アラフォーとアラフィフの間~火星期と木星期

ホロスコープ
冷静と情熱のあいだ

西洋占星術では、アラフォーが火星の年齢域(36~45歳)、アラフィフが木星の年齢域(46~55歳)となります。それぞれ、自分の持つ火星のテーマと木星のテーマを追求する期間だよ、ということです。

しかしながら、「46歳の誕生日が来ました!はい、じゃあ今日から木星期です!」とはいきません。40を過ぎたころから「ああ、多分木星期って、こんな感じになっていくのかなあ」というきざしを感じはじめ、40代半ばになったら火星期と木星期のテーマが重複してくる人の方が多いでしょう。

春から夏に、夏から秋に移りかわっていくように、冬の厳しさが三寒四温で緩んで春になっていくように、火星期から木星期へと移ってゆきます。

アラフォーとアラフィフの生き方は、まるで別人!

わたしは現在40代半ばなのですが、今の時点でほぼ木星期に入ったなと感じています。
上の人(ガイド)のいうことが、火星期とは全然違うのです。

<火星期(アラフォー)>

上の人(ガイド)
上の人(ガイド)

もっと相手と戦え!
ナメられたら終わりだと思え!!
ハッタリかましたってかまわない!勝て!!!

<木星期(アラフィフ)>

上の人(ガイド)
上の人(ガイド)

ゆったりしなさい。陰の力を養いなさい
包容力が大事。身を慎みなさい
心を穏やかに保つのです――

別人か!!!

全然テーマが違うのです。
アラフォー火星期のテーマは「戦って勝つ!意志を通す!!」ってかんじでカッカカッカしてイキってたのに、アラフィフ木星期は打って変わって「穏やかでいなさい~包容力ですよぉ~」って、ほわぁぁあ~んってするんです。は、はあぁー……脱力。

先輩に学ぶ木星期の生き方

ゲイ・カルチャーの未来へ (ele-king books)

わたしは2019/10/26発行のメルマガで以下のように書きました。

田亀先生って火星期→木星期の星の使い方の大変優れたお手本になってくれるなと思います。
火星期(36~45歳)には自分の意志の力を思う存分試す。
だからなかなか認められなかったり社会との間に軋轢ができたりもする。

だけど、そこで思う存分力を発揮してぶつかったら自分の限界や自分が本当に望むことがわかってスッキリする。悔いなく木星期(46~55歳)に行ける。

そして、木星期に移行した後に自分の意志を確認するために向けていたエネルギーを社会のため、若い人たちのために使えるんです。

田亀源五郎先生は、ゲイ・エロティック・アーティストです。
基本的に、かなりハードなゲイポルノをお描きになられる作家さんです。正直、素人にはオススメできません。良い子のお友だちは絶対「田亀源五郎 エロ」で画像検索なんかしちゃいけませんよ。良いですか、止めましたからね。一般向けの「弟の夫」で検索してくださいね♥

漫画「弟の夫」ができたきっかけとして、田亀さんは「3つの要素があった」と語る。
「1つは、約15年前にある青年誌の編集者さんから『(田亀さんの)自伝漫画を読んでみたい』とお話しをいただいたことです。

「マイク役を探すのは絶対無理だろうと思っていた」田亀源五郎さんとNHKプロデューサーが語る「弟の夫」ドラマ化の裏話 | ハフポスト

15年前となると田亀先生は40歳前後。まさに火星期の真っ只中ですね。
アラフォーの火星期は、ガンガン闘って自分の意志力を試す時期。男性にとって火星はセックスのエネルギーでもありますから、その頃は話はあったとしても、一般向よりはやはりゲイ向けポルノに注力するのは自然な流れだったのでしょう。

火星期(アラフォー)は周りから不評を買ったっていいから「自分」を貫かねばならない時期。調和よりも自我、自分の意志の方が大事でいい。

火星期のオイラの奮闘記録

そうやって思う存分闘って意志を貫いてこそ、木星期が来たときに次のステップに移っていける。これが中途半端にエロをやりつくさないで一般向けに問題の無い作品を作ろうとしたら、不完全燃焼で上手くいかなかったのではないでしょうか。

