「普通じゃない」が穏やかな生活、幸せにつながる人

四柱推命/算命学
写真AC

柳田邦男さんのわが息子・脳死の11日 犠牲 (サクリファイス)を読みました。

息子は、ぼくに向って「親父は作家だろ、作家なら、他人のことばかりカッコよく書いてないで、自分のこと書けよ、この家のなかの地獄を」と、何度もいってましてね。

べつに地獄を書くのが目的じゃないんだけれど、息子はいつも、見栄や世間体を取り払った真実を求めていた。

どこの家族にだって、いろんな問題をかかえて悩んでいるにちがいないのに、それを屋根の下に閉じこめて、外見を取りつくろっている。

だけど、わが家についていえば、一番苦しんだ次男が自分で命を断ってしまったいまとなっては、もう世間体やメンツなんかクソ食らえという気持ちになってね。

息子は鈍感な通常人には見えないものを見てしまった。人間存在の根源的な孤独の世界とか。それを息子に代わって書き残さなければと思うようになったのです。

わが息子・脳死の11日 犠牲 (文春文庫) P260

これは、25年前(1995年)のベストセラーです。発刊当時は私は全然本を読まない学生だったもので、話題になっていたことも全く知りませんでした。多分、母は読んでいたと思われます。読書家な人なので。

ひょんなことで2020年の今知って、なにげなく手にとってみたらビックリ仰天。
濃すぎてどっから何言っていいかワカンナイヨ~!と語彙力もIQもダダ下がりの破壊力。すごいです。

なぜなら、柳田邦男さんは「妻が30代の若さで精神を病んでまともに妻/母の役割を果たせなくなり、長男は大学生の時ウイルス性脳炎であやうく命をおとしかけ、次男も妻と同じく心を病んで25歳で自殺」、この最後の「次男が心を病んで25歳で自殺」を書いたものがわが息子・脳死の11日 犠牲 (サクリファイス)になります。

私が語彙力0になってしまうのもお分かりいただけるかと思います。ちょっと何言っていいかわからないですよね。

ノンフィクション作家・柳田邦男

さて、柳田邦男さんがどんな作家なのかを少しご紹介しますと、主たる経歴(受賞)は以下の通り。

こんなすごいノンフィクション作家なんですね。たくさんの著作があります。
弱者の視点に寄り添う優しさと冷静な筆致を両立させている方です。

柳田さんは薬漬けでまともにコミュニケーションできない妻に代わって家事をやり子どもの通院に付きあい、その上で仕事もこなしていたんです。想像を絶します。

私は最近算命学を勉強してるもんですから、算命学は東洋思想なので「家系の流れ」とか「家族の血の結びつき」とか「家の繁栄」とか、そういうものをとても大切にする思想なんですね。

なので、「この一家、算命学的に見てどうなのよ!?」って思ったんです。

「普通」にならなければ幸せになれる人

ちょっと重くてハードすぎるかもしれないので、とりあえず解決法というかオチだけ書いておきます。
こういう人は、「普通」をやめれば幸せになれます。「普通に恋愛して普通に結婚して普通に子どもや孫に恵まれる人生」に行くから、不幸になるのです。

柳田さんは息子の死後、更に精神状態を悪化させた奥さんのサポートに疲れ果て離婚なさいます。2012年10月26日の朝日新聞で、「別れた妻は心の病。20年くらい、毎日が修羅場みたいでした」と語られています。

そして2001年ころ再婚されます。再婚した妻には前夫との間にできた娘がいらっしゃいます。その娘さんとは良好な関係を作られているようです。

↑こちらの本は、柳田さんと義理の娘との共著になります。

実は、柳田さん、大運天中殺中に再婚されているんです。
一般的に「天中殺中に事を起こすのはよくない。天中殺中に何か手に入れたものは、天中殺が終わったら天に返すことになる」といいます。成果を上げても無になって手元に残らないのです。

ですが、再婚後約20年経っても離婚されたという話は聞かず、柳田さんの尽きぬ絵本への想いには奥様との交流及び愛情も透けて見えると思うのは、私の気のせいでしょうか。今の奥様は絵本作家さんなのです。

