ホロスコープで見る父親像と母親像(MC-IC)

ホロスコープ

ホロスコープのタテ軸(子午線)であるMC-ICライン。
リズ・グリーンによると、MCは母親、ICは父親の影響から「この地球上でどのようにふるまっていくか」が定まっていくそうです。

ホロスコープに表されるのは自分フィルタを通した世界

母も父も、客観的な意味ではそこに表現されることはない。チャートが言葉どおりの意味では正確に本人の性格を描写することもまたない。チャートが表すのは、いかに個人がその父母を経験するのか、そしてまたどのような感情的、知的、身体的、ないし霊的な価値観を両親に見るか、なのである。

リズ・グリーン 占星学 P287

つまり、自分のホロスコープから読み取れるのは「自分は父(母)をどういう風に見ているか」という印象であって、「本当の父(母)自身」とはズレがあるということですね。

私たちは物事を認知するときに「自分フィルタ」つまりバイアスをかけますから、当然といえば当然です。人によって、ある人物の印象が変わるというのはよくあることでしょう。例えばこんな風に——

山田さんってすごくいい人だよねー!
頼りになるって感じ!

えぇ~
俺は性格きついのが苦手だわ

ハッキリ物を言ってくれるほうが
わかりやすくていいじゃない!

俺はもうちょっと優しい人のほうが好き

同じ家で育った兄弟ですら、親への評価や印象は変わります。父親と母親で子供に対する評価や印象が違うのと同じように。

完全に客観的に相手を認識するというのは、相当に難しいこと。
ことに、両親や家族といった身近な人に関してはそうなる傾向にあるのかもしれません。

出生ホロスコープには、個人の両親のイメージについていくばくかの理解のカギとなるような重要なエリアが二つある。そのひとつは、チャートの縦軸にあたるもので、ホロスコープの南点、頂点、つまり天頂ミッドヘブンないしMC(Medium Coeli)と呼ばれているもので、もう一方は底、ないし北点にあたるIC(Immum Coeli)である。

(中略)

ハウスが自身の位置している物質的現実[環境]を示すのにたいして、惑星は心の内のエネルギーの流れ、方向を指し示す。つまり、二つの「両親の」アングル[ICとMC]は自身の母親、父親との関係性を示すのに対して、太陽と月は個人の、元型的な両親の内的な経験を反映しているといえる。どちらがより重要かとはいえまい。この二つの極を双方考慮することが重要であろう。

リズ・グリーン 占星学 P301~302

なるほど、物質的な現実を暗示するのがハウス(およびルーラー)であり、精神エネルギーの流れは惑星に象徴される。MCとICは「肉体を持った両親が物質的な世界(制限のある現実)で生きていく姿を見ることによって、もたらされた影響」という感じですね。

つまり、「本当の父親(母親)本人の姿」というよりは、現実を生きる両親を見ていく中で刻印されていった自分の姿勢、ともいえそうです。

例えば、出世競争で苦労する親を見て「自分はああはなりたくない。つか、働いたら負け」と思った子がいたとします。しかし実は親は苦労を苦労と思っておらず、「それもまた充実した毎日だ。たくさん働く毎日こそ満ち足りた人生である」と考えていた、なんて場合もあるでしょう。

あくまでもホロスコープチャートでわかるのは「本人が親に対してどう感じていたか」という本人フィルタを通した両親像であって、相手が実際にそういう人かどうか、ではないのです。

これは兄弟(水星)、恋人(金星や火星)でもそうです。
ある人のチャートで水星-冥王星-土星のTスクエアがあって「私の兄弟ってどう?」と聞かれたので「いやぁ、これは、ちょーっと大変だよねー」と答えたら、彼女は「やっぱり出てる!?うちの兄はメンタル病んで引きこもりなの!」と納得していました。彼女から見たら兄は水星が冥王星と土星からドンドカ責め苦にあってる「辛い人」なのです。でも、実の本人がそう思っているかどうかは、また別の話で。一人一人の宇宙は、別のものなのです。

MCは母親?

一般的に言って、MCの星座はある人と母親との関係を先天的に支配しているような、特定の要因を示唆している。それはしばしば——偶然の一致というにはあまりに頻繁に——実際の母親の太陽の星座、アセンダント、月の星座、ないしは母親のチャートのなかで主要な惑星によって示されている強い影響力と一致している。

リズ・グリーン 占星学 P304

これ、みなさまいかがでしょうか。
私、見事に、MC魚座で母親も魚座生まれ(太陽魚)でございます。ビックリー!

