トランスサタニアンとユング元型

ホロスコープ
イラストAC

またまた読まれなさそうな硬い記事タイトルですねー!!!
もっと「3分でわかる★アセンションするためのトランスサタニアンの使い方♪」とか、そういうキャッチーなタイトルをつければいいのにー。

でもまあ、そもそもがマニアックな内容なので、マニアな方がニッチにお読みいただければいいのかなと思います。マニアに行きますよ!ヒ~ウィ~ゴゥッ!!

And so now nothing can stop me~~~

この本 神話のなかの女たち―日本社会と女性性は、ユング心理学を研究している精神科医(精神分析家)の方が書かれた本です。そこでユングの元型論で精神疾患をこう説明されてるんですね。

精神病とは、ユング心理学的にみれば、<自我・意識>のコントロールを越えて元型的なモチーフが意識野に噴出してくる現象であり、何らかの理由で弱い、あるいは固い<自我>をもつ患者が、強い元型的モチーフに圧倒されるか、所有されるか、または破壊された状態像である。

神話のなかの女たち―日本社会と女性性 p173

ここ読んで、私、思ったんですよ。
「これって、トランスサタニアン的現象だよなー!」と。

<自我・意識>というのは、土星までの惑星領域です。土星より外側の、いわゆる外惑星・トランスサタニアン(天王星・海王星・冥王星)は強烈なる元型エネルギーの眠る場所、潜在意識や無意識の場となります。

精神病とは、<元型>のエネルギーを<集合的意識>に基づいて<自我・意識>の枠内で有効に使いきれないときに起きてくる、混乱の状態と考えられる。(中略)

病因論的には不明であるにしても、病態形成的レベルにおいては、現代的諸問題は、精神病的障害の症状に大きな影響をもっている。
精神分裂病にしろ、ほかの精神病にしろ、その症候面や発病の契機で、現代の文化のあり方に影響をうけぬものはなく、患者は、何らかの持続的な葛藤の末、元型的力を取り扱う力を失い、それに圧倒され、精神病の発病へと至るのである。

神話のなかの女たち―日本社会と女性性 p174~175

この現象を西洋占星術的に言い換えると、トランスサタニアン的なエネルギーがいきなりガッと強烈になだれこむと、人間は肉体なり精神なりが破壊されてしまうということです。

土星までの意識が作りあげる太陽系の秩序を、トランスサタニアンは太陽系外の銀河系宇宙エネルギーを持ちこむことで壊していくわけです。だから、物質的な視点で見るなら、それは破壊であって疾患であります。

ほら、トランスサタニアンのハードアスペクトの解説って、おどろおどろしいこと書いてあったりするでしょう。あれって、実は浄化なんですけど、物質的な視点(社会常識的な視点)で見たら、ただの災難なんですよね。

スピリチュアルなこと好きな人って、「浄化」をすっごいありがたがるじゃないですか。だけど、実は一番強烈な浄化って、死なんですよって話で~。
まさに冥王星。肉体を離れて銀河系宇宙へと還っていくという。

「太陽系の価値観にとらわれない。もっと宇宙的な価値観で生きていく」
なんてのも、スピリチュアル好きやスターシードにとっては魅力的な考え方に見えることでしょう。だけど、それって危険と背中合わせだったりもします。

ユングが警告するように、あまりに早急な他文化との同一化は<自我・意識>にとって危険をはらんでいる。

というのは、それは自分自身のルーツとのコンタクトを失わせ、必然的に、心の「大地的な側面」との接触を喪失させがちとなるからである。(中略)

先述したように、<集合無意識>そしてそのなかに宿る<元型>こそ、人間のエネルギーの根源であり、<集合的意識>とは、建設的な方向でそれらと接触をとる人間智の集大成なのである。

この<集合的無意識>と関係が切れていく過程は、<無意識>との交流の欠如というかたちで現象し、抑うつ状態をつくったり、さまざまな適応障害を形成したりするという結果を招来する。

神話のなかの女たち―日本社会と女性性 p181

「早急な他文化との同一化」はヤバイ。
いくら宇宙人のチャネリングメッセージが素敵に見えても、それをいきなり全部摂取して生かそうとするのはヤバイ。なぜなら、「心の『大地的な側面』との接触を喪失させがちとなるから」。

西洋占星術的に言い換えるなら、トランスサタニアンを使いこなそうと、そのエネルギーを取りこみまくると肉体か精神が破壊されてしまう。「うつの人が瞑想するとメンタルを悪化させるケースがある」ってのも、これですね。

トランスサタニアンのエネルギーって強烈です。
ネイタルでトランスサタニアンとのアスペクトを多く持っている方は良くご存知でしょう。

トランスサタニアンにハードアスペクトが多いと、地上的な日常生活とバランスをとるのも一苦労になります。私もトランスサタニアン3惑星すべてにハードアスペクトがありますので、実感としてわかります。

