人の心に寄りそう力~田亀源五郎は一体何者だ

オタク ヒーリング
僕らの色彩(1) (アクションコミックス)

田亀源五郎先生の「僕らの色彩」2巻が出ました。
早速読みました。

公式でもこういってるし、素晴らしい作品なので、自分のブログでも常々レビューを是非書きたいと思っていました。

でも、書けない。

1巻時点で読んで「くーっ!」って思ったし、2巻読んでも「ああーっ!」って思ったけど、まだ感想は書けない。今書いても、ピントのズレたことしか言えなさそうで。
なので、大筋に関わらないような超細かいとこから「僕らの色彩」のスゴさを述べてみます。

この作品のメインテーマは、ゲイのセクシュアリティです。
そして同時に「ゲイを掘り下げると見えてくるのは『人間』である」という深みがあるのです。そう、だからヘテロ女性の自分にも「ゲイじゃないけど、わかる!」って刺さるんです。

田亀源五郎が女子すぎる件

この作品、ゲイの少年の話なのに、女子がすごいんです。
女性描写が、秀逸すぎるんです。
なんなの!?田亀源五郎って女子なんじゃねーの!?ってレベルなんです。

女子高生の心理をつかむゲイのおっさん(55歳)

【画像】僕らの色彩1 僕らの色彩 1

このロングヘアの女子は、幡瑞希。主人公・そらに片思いをしている同級生です。
もうこのビジュアルの時点でわたしのμ's (ラブライブ!)の推し、東條希に激似なんですわ。女子らしくてかわいらしい!しかも漢字(希)も一緒!お、推せる…!!!

【lovelive】【繪希】NozoEli Mix ver. きっと青春が聞こえる
ねー、のんたん激似!超絶かわいい!!

――などとわたし個人の性癖を披露している場合ではありません。この瑞希ちゃんは上の登場シーンから当て馬臭ムンムンで、案の定、宙君に振られちゃいます。

【画像】僕らの色彩1 僕らの色彩 1

そう、瑞希ちゃん、君はかわいい!推せる!!
君に魅力がないわけじゃない!宙君が、ゲイなだけなんだ……切ない……。

で、ここからが田亀源五郎(ゲイ・55歳)すごすぎ伝説開始なんです。
好きな男子に告って振られちゃった女子高生。そして、親友に泣きつきます。このシーンが!このシーンがすごいんです!!

【画像】僕らの色彩1 僕らの色彩 1

ちょ、いきなり楳図かずお!?ただ泣いてるだけじゃなくてホラーテイスト盛り込んじゃうんっすか!と思ったら――

【画像】僕らの色彩1 僕らの色彩 1

好きな男子に想いを伝えたい。できるだけカワイイって思ってもらいたい。だから、気合入れてメイクを盛る――
女子大生になると「盛りすぎ(厚化粧)はかえって男にウケない」なんて学習してしまってあざとく清楚系に走るんですけど、男性経験の少ない女子高生はやる。盛る!

このリアルさがすごいなと。田亀源五郎の中にはJKがいるに違いない!
55歳のゲイのおっさんの心の中には女子高生がいるんだよ!!

思春期の息子を持つママの心理をつかむゲイのおっさん(55歳)

一方、主人公・宙の母親は、宙と幼馴染の女子がデキていると勘違いしてしまいます。そして、「お年頃」の息子にこう言うのです。

【画像】僕らの色彩2 僕らの色彩 1

お母さんは、何も間違っていません。むしろ、ものすごく正しいです。
自分の息子は「健康な男の子」のはずだから、女の子とセックスがしたいに違いない。そして、仲の良い女子がいるならば、妊娠させないように説明をしなければならない――

良いお母さんですよね。
こういうことをハッキリ息子に伝えられるのは、素晴らしいことだと思います。
ですが、主人公の宙はお母さんの思う「健康な男の子=女の子とセックスがしたいと思う男子」ではないわけで……。

【画像】僕らの色彩2 僕らの色彩 1

ゲイだから、別に、女の子とセックスして妊娠なんかさせないよ。
そう言えたら、どれだけ楽なことか。

男と女という「当たり前」を押しつけてくる

これ、言葉を変えれば、ほとんどの人が経験してることですよね。

まだ結婚してないの?
早く孫の顔を見せて
親を安心させてあげなさい!

お子さん一人なの?
あら~ 淋しいわねェ~
兄弟作らないと将来何かあった時に困るわよ!

やっぱり親を大事にしないと
親孝行してあげないと
あとから後悔しますよ?

善意で「当たり前」を押しつけてくる。
この息苦しさ、本当に、しんどいですよね。
でも、悪気はないんです。間違ったことは言ってないんです……。

ここで宙のお母さんのステキなところは
「わたしは言ってやったわ!(ドヤァ!」しないところ。
息子の堅い反応をみて、自分の失敗をちゃんと悟るのです。実に聡明な女性ですね。

【画像】僕らの色彩2 僕らの色彩 1

ハァ~、これぞ子育ての難しさですよね!
お母さんは何も間違ってない!むしろ思いやりがあってすばらしい!なのに、その善意が息子の心をえぐってしまう――

さて、このマンガを描いたのは誰だか思い出してください。田亀源五郎さんです。
なんでこんな心情がわかるんだ!スゴイ!

田亀源五郎の中には母がいるに違いない!
55歳のゲイのおっさんの心の中には、思春期の息子を持った母がいるんだよ!カオス!!

なんで田亀先生はこんなに「女の心の動き(そして行動)」がわかるんだろう。女でもなく、また女を性の対象にしないゲイの男性であるにもかかわらず。そう驚くばかりです。
田亀先生は非常に多くの映画をご覧になる方です。その数々の物語の中から「女」という類型を吸収なさったのでしょうか。

そして、ゲイの中年男性がここまでヘテロ女性の心理に迫れるのだから、人間の「人の心に寄りそう想像力」というのはすごいものだなあ、と感嘆します。
生き方が違っていても、相手の心を想像する力が、わたしたちにはあるのです。まあ、田亀先生レベルではないかもしれないけれども。

わたしたちは、もっとわかりあえる。
立場が違っても、年齢が違っても、性別が違っても。
「僕らの色彩」を読んでいると、その「人の心に寄りそう能力の可能性」に驚くばかりなのです。

他の田亀源五郎先生について書いた記事

というか、「弟の夫」レビューです。

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