「わたし、強くなんてなれない」そんな陰の力のスゴさ

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メルマガにも書きましたが、最近わたしは四書五経を勉強しております。四書五経というのは、中国の古典です。【参考】四書五経(Wikipedia)

で、占いスピリチュアル好きにとって四書五経といえば何といっても易経。東洋の宇宙観や占術の基本のきである陰陽の理論が学べる古典です。その易経入門として、超訳・易経 自分らしく生きるためのヒントを手に取りました。

超訳・易経  角川SSC新書  自分らしく生きるためのヒント

今は、陰の時代である

著者の竹村亞希子さんは、今を「陰の時代」と言います。高度経済成長期のような陽の時代とは違って、努力してみても成果か出にくい時代であると。

陰の時代は小人の時代といいましたが、リーダー不在の時代とも言えます。
陽の時代は、社会的リーダーは強い先導力をもち、大衆を引っ張っていきます。しかし、陰の時代に近づいてくると、陽の力が弱くなり、リーダーと大衆が同レベルになってきて、リーダーの地位にある人がその役割を全うできません。先導力を失って、利害を同じくするものが徒党を組むようになり、迷走して守るべきものを守れない。まさに政治不信がつのる時代でもあるわけです。

東日本大震災での国の対応の遅れは国内外から批判されましたが、一番の問題は意思決定の遅さだといわれています。上に立つ人が意志力、先導力を失うことが、易経が教えている陰の時代、つまり小人の時代の特徴でもあります。

超訳・易経 自分らしく生きるためのヒント P98~99

こんな先の見えない陰の時代に、どうやって生きていったらよいのでしょう?
竹村さんは、易経が陰の生き方を教えてくれるといいます。

これからは陰の時代になると言いましたが、陰の時代はエネルギーが切れて、ものごとが滞る時代です。なにをやっても思い通りにいく陽の時に対して、思い通りにいかないのが陰の時です。つまり、前に進もうとしてもままならないことが起きるわけです。(中略)

エネルギー切れでものごとが停滞するときに必要なことは、まず充電です。陰の時代は大地の滋養の時でもあり、いわば土壌づくりの時です。土さえよければ種は大きく育ちます。陰の力を強めたならば、陽気は自然に育っていくと教えています。

そのためには無理せず、焦らず、がんばりすぎず、ゆったり過ごすこと。健康と体力を維持しながら、時に流れにしたがって生きることが大切です。一見、消極的なようですが、そういう陰の力を積極的に使いなさいと易経は教えています。なぜならむやみに焦って体力も気力も消耗してしまうと、長い陰の時代の中で新たな希望をもったり、陰徳を重ねてはいけないからです。次の陽の時代へ向かって遠い光をたよりに歩んでいくのが陰の時代です。着実に一歩一歩進んでいくためにも、力を温存していくことが必要なのです。

超訳・易経 自分らしく生きるためのヒント P120

ここ数年、日本は数多くの天災に見舞われています。わたしの住む北海道でも、去年大きな地震がありました。そんな時代を生き抜くのにも、陰の力は役に立ちます。

地震が起きたとき、私は「これは天雷无妄てんらいむぼうだ!」と思い、无妄むぼうおおいにとおる。ただしきにろし。それ正にあらざるときはわざわいあり」という易経に書かれたことばを思い出していました。(P14)

震災後、私は天雷无妄の卦はなにを教えているのかと、何度も何度も易経を読み返しました。そこで改めて気づいたことは、いくら技術を発達させても、自然の力の前では人間は無力だということです。実際、東日本大震災では、地震や津波という天災だけでなく、福島第一原発事故という前代未聞の人災が起きてしまいました。

ありのままを受け容れ、自然とともに生きる

東日本大震災のような大きな天災に遭ったとき、私たちはそれをどう受け止めたらいいのでしょうか。被災された方たちは「なぜ、私たちが……」と、その不運を呪いたくなると思います。しかし自然が起こす天災は、いつ、誰の身に起きてもおかしくないのですから、名古屋に住む私が被災して命を落としてもおかしくなかったと思っています。(中略)

人間の思いには好き嫌いがあります。ところが自然には作為はありません。ありのままです。善人か悪人か、好きか嫌いか嫌いかに関係なく、すべての生あるものは、ただ生まれて、ただ自然に還っていくものだといっているのだと思います。