でもね、私は父親も魚座でございまして、私のMCと父の太陽はコンジャンクションなんですよ。私、上のリズ・グリーンの説明を見て「えー?MCのほうが父親じゃないのー?」と思ったのは、多分このあたりですね。

MCの星座は子供に最も強い影響を与えている母親のある側面を示している。子供の中にある、ある部分がとくに母親の性質のその部分に対して敏感であることを示しているというわけである。

MCとその反対側の点であるICは、我々の遺伝的なものの象徴的反映であるといえそうだ。というのは、その二つは、緊密な家族の構成員の間ではしばしば一致するからである。

リズ・グリーン 占星学 P304

ドリーミン海王星

私はリズ・グリーンの説明を見て「私のMC=お母さんが魚座(海王星)的……?うーん」と考えました。いまいちピンとこなかったのです。しかし、母はまぎれもなく太陽魚座なわけで、ウオウオしててもいいはずなんですが、いかんせん風のエレメントに6つも惑星が集中している人なので、あまり水(魚)のイメージがわかなかったわけです。

でも、考えていくと合点がいくことも出てきました。
確かに、母は海王星的イメージの人なのです。どう海王星的かというと
暖簾に腕押し 何を言っても無駄←こういうイメージ。

例として、わたしが決定的に親と縁を切る(没交渉になる)きっかけとなる会話を載せます。

Nozomi
Nozomi

わたし、仕事辞めるわ
退職届ももう出したから

母

はっ!?何言ってるの!?
仕事辞めてどうするの!

Nozomi
Nozomi

スピリチュアルカウンセラーになるの

母

何言ってるの
そんなことやる前に
まず結婚しなさい!!

Nozomi
Nozomi

いや、結婚はまだいいわよ

母

そんなわけにはいかないの!
スピリチュアルカウンセラーになるってなら
結婚して子どもを産んでからにしなさい!

Nozomi
Nozomi

お母さん、わたしは結婚は今考えていないのよ

母

お母さんはあなたに幸せになってもらいたくて言ってるのよ
結婚しなさい。

結婚しなかったら●●叔母さん(親戚の独身女性)みたいになるのよ!?叔母さんみたいになったら人生終わりでしょう!!

Nozomi
Nozomi

お母さん。
私は結婚していない状態で十分に幸せなのよ

●●叔母さんだって、お母さんにはわからない信仰の幸せ(叔母はクリスチャン)を感じているかもしれないじゃない

母

まあ、 あなたは世間知らずだからわかってないのね
女は 結婚してはじめて幸せになれる生き物なのよ

Nozomi
Nozomi

お母さん、わたしは結婚しなくても幸せになれるのよ
わたしの幸せを決めるのはわたしの心なの

母

いいえ。あなたは間違っていますよ
女の幸せは結婚と出産と決まっているんです

とにかく、仕事をやめるというならば結婚して子どもを産みなさい
幸せになりなさい。いいわね

おん…………。思い出すだけでちょっと辛くなってきた。

見てお分かりの通り、母の中では「女の幸せ=結婚+出産」なんです。結婚して出産してない女は全員「不幸でかわいそうな寂しい人」なんです。ビックリビックリー。

他にもこんな発言をしていました。

母

将来年金を受給するために年金番号をしっかり控えておきなさいね!
(注:令和元年によこしてきた手紙の内容です。昭和60年じゃありません)

いい?うちはね、ちゃんとした家なの!
公務員や大学教授やシッカリした仕事をする人ばかりなのよ!
水商売や離婚をするような恥ずかしい人は親族の中に一人もいないんだから!

お父さんとどうして結婚したかって?
それは○○の△△にお勤めだったからよ!
○○の△△に勤めてる人はちゃんとした人だから!

母の世界の中では「年金は100年安心!ちゃんと払っておけば絶対返ってくる!」だし、「夜職だったり離婚歴のある人は恥ずかしい人」なんですよ。「○○の△△に勤務している人は全員『ちゃんとした人』」なんですよ…………。ええと、それって「血液型でB型の人は全員自分勝手な人間である」みたいな???

