どうして本格的な占いは「難しい」と言われてしまうのか

占い
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西洋占星術でも東洋の干支占術でも、よく「難しくて良くわからない」「難解だ」という声をききます。

初心者向西洋占星術の手引きである、まついなつき先生のしあわせ占星術 自分でホロスコープが読める本

私は、わかりやすくてとーってもいい本だな!と思っております。2020年8月7日現在、Kindle Unlimitedで読めますので、Kindle Unlimitedに登録している方は、ぜひ読んでみてください。おすすめです。

でも、そんな本にもこんなレビューがついております。

う~ん、やっぱり占星術はむずかしい、ようです。なぜそう感じる方がいらっしゃるかというと、「レイヤー(層)を重ねていく作業」というのが複雑に見えるのではないかと考えます。

↓これなら誰でもわかるわけです。

占い師
占い師

あなたは12月28日生まれだから山羊座です
あなたは真面目な人です

ですが、これだと単一レイヤー、つまり人間を12星座(12種類)という単純分類でふりわけるので、大変雑になります。当然こんな反応も出るでしょう。

自分確かに山羊座ですけど
そんなに真面目じゃないと
思うんですよね…

西洋占星術における太陽星座、つまり「●月×日生まれですからあなたは△△座」という情報は重要です。ですが、それだけでわかることは限られています。ですから、レイヤーを増やして、もっと掘り下げてみていくのです。

  1. 惑星の種類:太陽
  2. 惑星のサイン:山羊座
  3. 惑星のハウス:11室
  4. ハウスのルーラー:木星(カスプ:射手座)
  5. 他の惑星との主なアスペクト:△海王星(乙女座)、□水星(天秤座)

さて、この場合は5つのレイヤーが加わりました。層を重ねていくと、どんどん情報を深く掘り下げていくことができます。

占い師
占い師

あなたが一番生き生きできるポイント、それはみんなのために頑張ろうとしている時ね。責任が重くても、かえってそっちのほうがやりがいを感じたりするタイプだわ。

でも、あなた自身はそういう集団で一つになって義務を果たしたりすべきことをなしとげたいと思うのだけれども、どうも周りはフリーダムであなたの言うことは聞かない人に囲まれているみたい。好き勝手に自分のやりたいように動きたい、おおらかな直感タイプの人が周りにいそうね。

あなたが「こうすべき」と主張すると「また理屈こねるのかよ」と嫌な顔をする人もいそうね。

そ、そうなんですよー!
なんでみんなそんな自分勝手なのか
わけわかんないっすよ

みんなフリーダムすぎるから
自分のほうがおかしいのかなって思っちゃいます

占い師
占い師

そうね、そんな中であなたはどんな役割を果たしたらよいのかしら?
どうすれば、あなたはイキイキできるのかしら

これは星を見ての私の意見なのだけれど
あなたはそういった気楽な冒険を好むフリーダムな人たちに秩序を与え、集団としてまとめていくことができる人なの。

そういうフリーダムな人たちって、個々人は優れていたりするのだけれども、人と協調するのは上手くない。
でも、あなたは適度な線引き、ルールが人間関係には必要なことをわかっているわ。

だからそういう人の間に入って行って、まとめ役をやってみてはいかがかしら。不思議とあなたのいうことに説得力を感じる人も出てくると思うわ

わかりました!
リーダー任せられると
確かに燃えます!

こんな風に見ていくのです。
しかも、これはホロスコープの10惑星のうちの1惑星だけの情報ですので、この10倍の情報量プラス他の技法を使ってみていくことになるわけです。

この「レイヤーを重ねていく過程」でこんがらがっちゃうんだろうな、と。

算命学/四柱推命でも「甲は一本気!正義感が強いです!」って日干を見るまでなら、ほとんどの人がそんなに混乱しないと思うのです。「5月4日生まれのあなたは牡牛座でマイペースな人です」みたいにわかりやすいですよね。

でも、「日干は甲で面倒見のいい性質があり、陰占では位相法で支合と冲があって、なかなかアクシデントに遭いやすい人なのだけれど、陽占の中心星は龍高星でそんなアクシデントもむしろ刺激になって楽しいタイプなんだけど、今年は牽牛星と天貴星が巡ってきているから浮ついていない真面目さがあって――」みたいなことになると「一体どないやねーん!!!」って話になりますよね。情報内で普通に矛盾もするし。

ですが、それこそ、人間というものではありませんか。

そんな薄っぺらく「あなたは明るい人です!」とか「あなたは正直な人です!」とか、そんな風に一言で単純に断じることのできないのが、時には心の中に矛盾を抱えているのが、人間というものではありませんか。

だから、レイヤーを重ねていって、複雑に観て行くわけで。
そして、多分そこが「難しい」と言われてしまう所以なのでしょう。

しかも、陰は時には陽になり、陽は時には陰になります。
同じ土地にいても、夏になれば暑くなり冬になれば寒くなるように。

陽は太極を宇宙を世界をそのまま表現するものです。これの裏打ちが陰です。

もともとそれは太極に統一せられている属性である。だから何時も陰陽と相対しているけれども、同時に陰と陽とは相待っている。

だからあるものが陽性であるから、陽にばかり働くを思ったら間違いで、場合によっては陰にも働く。(p86)

