運命を、改良していく

占い

私が高尾義政先生の算命学の教科書を読んでいて、好きだなーと思うことの一つは
「こういう配置があるから不幸」
と言わないことです。

高尾先生は「こういう星を持ってる人なら、どういう環境だったらその人がいきるのかなって考えなさい」っていうんです。愛ある思考だと思いませんか。

つまり「星の使い方次第で、その人は生きもするしダメにもなる」ということなんです。どれだけ「大幸運」という配置を持っていても、自分の望まない方向に使っちゃってダメになっちゃう人もいます。

要するに、一番大切なのは「自分が何を望むか」「どう生きたいか」なんです。
算命学ではそこで「自分を変えるというよりは環境のほうを合わせていく」という考え方をしています。個性を大切にして、その個性が生きる環境に自分を置きましょうという思考です。

そして、その「環境を変えていく」というのを「運命改良」といいます。私も無意識のうちにそれをやっていて「なるほど!」と思いました。


私は15年前、元々わりと適当にセッションやりたい人を受けつけてました。「セッション受けたい人は声かけてね〜」くらいのユルさ。

はじめはそれでも良かったのですが、希望者の数が多くなってきて、いちいちメールで一人ひとり必要事項を聞き出して日程調整をしてと、そういう形で受付するのが億劫になってきました。そこで、セッション受付用にサイトを立ち上げることにしました。

その時につけた名前が「リンデンバウム」。
由来は南野陽子さんの映画です。

あぁー!ナンノちゃん好き好きスッキー!!!という話はブレない。意志の強いあなたが好き~戊の人にモリモリ書いたので省略します。

そういう感じで、あんまり深く考えずに、安直にサイト名を決めたんですね。
でも、これが算命学の視点から見ると「見事な運命改良」になっているのです。

私の理想(南)は龍高星で、仕事の星(東)は鳳閣星です。水火の剋で、しかもお互いに陽だから反発もあって強烈な状態です。

つまり、理想ではもっと改革を推し進めて知的に進めたいけれども、お金になって食べていける方法と考えると「楽しくて遊びがある」ほうが良いのです。そして理想が現実(東)を剋す形になりますから、そのままだと「こんなことやってて意味あるの」って、現実的な仕事のやり方が剋されちゃうんですね。

だけど、じゃあ理想通りにやったら、それもお金にはならない。だって、「最新の量子力学の論文について瞑想体験からのメッセージを用いて考察したスピリチュアル的な視点」を10記事連続で公開したとして、読んでくれるお客様は……今の3%くらいしかおらんと思いますよぅ……。

私がブログ記事を書く時に口語体で崩すのも、陽キャラなのも、(意識してやってたわけじゃないんですけど)鳳閣星のエネルギーを使っているんです。そうしたほうが私の場合はお金になるんですね。逆に東に牽牛星なんかあるブロガーさんは「です、ます」「~だ、である」調に統一して崩さない文体のほうがお金になりますよ。

ふさわしいやり方は人によって違う。
星を使うとはそういうことなわけで。

私は星がそんな状態なので、理想と現実がせめぎ合っているのです。
これは人格を深めて魂を磨いてくれる配置でもあります。

でも、ちょっと辛いです。特に水火の剋は激しいし、鳳閣星+龍高星は算命学の教科書には「寿命も縮ませかねない」とか書かれてるほどです。しかも私は身強ですから鳳閣星には天南星がついており、龍高星には天将星がついています。激しすぎ!!

じゃあどうしよう。辛いのをもうちょっと何とかできないべか。
こうしたときに、水火の剋を和らげてくれるのが「木」です。水→木→火で、相剋を相生のスムーズな流れに変えてあげるのです。

そう、リンデンバウムというのは菩提樹です。木なんです!!
意識してなかったけど、実は運命改良してたー!!! 面白い。

厳密に見るなら、陽の水(龍高星)と陽の火(鳳閣星)を和らげるクッションとしては樹(陽の木)よりも草花(陰の木)のほうが適していますので、花の名前だったら100点満点でしたね。La vie en roseとか、Happy Cloverとか秋桜園とか。

知人に、企業に所属して仕事をしているイラストレーターがいます。
その人は中心が土性の星で、何とまわり三方が木性で剋されており、最後の一つは金性でもれています。

こんなに剋されるのは身強じゃないとなかなかつらいのですが、彼女は身中なので、ちょっと「剋され過ぎ」と言えます。金性に漏れるのも剋されまくった後の身中にはちょっと辛い。

現実的には「いつもニコニコして周りからは好かれてるけどNOが言えないことで自分はストレスがたまってしまって、人から頼られると応えたくて(土→金)疲れてても嫌だと言えない」という状態を作りだしやすいです。

でも、彼女はここで「火」の仕事をしているんです。つまり創作です。
彼女の作品は、実はそんなにアーティスティックじゃないというか、芸術性という点で見るとあんまり、その、天才的ではありません。

ですが、実に幅広い層に違和感なく受け入れられるイラストを描きます。子どももお年寄りも若い人も、公共の場所で見てもまったく問題のないような、嗜好性は低くても全方向に好感度の高い絵を描くことができます。いわゆる「萌え絵」とは真逆です。