あのね、母ね、地のエレメンツ、1個なんですよ……。
いくら「現実はそうじゃないよ」と説明しても、通じんのですよ……。

理論(風)ばかり先走って、現実(地)がつかめないのですよ。しかも地の1個も土星だから、シーッカリ向き合わないとシャドウになっちゃって上手く使えない。そして多分70歳になった今も使えてない。年金大事とか言っちゃう時点で現実が見えてない。

すごい、海王星的なんですよ!!
ウワー!ドリーミン海王星!!こういうことか!!!

そして、私の(よりによって地な)牡牛座月は母を「非常に地に足の着いた現実的な女性」という元型で認識したがります。
でも、自分で牡牛座月(およびミューチュアル・レセプションになる金星蟹)使ってみると、全然お母さんと違うんですよね。だって、私すごい家事好きだけど、お母さんいっつも家事に文句言ってたもの。

料理ってメチャクチャ楽しい!料理できて毎日楽しい♪って私は思うんですけど、お母さんは「今日も献立考えなきゃならない!ああ面倒くさい!」って毎日ブリブリ怒ってたもんなあ……。そりゃ金星が水瓶だったら、家事なんて面倒くさいだろうなぁ~……。

私、お母さんのことどういう人か良くわかってなかったんだなあ~と思います。だから噛み合わなかったんだ。お母さん、ドリーミンなんだ。現実を見ないんだ……。

そしてこの「実はよくわかってなかった」と認識がぼやけてしまうことこそが、実に海王星的なのです。まさかの、二段オチ。

いうまでもなく、MCにどの星座がきても、それ自体でいいとか悪いとかを断定することはできない。それは、コンプレックスと経験の様態の象徴である。つまり、子供が無意識の内に、まさかそれが自分の行動を決定するようになるとは知らずに吸収してしまい、環境に対して反応する仕方を決定づけるようになってしまうようなコンプレックスと経験の様態の象徴シンボル、である。

天頂に位置する星座は、また本人が母親にどのように見られたいか、あるいは、どのように本人が母親を見ているかを示している。本人の社会の中での価値観は、様々な人間関係からとともに、結果的には母親から引き出されてくるものである。

MCの星座は、しばしば母親から学ばれる教訓を示す。それは、本人が自分自身の創造的な人生を生きる上で、最終的には意識の中に統合すべき試練となるのである。

リズ・グリーン 占星学 P305~306

ICは父親?

MCは母親像であるように、ICは父親像である。そうリズ・グリーンは言います。

MCとは対照的に、ICはチャートの深く沈んだ、無意識的なポイントである。

それは本人の存在の源泉、根源、すなわち、心の底に無言で横たわり、やがてはMCとして、つまりMCが示す社会的な態度の中で花を開かせることになる。栄養ある樹液を送り込むような根源を示すものだ。

(中略)存在の霊的な根源は父親によって擬人化される(元型的)「父」である。

リズ・グリーン 占星学 P305

私はMCが魚座なのでICは自動的に反対の乙女座になります。リズ・グリーンは乙女座のMCについてこう言っています。「乙女座にあるMCは、母親に第一義的に与えられた性質は地的なものだということを示している。つまり、母親は実際的な、堅実な人、その人特有のありかたでの生産性、奉仕、労働、物質的堅実さにかかわっているような人だと見られるだろう。そして彼女はまた、義務、秩序、構造を極めて重視することを示す(P305)」

↑これ、MCをICに、母を父に置き換えると「その通りだなあ」と思うのです。
私は、父がすごく堅実でしっかりしていて地に足のついている人間という印象がありました。感情が未発達で、ロボットみたいに非人間的に「正しい選択をする」人だと。

ICがアニムスを象徴し、他人に求める要素というのもうなずけます。私の推しは「ヒーロー」つまり地の要素を象徴するようなキャラクターが多いからです。精神的に安定していてシッカリしている真面目な人が好きなので。うん、ディセンダント山羊座……。

乙女座のルーラーである水星も父親像にしっくり来ます。私にとって父親は、とにかく理詰めで知的に論破せねばならぬ対象だったからです。実に水星的です。
私にとって父は、感情を素直にぶつけたところで心が通い合う相手ではなかったのです。

「乙女座的な父親」とは、ただの幻影だった

でもね、でもね。
私、父のチャートをちゃんと見て、愕然としたんですよ(実はあんま見とらんかった。ワハハ)。

うちのオトン、地の惑星一個もねえ。
実は乙女座要素どころか地のエレメンツ自体、皆無だった。

えーーーーーーー!
ガーーーーーーン!
ちょ、まーじーでーー!!?