松村潔先生は、アラフォーとアラフィフで変わるテーマの別人っぷり、つまり火星期と木星期の間にある壁について言及しています。

この火星と木星はすでに説明したように、まるっきり視点が逆転したかのようで、スムーズに推移することなど到底できないように思われます。火星の表す個人の意志や欲望が完全に枯れるか、空になるか、あるいは挫折しないことには、なかなか木星へと主導権を移すのは困難ではないでしょうか。

完全マスター西洋占星術 (The series of perfect master)  P122

田亀先生にも、この火星期から木星期への壁には「幻滅」があったようです。

私の興味や活動の幅の広がりの裏にあるのは、幻滅という要素もあって。私は日本のゲイ・カルチャーを何とかしたいと思って、ゲイ業界の内部でずっとやってきたんですけれども、あまりの進歩のなさや酷いことの連続で、そこを真面目にやろうという気がなくなってしまったというのがあるんですね。 (中略)

単純な話、作家に対して稿料を出さないとか、契約書の内容が詐欺みたいなものであるとか、ビジネスとしての問題点は私がデビューした頃からいろいろあちこちであって。(中略) 結局『G-Men』でも同じような酷いことが行われたり裏切られたりっていうことがあったので。ゲイ・メディアに対する「頑張っても仕方ないかな」っていう幻滅みたいなものはすごくありましたからね。

interview with Gengoroh Tagame 『弟の夫』地上波放送記念:田亀源五郎特別ロング・インタヴュー | ele-king

木星は拡大の星です。田亀先生の場合、自分の活動範囲を広げていくためには、火星期までに親しんできたものに一旦幻滅する必要があったのですね。そうして、より広いフィールドで新しい読者に素晴らしい世界を見せてくれることになったのです。

挫折を越えて、栄光をつかむ木星期

火星期まではコアでディープなゲイ向作品を描いてきた田亀先生。そんな先生が木星期に入り、一般誌に「誰でも読めるマンガ」を掲載したのが2014年(50歳)。

弟の夫 : 1 (アクションコミックス)

「弟の夫」における、田亀先生の「一般向け」姿勢は実に見事なものでした。わたしのような従来の読者が「ああっ、ヤイチ君!性奴隷にならないでぇ~~!」とハラハラするのを嘲笑うがごとく、メッチャクチャ爽やかに、ハートフルなままに完結しやがりました!チクショウ裏切られた!!(日本語訳:田亀先生のプロ意識は素晴らしい)

この「弟の夫」は感動を呼び大ヒット。第19回文化庁メディア芸術祭 マンガ部門 優秀賞を受賞し、NHKのドラマにもなりました。

把瑠都まじマイク

実は日本よりもアメリカのアマゾン(Amazon.com)でのほうが評価が高かったりします。レビュー件数も1.5倍くらい英語版の方が多いです。

I almost didn’t pick this up initially, as Tagame’s usual works aren’t my thing. I’m glad I did, however, because ‘My Brother’s Husband’ is one of my favorite things I’ve read this year. 

はじめはこのマンガを読もうとは思ってなかったんです。だって、田亀源五郎の普段の作品が自分に合うとは思わないから。それなのに、手に取った自分を褒めてあげたい。だって、「弟の夫」は今年読んだ中でお気に入りの一作になりましたからね。

弟の夫(英語版)レビュー – A bittersweet, hopeful delight

Kindleだと英語版も簡単に手に入るので、英語の勉強にいいかもですね。

成熟期を迎え「大人」としてどう在るべきか

田亀先生の姿勢は、木星期(アラフィフ)を迎える人間にとってわかりやすいお手本(ロールモデル)の一つになるでしょう。インタビューではこんなことをおっしゃっています。