だからこそ企業所属のイラストレーターなのです。

つまり、十大主星に「火」がないから、あんまり芸術性はないのだけれども、中心が土性だからたくさんの人を惹きつける仕事ができるということです。しかもその土性の星は木性から剋されることで社会適応性が高まった形で使えるようになっています。

ちなみに石門星もあるので、集団でのチームワークも良い人。社員イラストレーターとしてより上手くやって行けているわけですね。

そして、「火」の仕事をすることで木土の相剋を「木→火→土」と相生の形にして和らげているのです。つまり、彼女は元々Noが言えなくて辛くなっちゃう(木剋土)のですが、人とのコミュニケーションの手段に「作品(火)」を持ってくることで相剋をゆるめることができるのですね。

現実的にはどんな感じかというと、クライアントが「こうしろああしろ」とかなりの負荷をかけてきて辛い時に、要点は抑えつつもクライアントの言うことを聞かずに自分の感性のまま作品を作ってしまうのです。

そして、作品をとにかくぶつけてみる。そうするとクライアントは「最初の指示よりもこっちのほうがいいじゃない」となるわけです。直接Noが言えないから、作品で示すとエネルギーがすっと流れるわけです。

土から金に漏れて(疲れて)しまいがちなエネルギーも、作品を間にはさめば金を剋することができます。だから、頼られても本当に嫌な時は「作品」を持ち出すことで金を剋することができる、つまり、圧を出して遠ざけることができるのです。

あのね、実はね、三浦春馬さんも彼女と似た命式なんです。中心司禄で北と南からダブルで貫索星で剋されてる。優しいからNOが言えなくて剋されちゃう。しかも身弱だからダブルで剋されると追いつめられすぎちゃう。

生月中殺だから、ただでさえグラグラで不安定(芸能人と考えると感性を高めるという長所でもありますが)なので、剋されるダメージがハンパない。普通の人は傷つかないところでザックリ深く傷ついちゃう人。

三浦さんの場合は西に調舒星(火)があるので、ここを上手く使えるかどうかが「剋され過ぎてつらい」から上手く逃げるポイントだったんです。パートナーやマネージャーに調舒星的な人がいて、上手く三浦さんの辛さを和らげて(木→火→土)あげられれば理想的だったんですけれども。でも調舒星の人はマネージャー(補佐役・西)向かないしなぁ…。やっぱパートナーかな……。

星を上手く使うって、大切です。

対立を和らげる「調停のアスペクト」

西洋占星術でも似た方法があります。「調停(メディエーション)」のアスペクトです。直角三角形の形になります。

図のように、オポジションで対立している(東洋占術でいうところの冲ですね~)星を、そのオポジションに対してトラインとセクスタイルを持つ位置にある星があると、オポジションの仲立ちをしてくれます。相剋を相生にしてくれる星と似たような作用をします。

上の画像の配置の場合、月と天王星がガツガツやりあっているところに太陽と金星が「まあまあまあ」と仲裁に入って行くのですね。

もちろんオポジション自体のエネルギーも自分の中で使いこなせるようになることが最終的には大切です。オポジションをなくそうとするのではなく、一時的に和らげることで事に当たりやすくするということです。

エベレストにいきなり登るのは辛いから、はじめは高尾山に登ろう、次は富士山、次はモンブランというようなものです。でも、最終的に目指すのはエベレストなんです。この最終目標に到達するのをやりやすくしてくれるのが、調停してくれる星です。

これがオポジションのみの場合は、「エベレスト登頂」という目標に向かって、少しずつ低い山からのぼって目標をワンステップワンステップと刻むのではなく、ずうーーっと地上でトレーニングして鍛え続けていきなり挑戦する形になります。

富士山なら登頂できる実力でも富士山にはいかずエベレストの3合目まででも登ろうとします。だから、なんども失敗します。
オポジションを使いこなすことによる「視野の広さ」「器の大きさ」が手に入るのは、人生の後半と言われるのはこういうことです。オポジションは長い目で見ていくことが大切です。

対して、スクエアはそんなのんびりしたこと言ってる余裕なくギュンギュン迫ってくるので、結果割と使いこなせるのが早かったりもします。

メディエーションのアスペクトを持っている人は自分の内側の矛盾は他者との対立で「つ、つら~」となったときに「調停している星」を意識的に使ってください。楽になります。

出生ホロスコープ内に調停の配置がなくてオポジションだけとかTスクエアがあるとかいう場合も、トランシットの惑星が調停の位置に巡ってきた時は、その星を使ってやわらげることができます。

例えば、調停している星が金星だったとしたら「趣味に没頭してストレスを発散する」とか「エンタメ系の楽しみをその関係性に持ちこむ」とか、「女性的な柔らかさを関係の中で意識する」とか、そういう感じで使います。

占いに対して「もう運命は決まっている」と思っている人がいますが、そんなことはありません。自分の持つ星を輝かせることができるか、そうでないかは、あなた次第なのです。

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