ってレベルで、ショッキングでした。ガガーリン(それは宇宙飛行士)。
つか、うちの私以外の家族、全員風と水ばっかで、火と地が極端に少ない。なんなの。そりゃ牡牛座月の私の話が通じんわ。

父のホロスコープチャートを見てみて、いかに自分フィルタで物を見ていたのかを痛感しました。 おとん、グラウンディング弱いフワフワちゃんやん…完全ドリーミンじゃん……。「なんでこの人って周りに流されてばかり人の受け売りばかりで『自分』が無いんだろう」って思ったけど、そりゃ火も地も弱かったら、そうもなるわい。

父の見る世界と私の見る世界は、違うのだ。
いや、確かにその通りだ。
だから話が通じないんだ。

私から見る父は、情緒の発達が未熟で感情が死んでいる人だったんです。だけど、実際は水要素モリモリなんです!!ええーーー!お前その感情どこに捨ててきたんだよ!!つか、感情表現が内向的過ぎてわかんねえよ!!トゥーシャイ・シャイボーイか!!

なんか一周まわって今のトレンドと近いよね…
あーさーくーらー

なんか……、ジュリアス・シーザーの言葉が頭をよぎります。

人間ならば誰にでも、現実のすべてが見えるわけではない。
多くの人は、見たいと欲する現実しか見ない。

ユリウス・カエサル ルビコン以前──ローマ人の物語 IV

ああ、私の認知していた「乙女座的父親」とは一体何だったのか。
実に、人は「見たいと欲する現実しか見ない」のである。ああ、ああ、なんということだ。

古代のインド哲学では「現実はマーヤー(幻想)である」と言います。
数日前、私も、メルマガでこう書いたばかりです。

精神世界の本でよく
「人間は確固たる物質というものが存在していると思っているが、そんなものは幻である。原子の間には莫大な空白がある」
ということが書いてあります。

例えば、人体も「しっかりとした固体である肉体」ではなく 中には空白だらけなのだと。それを私たちは確固たる物質だと思いこんでいるのだと。

「物質はみせかけで、実は莫大な空白があって、分子同士で強く結びついているから『固体』に見えるだけだ」

そういうふうに考えてみる。
つまり、確固たる結びつきで固定されていることが、結果として固体に見えるだけで実はそれって波動なのだなと。

触れたものは、ある一定以上の中には入っていけない。なぜなら、固体がある、つまり波動の膜があるから、跳ね返される。しかし、実はそれは固体ではなくて「異なる波長」にすぎない。
もし、同じ波動を持っていたらある固体を触った時に自分も触ったものになる。 同じ波動帯だから、触ったものに吸収されるわけです。

そう考えると「ワー!!!」って叫び出したくなるくらいのアハ体験「うわー!そういうことだったのか―!!」となります。

人間同士の作りだす関係性もそうです。
縁があるということを「波長が合う」と言いますよね。
つまり、世の中のものは全部波動なんです。

私は、自分フィルタを通して「乙女座的父親」というマーヤーを見ていたのです。
ああ、なんてこった。リズ、オイラはどうしたらええのん(友だちか?)。

_人人人 人人人人_
> 認知の歪み <
 ̄^Y^Y^Y^Y^Y^Y^ ̄

私の感じ取った現実は現実として、彼ら(家族)はずいぶんと違う世界を生きているようです。う、うーん。やっぱり分かりあえる気がしないなァ~。

母=アニマ=女性が経験の鍵を与えるとすれば、父=アニムス=男性は経験の背後にある意味、計画、目的、方向性、最初から終わりまでの道への鍵を与える。

ICの星座の性質は、しばしば本人は他人の中に求めてしまうものだが、(それゆえ、ICは相性チャートの比較の際には重要になるが)、努力してゆけば本人の中に見出せるような面を表している。

リズ・グリーン 占星学 P307~308
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リズ グリーン
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