人生の1冊の絵本 (岩波新書)
最新の書籍もこの通り。

柳田さんは、妻の精神病や長男の脳病、次男の自殺と破壊的ともいえる家庭の崩壊を経験した後、今の家庭では妻とも娘とも、少なくともそこまで破壊的には過ごしていないように見受けられます。

算命学的に見るなら、この差は何なのでしょう?
私は「普通の結婚」と「異常な結婚」の差ではないかと見ています。

算命学的な定義としての「普通の結婚」というのは、男女が夫婦になり長男に恵まれる家庭をつくることです。子どもがいなかったり女の子だけの家庭は算命学的には「異常な結婚」とカウントされます。

子どもがいなかったり男の子に恵まれなかったら異常って
失礼な!

こう思われたかもしれません
しかし、ここでの異常というのは、頭がおかしいとかちゃんとできていないとか、そういう意味ではないのです。

算命学的に表現するところの「異常な結婚」だからこそ幸せに平穏な結婚生活を送れる人もいて、逆に「普通の結婚」だととんでもない不幸に見舞われる人もいるということです。「異常な結婚」のほうが良い場合だってあるのです。

柳田さんの2回目の結婚は子どもを作らない結婚、算命学的には「異常な結婚」です。
だから天中殺中に結婚しても、天中殺が明けた後に離婚しない。つつがなく続いていける。そもそも家庭形態そのものが「異常」なのであるから、妻や義理の子に異常が出ない。

はじめの結婚は算命学的にちゃんとした結婚にカウントされる状態だったんです。夫婦になって男の子に恵まれていましたから。

しかし、そういう「普通の結婚」に向かないタイプというのは必ずどこにでもおるものでして、柳田さんはそのど真ん中だったと言えましょう。ちょっと敢えてどこかを普通からずらしたほうが上手くいく、穏やかに暮らせるという人も、世にはおるのです。

多くの人の深い悲しみを癒す苦しい体験の価値

禄存天将
天堂牽牛石門
天南鳳閣天報

柳田さんの日干支は壬戌。流派によっては魁ごうとする干支です。でも、魁ごうを持つ人が全員配偶者も子供も心を病んで自殺するわけではありません。

生年中殺をお持ちですが、右肩は天将星なので「むしろ中殺されててよかったんじゃないですか」とも言えます。健康な少年だったようです。
ちなみに、お父様は敗戦の翌年、邦男さんが10歳の時に亡くなられています。母子家庭で経済的に困窮していたので、大学まで出るのは大変な苦労をされたようです。

年支と月支の七冲も、社会に出るまでの苦労をしのばせますね。
しかし日支と月支は半会なので家庭と仕事によって発展も期待できる配置です。

五徳で五行バランスも取れてて、左足は天南星で壮年期に身強の星3つが巡ってくる大運をお持ちで「ンマ~結構なことザ~マス~」とミーはおフランスに行きたくもなります。清星4の濁星1の、波乱を好まぬ穏やか~な人。

こんな穏やかな命式のどこに波乱があるというのでしょう?
妻も子も心を病んで離婚したり自殺したりするような命式にはとてもじゃないけど見えませんよね?

柳田國男さんの場合、大運天中殺+変剋律天中殺による「50年天中殺」が特に効いているのではないかと思います。

そもそも天中殺というのは、運命のタガが外れた状態で上に行くならいくらでも上に行っちゃうし、下に行くならいくらでも下に行ってしまいます。「いや、普通そうはならんだろ」というレベルになるんですね。

ですから、自分の力量以上の華やかな活躍ができたり、とんでもない不幸に見舞われたりします。「天中殺中は自分で積極的に動くな」といわれるゆえんです。受け身に過ごしていれば、それほど怖くないというのはこういう意味なのです。

柳田さんは40歳~80歳付近まで、ずーーーーっと天中殺なんです。
だから「普通に生きよう」とすると、極端なことが起こるのです。普通に結婚して家長としてふるまい子にも恵まれなんて生活をすると、とんでもないところに行きついてしまったりするわけです。