傷ついたり悩んだり、というのは世のなかにいっぱいありますし、それで悲惨な結末を迎えるというのを私は山ほど見てきた。たしかにそれは現実の問題ではあるんだけど、それをフィクションで再生産することに私はあまり意味を感じなかったんですね。これに関しては、読んでいて嫌な気持ちにはなってほしくない、と。どちらかと言うと励まされてほしいかな、と――とくに若いゲイ当事者の子たちに。
(中略)
辛さを描いてもいいんだけど、我々は大人なんだからさ、その子を救ってあげるヒントをちゃんと出そうよ、という。

i弟の夫』地上波放送記念:田亀源五郎特別ロング・インタヴュー | ele-king ※強調は記事作成者による

た、た、た、田亀せんせぇ~~~!!!号泣
全くその通りでございます。それこそ大人のふるまいです。

【画像】僕らの色彩2 僕らの色彩 1

いくら年上だからって人生経験があるからって、救ってあげることはできない。自分だって、完璧な人間ではないのだし。↑マンガ内でマスターが完璧な人間ではないように。

だけど、救ってあげる「ヒント」くらいなら、出せる。
というか、出せるくらいの器量は持っておきたい。

そして、その「救ってあげるヒント」を出すには、アラサーの太陽期(26~34歳)で「自分の心を見つけ」、その心をアラフォーの火星期で「勇気をもって社会に向かって表現し」周りとぶつかりまくる経験が必要なわけで。否定されたって、負けない!!

「大人げない」なんて良い人ぶってないで、時には対立してすれ違ってギスギスして傷つくようなこともあってこそ、問題解決能力は育つわけです。それがないと、若い子に何かを示すこともできない。丸くなるには、まず尖ること。火星期も、大事。

木星は、その人に内在する「善」の意識を総称するものであり、この木星意識を拡大することで、自分をありのままで許せるようになります。さらに細かいことを気にしなくなり、しだいに見知らぬ人にも気楽に話しかけてしまうような鷹揚なおじさん・おばさんの境地に入って行きます。(中略)個人の才能と手腕を鋭く鍛える闘争心は失われ、人はみな五十歩百歩の段階にあってそんなに大差ないという認識から、自分も人もみな同じように許し共存しようと考えはじめるのです。

このような“個人として力を抜きリラックスした姿勢”の中に、より上位にある精神性の力が宿ってくると考えてもよいでしょう

完全マスター西洋占星術 (The series of perfect master)  P122 ~123

木星期だからこそ、孔子の「五十にして以てえきを学べば、大なる過ち無かるべし」という言葉が響くことでしょう。
例えば、人智学を提唱したルドルフ・シュタイナーは、木星を思考と結びつけています。

アストラル体のなかで働くもの、私たちの思考を強めるのは、木星の作用です。木星の作用は、特に人間の脳を、アストラル的に細部にいたるまで組織化します。
(中略)
人間のなかで思考として発展するものは、最初の十二年間に作用します。十二年で天空を巡る木星が、人間に関与します。
木星が思考と関わるように、火星は言語と関わります。(中略)

これは上昇・下降する進化です。この進化全体は、人間の頭部に結び付いており、土星・木星・火星の諸力に関連しています。

星と人間 精神科学と天体 P124~125

50歳で易経を学べという孔子の教えは、このような作用にも関連します。木星(思考)の力を発揮していく時期に易を学べば、六十四卦の示す森羅万象の理、つまり宇宙の法則をより深めた形で体得できるでしょうから。

これからわたしはアラフィフ、木星期を生きていきます。
火星期には超オラオラ獅子座だったわたしも、のんびり牡牛座なわたしになっていくことでしょう。多分、ヒプマイはあんま聴かなくなりそうだなぁ~笑。それこそ、この記事のはじめで紹介したenyaみたいなホワーッとした音楽が気分になりそうですね。

わたしも田亀先生のように、一人の大人として木星期の10年間で成熟していきたいものです。

僕らの色彩 : 1 (アクションコミックス)
僕らの色彩 : 1
posted with amazlet at 19.11.01
田亀源五郎
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