そんな私は、意識的な感情のマネジメントが必要です。
↓こちらの記事に書いた通り。

だけど、トランスサタニアンというのは「太陽系ともっと広い宇宙」との掛け橋でもあります。トランスサタニアンのエネルギーをシャットアウトしてしまったら、魂の成長は止まってしまうでしょう。

「がんになったからこそ大切なものに気づけた」とか「うつになった日々があったからこそ、どう生きていくべきかわかった」とか、そういう話ってよくあります。こういうのもトランスサタニアンにガツッと一発殴られてハッと目覚めたわけです。物質的視点で見ると悲劇なんだけど、魂的視点で見ると大切なプロセスなわけですね。

だーけーど、それも「程度問題」で。
トランスサタニアン的パワー、ユングの言うところの元型の強大なエネルギーを無防備に取り込みすぎると、肉体や精神が壊れます。

だから、ユング心理学では人生前半では社会適応しろー!っていうんです。若い頃はしっかり働いて人間関係を築いて社会に馴染みなさいと。魂の求道、全体性の回復は人生後半戦でやりなさい、と。

ヒンドゥー教でも人生を学生期・家住期・林住期・遊行期と、「それぞれの時期にすべきこと」を分けて考えます。人生の前半、学生・家住では俗世的な生活をし、それが終わってから林住・遊行とスピリチュアルな精神探求をなさいといっているのです。

(ちなみに、算命学も中年期、40歳過ぎたくらいから学ぶのが良いと言われます。そういう哲学を通した宇宙研究は、やはり年齢を重ねて人生経験をつんでこそ役に立つというわけです~)

どうしてユングもヒンドゥー教も「若い頃は社会に馴染め!」というのか。それは人生経験のベースがないと、意識の深みに潜っていって元型パワーに触れた時にバッコリ精神が破壊されちゃうよ~危ないよ~って話だから。

私も、よく「グラウンディング~グラウンディング~!地に足をつけろ~フワフワするな~!!」と呪いのようにブツブツブツブツ繰り返してます。

なぜなら、ベースがしっかりしてない状態でスピリチュアル方面に行っちゃうと危険だから。

たまにあるんですよ。「精神世界探求をしています!霊的能力を開発したいです!」って人に限って「いやいやいや、あなたコミュ障でしょ。いかんですよ」ってこと。そんな状態で霊的能力開発しちゃったら下手すると統合失調症認定されて精神病院収容確定です。

ダメです!!
もっと社会性を養ってからスピリチュアルな道に入ってください!
って話なんですよねぇ~。

私が徹底的にコミュ障(コミュニケーション能力が低い状態)をディスるのも、ここがスピリチュアルブログだからです。

「自分って人見知りで~」とか「内向的で~」とか「社会に馴染めなくて~」みたいな人がスピリチュアルな道に入っちゃうと、ほんと、あの、まずいです。ダメです!!!

社会不適合な人がスピに来ちゃうと、ユング的にいうなら元型にパックリ食われて精神やられちゃいますよ~。だってベースがないんだもん。すなわち、グラウンディングが弱い。

密教とか禅宗の修行でも、いきなりスピ方面に振らないでしょ。はじめは掃除とか炊事とかやらせるでしょ。ベースを作るためですよ。まず地上的な事柄をちゃんとこなしてグラウンディングしてからじゃないといかんのですよ。

それが今の世の中的には「しっかり学校に行って卒業する」とか「働いて職場の人と人間関係を築く」とか「パートナーとの関係から学ぶことで自分の男性性と女性性を統合する」とか、そういうことです。日常生活がイニシエーションです。

そういうベースができてからトランスサタニアンの力を引きこんでいくといいわけです。でも意識的に引きこむというのもなかなか難しいので、受け入れていく「これがそうだったのか」と気づくという感じですね。

そうやっていくと、物質性と精神性のバランスを取りながら魂を磨いていくことができます。

「今自分が過ごしている毎日なんて大したことがない、生きてる意味がわからない」という人は、ユングのいう「第一半生」、ヒンドゥー教のいう「学生期・家住期」のミッションを理解していないわけですね。

意味のないことは起こらない、意味もなく今の日常生活を送っているわけではないのです。
ちゃんと、そうすることで「ベース」を作っているのです。

古代エジプト人は普段の生活こそ、もっとも重要な学びの場とみなしていたのです。古代エジプトの見地からすれば、今生で起こりくる全てのことは学習の課程であり、通常の世界で死といわれる高次の存在レベルに備えるための教習所だったのです。

人生とは教え学ぶことに尽き、古代エジプト人にとっては、私たちが日常生活と呼んでいるものにこそ理解を超える深遠な意味があると見なしていたのです。

フラワー・オブ・ライフ ― 古代神聖幾何学の秘密(第2巻) 10.神秘学派「ホルスの左眼」 P65
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