そして、私もこの大運天中殺+変剋律天中殺で「人生のうち50年間は天中殺」人間です。
自分の意思でモリモリ人生切り開いていくぞー!!とか、MURIなんですよね……トホホ。

基本、今の仕事が上手くいってる(食えている)のは、私が積極的に動くのではなく上の人(ガイド)の指示に従って「ハイハイ」と受け身に動いているからだと思います。流れに逆らわず受け身で生きます。ハイ……。

柳田さんの生き方をみて私たちは「これほど激しい人生になるのはちょっと勘弁してほしいな」と反面教師として学びにはできます。

しかしながら、本人としては起こったことは背負わねばならぬわけで、それを柳田さんは見事に背負われて、悲しみ苦しみの中にありつつも今日(2020/06/22)84歳という長寿を生き抜いておられるわけです。

そして、わが息子・脳死の11日 犠牲は多くの人の心を揺さぶり、涙を流させ、心を慰めることになりました。柳田さんの深い深い苦しみこそが、重い悲しみを背負う人たちの心を癒すことになったのです。十字架を背負ったキリストが、多くの人の救いのシンボルに変容したかのようです。

深い悲しみを通じて今の社会に欠乏しがちな「自分は一人ではない」と思える心の温かさを伝えたのです。

そう考えると、やはり「神様は越えられない試練は与えない」という言葉は嘘ではないということになります。
右足の天南星。この身強の星が老年期あることこそ「あなたはどんな試練でも越えられる。そして伝えなさい」という使命を示しているとも言えますね。

惜しむらくは、自ら命を絶ってしまった次男の洋二郎さんも、命式を見ると父と同じく晩年に天南星の巡る大器晩成型であること。

「生きてるだけでOKっしょ♪」と開き直れる鳳閣星的ノンビリさが持てればしんどい若年~中年期を乗り越えることも期待できたのですが、生月中殺の中心が牽牛星で西も牽牛からの南は車騎。「男子たるものッ!立身出世の道を選ばぬなら生きてる価値などないッ!!」とプライドがエベレストでチョモランマ状態です。

地位がないと生きていけないというか、命が生きるに値しない。大学中退のタイミングで自死を選んでしまったのも、残念なことですが、そうせざるを得なかったのかもなと想像します。

男性的なコミュニティ(男社会)に認められないと生きていけない。けれど、真面目過ぎて男子校ノリについていけない。正義感が強すぎて男同士の「おふざけ」ができない。牽牛星が組織に属せないと、本当に辛いですよね。(でも生月中殺で結局ハミ出がちという…)

金性の星を燃やすには自尊心を保つことが必要ですが、その基準となる父親がそもそもデデーンと東大卒。早稲田とか慶応とか一橋とかじゃ、多分彼的にはダメなんですよ。最低でも東大。ハードル高すぎ!!

お兄さんも中心は金性の車騎星だけど、むしろ全体で見るなら火性のほうが強くて、火性の星を燃やすことで「写真」という才能を育てることができた。火性の力で練れた金(車騎星)は社会での居場所を見つけることができるのです。

でも、次男の才能は「文章」だったんです。文章だと、どこまでも父親とかぶってしまう。父親を超えない限り、自尊心を満たすことはできない。自分の存在を肯定はできない。強すぎる金性を使いやすく変容してくれる(そして文才自体を伸ばしてくれる)火の星は、彼にはない――。

乗り越えるべき父親は東大卒の大宅壮一ノンフィクション賞受賞作家様でありまして。
あまりにも、越えるには大きすぎる壁……
親が偉大って、辛いね。

 子どもたちよ! 親が無名で貧乏なことに感謝したほうがいい。昔、川柳で「親を見れば俺の人生知れたもの」というのがあった。

 冗談じゃない。小物で風采の上がらない親を持ったことを感謝すべきだ。

 簡単に乗り越えられる。親も期待しないし、子どもも親なんぞと、当てにしない。そうして伸び伸び育てれば、もしかすると大化けするかもしれない。

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金性(官星)モリモリって、辛いなぁ~。オイラ金性0だから「飯食ってクソして寝ればいいべさー」としか思えんが、牽牛星や車騎星は社会に貢献できる大義名分がないと辛いのですよね。