人体を例にとりますと、乳酸というものは燃料のようなものであるが、場合によってはアルカリにも作用する。梅干し番茶も同じ、梅干の酸は胃の中に入るとアルカリに変わる。中和の役目をなす。

陰陽相対性(相待性)原理から考えて忘れてはならんことです。
陰と陽とは別々ではなくて、相対であると同時に相待している。(p102)

安岡 正篤 「易経講座 運命を開く知恵 人間学講和」

イラストを描く人向けに説明すると、ある絵を見て「なるほどなるほど、ここはこのフィルタをかけて透明度を下げてアルファチャンネルをつくって文字を入れて――」と、そのCGがどのような工程を通して作られたのか見当をつけられますよね。

占いもそれなんです。
命式とかホロスコープを見て、一つ一つのパーツ(レイヤー)を見ることで全体的にはどんな形になっているのか、エネルギーの流れ方を見るのです。

そして、センスの良い絵師は「ここ、ちょっと暗いから透明度10%でオーバレイかけようかな」と「絵を美しく見せる方法」を知っています。

優れた占い師も同じで、「この配置だと、こういう癖があるかもしれない。そういう場合はこういうところに行けば生かせるんじゃないかしら?」と「人の人生を美しくする方法」を知っているわけです。

そのためには、一つ一つのレイヤーがどういった構成になっていて、どのような重なり方をしていて、そして本人はそれについて自覚しているかどうか、使い方がわかっているかどうか、ということを理解している必要があります。

結局、基礎を一つ一つ積み重ねているだけなのです。
でも、何層にも重なっていくと、難しく見えるのでしょうね。その万華鏡のような複雑さこそが、面白いんですけれどもね。

でもね、私、占いが難しい、わかりにくいというならば、それはそれで良いとも思うのですよ。なんでもかんでもわかりやすくすると、弊害が出てきますから。

ネットでは「10分でわかる!」なんて記事があふれていますよね。確かにそういうわかりやすい情報を入門編にして、さらに自分で深めていくなら、そういうネット記事も「世界で一番わかりやすい○○の本」を読むのもいいんですよ。

ニュースをわかりやすく解説した「そうだったのか!」シリーズでおなじみの池上彰さんは、このようにおっしゃっています。

私が書く本も、やはり「基礎英語」「続 基礎英語」のようなもので、あくまでも導入と考えてほしいのです。

「基礎英語」だけ聴いていてても、本当に初歩の部分を覚えただけで、それで英語ができるようになったとは言えないでしょう。
英語を勉強するからには、「基礎英語」や「続 基礎英語」で満足するのではなく、「英会話」「ビジネス英語」の難しい英語を学習し、英語の達人を目指したいと思うはずです。

それと同じで、ニュースも「基礎英語」「続 基礎英語」が理解できたら、その先にどんどん進んでいってほしいと思っています。

わかりやすさの罠 池上流「知る力」の鍛え方 (Amazon)  P21

わかりやすく噛み砕かれた情報記事を見て、「それでわかったような気分になって自分で調べない」というなら、わかりやすすぎるのも問題ですよね。

「ネットの無料ブログにある情報だけで算命学を学ぼうとするなんて!」と呆れておられる占い師さんがいました。私を西洋占星術に導いてくださった北原サビアンさんも「原書を2、3冊読んだくらいで占い師きどり」と嘆いておられました。私も同感です。

これは占いだけの話ではありません。どんな情報であれ、それを仕事にできるくらいディープに深めようと思うなら、専門書をあたることは必須です。

ネット記事ではいけません。ネット記事はそこまで長文ではありませんから、一つのテーマについて体系的に掘り下げるのはなかなか厳しい。ブログ記事なんて、長くてもせいぜい1万字でしょう?

やはり書籍(電子書籍を含む)形態になっているものを手に取らないと、薄っぺらい情報しか掴めない結果に終わってしまいます。
特に今は情報過多な世の中ですので、上質の本を少数(何度も)読むというのは余計大切なこと。

え?
「じゃあ、このブログ記事は読んでも意味がないのか」ですって?
だから、とっかかりとしてはOKなんですよ。そこから本を読んでほしいと言っているわけです。だからこのブログで多くの本をご紹介しておるのですよ。

ちなみに、アフターコロナの世界がどうなるのか、豪雨被害が続く今後はどうなるのかを知りたい方は、ナオミ・クラインのショック・ドクトリン〈上〉――惨事便乗型資本主義の正体を暴くをお勧めいたしますよ。

「情報が多すぎて、何を信じたらよいのかわからない」そういうときに信頼できるのはやはり読み継がれてきた本、古典であります。
私も今、安岡正篤先生の本を読んでおります。温故知新でありますよ。

占いの場合も本格的に学びたい場合は、先生につくか本を買ったほうが良いと思います。

ネットの独自解釈ももちろん読んでいて楽しいです。
だけど、それを発展性ある技術として取り込めるのは、やはり基礎あってこそ。基礎はとても大切です。そしてネットの占いブログ記事のみで基礎力をつけるのは、なかなか難しいことだと私は思います。

そういう基礎がついていない人は、余計に「占いって難しい」と感じてしまうのかもしれませんね。

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