投入のタイミングを見極める。
経営だけではなく投資でも大切なポイントですね。
大切なことは、周りから全員一致で「よし、資金を投入しましょう!」となったときにやっても、それはもう遅いということです。
しかし、組織が大きくなればなるほど、コンセンサスをとろうとすればするほど、この「資金を投下するベストタイミング」から大きく外れてしまいます。
こう言っちゃなんですが、普段はこういうことはメルマガ限定とかリピータールームでしか書かないのですが――大きな組織を腐らせないためには民主主義より独裁全体主義のほうが適しているというのが、私から見た印象です。
この言い方が尖りすぎているなら「強力なリーダーシップを発揮する経営者がいる組織」と言い換えても構いません。
私がそう考えるようになったのは、中国恒大集団(チャイナ・エバーグランデ)の破綻や最近のエネルギー危機に対するロシアの対応によります。

色々と無茶だなと思うのですが、でもこの図々しさ、したたかさは日本人に足りないところであるなとも思います。そりゃ安倍元首相もプーチン大統領に鼻であしらわれますよ。赤子の手をひねるようなものです。
恒大集団のデフォルトによる影響が、日本にいる人間に本格的に可視化されてくるのはこれからでしょう。エネルギー危機のほうが直接的には先に感じやすいかもしれません。
しかし、現時点では言われてたほど影響は出ていない印象です。
「中国経済が危ない」「中国はもうおしまいだ」という論調は5年くらい前からずーっとずーっと流されてきました。そして今回の恒大集団ショックで「これはリーマンショックの再来!」くらいに大騒ぎされていました。
でも、確かに色々と混乱はあるけれども、中国政府はよく抑えているなと思うのです。
なぜバブル崩壊後の日本やリーマンショックのようにまではなっていないかというと、独裁だから。みんなに意見など伺わず、頭のいい人が少人数で決めてすぐ動くからです。
安定した世相だったり少人数の集団の場合は、全員の意見を聞くことはとても大切なことだし、合意形成に時間をかけて調整することも重要です。
清澤洌さんは「暗黒日記」でこう記しています。
外交は遅すぎるほうがよいので、早すぎるのが困る。また、外交は老人がいい。第一に気がながい。第二に総合的知識がある。第三に判断が常識的である。
清澤洌 暗黒日記 昭和十九年 十二月二十三日(土)
地道に粘り強く相手との関係を築き、利害が対立する場合もできうる限り両者の利益になる点を探って落としどころを探る。そんな場合は清澤さんの考えの通りだと思います。
しかし、今のような落ち着かない世の中にあっては、多分それだとなかなか難しい点も出てくるのではないかと思います。外科手術のようにさっと切ってさっと縫い合わせるようなスピードを要求されるのが、テクノロジーの発達した21世紀です。
資金を動かすにしても、早めに判断して早めに動く必要があります。
一方で、動かさない時は判断が遅れても大して問題はありません。ただアクションしなければよいわけで、「どうしよう、迷うな……」などと頼りなく内心おどおどしてたって別にかまわないのです。
大切なのは、動かすべき時に直感のような速さで「今だ!」と波をつかんで動けること。そして速く動くには指揮系統を司る人間の数を少なくしておくこと(そしてその結果、判断の責任はより重くなります)。
だから、今の世界状況だと、正直申しまして民主主義国家より独裁国家が強いと思います。つまり、中国ロシアは強い。トルクメニスタンも多分強い。
そして、これは国家体制だけではなく企業組織においてもそうです。
ワンマンなリーダーのいるトップダウン型の組織が強みを発揮するでしょう。もちろんトップダウンだけあってリーダーがミスしたら即それは組織のミスになります。責任は重いです。上手くいくもいかぬもリーダー次第です。
指揮系統がシンプルな方が今のような変化の大きな世相では動きやすい。
資金を動かすときを見極める――それは匂い、空気をかぎ取ることで周りよりも一歩二歩早く抜きんでる。そして、その判断をスピーディーに処理するために自分に権限を集中させておく。
これが上手く資金を効果的に動かしていくこつです。
そして、動かさない時はそんなに意識しなくて良いのです。もちろん動かさないことで勝負するときもあります。それはエネルギーを温存させる戦い方です。
動かすときが、勝負。
大事です。