(牽牛星の子は)思考の中では、多岐にわたる発想をするために、周りの人にはポイントが掴めません。

また自尊心や自負心が相当強いために、このような手段を独断的に行うことがあり、他人には幼稚で身勝手に見えてくるのです。

よほど幼少期から広い視野と大きな目的を定めていないと、人生行程の複雑さと自尊心の谷間に落ち込み、苦しみの多い人生になりかねません。

幼少期において祖父母など年寄りの人たちとの交流を広げることが、この思考法を大きなものにしていく要因になります。

反対に最大の欠点は、若年期に種々の体験をすることであり、多岐にわたる異なった行動を多く行うと、人生にまとまりがつかなくなる恐れが生じます。

このような思考法をもつ子供に対して、周りの人が物事の手段を教えてはならないのです。もし手段を知らせると、一つの手段からまた数種の手段が生まれるために、目的を見失ってしまうのです。ある種の目的を与えれば、いかようにも方法を考え出すのです。

牽牛星の意味に、役人、官吏の星が含まれているのは、「王の目的」のために、手段を考える役割をもっているが故に、「文官の星」となるのです。

幼少期の子供さんの育ち方*「牽牛星」 | イケジイのおもしろ玉手箱 ()は記事作成者により補足

お父さんは同じ中心星牽牛でも「一家を代表して学問をし、大学を出て大成せよ」という大きな目標を背負ってたから良かったのですね。ちなみに、兄弟の中で大学を出れたのは邦男さん一人なんです。奨学金を得て、周りから「やれ」といわれてやったんです。

周囲の期待を背負って、大きな目標に挑むとき、牽牛星は輝ける。
でも、自死した次男には、その目標が見当たらなかった――

人生に対する哲学もなくバブル経済で浅薄に浮かれる世相。クルマの名前にも興味がない、女遊びにも興味がない。彼は享楽的な世の中に絶望するばかりだったのではないでしょうか……。

「うんこしたい」だけじゃ平和にならない世界。
それが金性。
(ちなみに火性はうんこすれば平和。漏星ゆえに)

しかし、父の南(子どもを表す)は鳳閣星なんですけどね……。お兄ちゃん(長男)は北に鳳閣星あるんですけどね…。

お父さんから見たら、息子はまさに自分(中心の牽牛星)を剋してくる火性(南の鳳閣星)なんですよ。
「息子はいつも、見栄や世間体を取り払った真実を求めていた」これなんか、まんま火性でしょう。だけど、彼自身は火性の星はないという不思議。

あくまでも自分の持っている星というフィルタを通して見るから、そういう印象になるんですね。正確な他者の姿というよりは、投影なんです。

この父・長男・次男、三人とも中心星は金性です。母は不明。
父と次男が牽牛で長男が車騎。

わが息子・脳死の11日 犠牲 (サクリファイス)で「親では限界がある、話し相手の友達がいれば」と思うところがあるのですが、全くその通りでガッチガチバッチバチ比和比和で張りあっちゃって、本音はなかなかさらけだせないですよね。

土性の禄存星もちにヨシヨシしてもらえたら心も癒されるだろうし、超ネアカ鳳閣星に励ましてもらえたら、ポジティブに自分のやり方が見えてきたりする(剋されることで社会で役立つ道を見つけられる)。
でも、彼は自分では持ってないのです。つまり周りの人にも投影しにくいので、そういうタイプとは縁ができにくいわけで。

自殺した次男、日干は丙なんですよ。元は超絶明るいんですよ。豊臣秀吉やスティーブ・ジョブズと同じ丙辰(子丑天中殺)。だから余計大器晩成で、長く積み重ねたほうが良さが出るタイプなんだよねぇ~。

丙は陰転すると激しく暗くなるって、本当だなぁ~と、同じく日干丙の私は思いましたです。
やっぱ丙ちゃんは陽キャラでナンボだよっ!!!
陰キャはNO!! 楽しくいこうぜっ♪

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