そのように考えれば、自然はつねに新陳代謝していますから、地殻変動もそのうちの一つです。人間から見れば、地震や津波は災難ですが、自然には妄、つまり作為などありません。ただ自然の循環から地震や津波を起こしただけなのです。そこには、善人だから災害を持たらさない、悪人だから災害をもたらすといった作為はありません。自然は全てに等しく与え、ありのままなのだ、と道元さんは教えているのでしょう。(P22~23)

超訳・易経 自分らしく生きるためのヒント 

いろいろな考え方があると思いますが、天災というのは浄化の一環でもあります。自然のサイクルの循環の一つのプロセスです。

わたしたちは陽の時代、とにかく生産しまくってきました。生産性第一で、作りだすことこそが尊いという資本主義のシステムにのっとって生きてきました。
しかし、自然の理からすると形あるものはいつか壊れる。作ったら、それが土に還る時が来る。物だけではなく、命すらそうです。

ここで竹村さんは、天災に遭ったときの良寛さんのことばを紹介しています。その悟りっぷりがまたスゴイ。

災難にあう時節には
災難にあうがよく候
死ぬる時には死ぬがよく候
是はこれ災難をのがるる妙法にて候

凡人にはなかなか言えないことではないでしょうか。
この「被災する時は被災しとけばいい。死ぬ時は死ねばいい」という境地こそが「辛い状況から逃れるための秘訣・ライフハックだよ」だと言っているのです。

ちょっとショーペンハウアーっぽいですね。超絶ネガティブだと、一周回ってむしろポジティブにみえるっていう。陰が極まると陽になる。

実は一番生命力が強いのは「陰の人」

ものごとにしたがい、受け容れるという姿勢がすべての人間の厚み、度量を育てていくのです。
もしあなたがそれを受け容れ、したがうという陰の力を積極的に用いることができたならば、その力は絶大なものになり、可能性はどこまでも大きく広がっていくと坤為地こんいちの卦は教えています。

超訳・易経 自分らしく生きるためのヒント P121

なるほどなぁ~。

と、この陰の時代の生き方、陰の力を易経から見ていったとき、自分が個人的に人生の中で「陰の力」を感じたのは祖父母の生き方についてです。

以前わたしは 安楽死は是か非か。個人的見解 という割にへヴィーな内容の記事を書きました。

その中で、「もし安楽死ができるとしたら、 自分の身内はどうするか?」という思考実験をしたんです。以下の通り。

  • 祖父(母方): 安楽死は選ばない。黙々と生きて黙々と死ぬ。延命治療は拒否。
  • 祖母(母方): 安楽死が許される状況だったら(祖父が先に死んでいて世話を焼く猫もいない状態)、スッキリサッパリ安楽死する。祖父が生きていたら、我慢して頑張って生きる。
  • 祖父(父方):死ぬまで泣いて過ごす。安楽死?そんなことを冷静に考える心の余裕はない。
  • 祖母(父方):人の迷惑になるくらいなら安楽死する系。とことん周りに合わせてしまうので、安楽死という選択肢が無いほうが幸せなタイプ。

↑この思考実験、キャラがハッキリしててわかりやすいと思うんですよね。

さて、ここで質問です。
この4人のうち、3人はだいたい平均寿命で死にました。そして、1人だけが約100歳の長寿を全うしました。平均寿命をこえて長寿を全うしたのは、この4人のうち誰でしょう?

正解は、「人の迷惑になるくらいなら安楽死する系。とことん周りに合わせてしまう」父方の祖母です。

実は、この祖母以外の三人はメンタル強い系というか、「自分がやるぞ!」と意志を持ってキビキビ生きている感じなんです。祖母ひとりが「幼少時は父兄に、結婚したら夫に、夫の死後は子に従え」と「自分の意志成分0で人にとにかく合わせまくる」生き方をしている人でした。

本当に、祖母に自分の意志はなかった。いつも「周りの誰か」の意図にしたがって、自分の気持ちよりも相手の気持ち優先で生きている人でした。常に出しゃばらず控えめに楚々と生きる。
つまり、超「陰」の人だったんですね。

そんな祖母こそが、100年生きたのです。
わたしはその事実にビックリしました。

だって、他の三人、基本「自分」があるんですよ。特に父方の祖父と母方の祖母の気の強さったらなかった。父方の祖父も、表立ってきついことは言わなかったけれども、内に秘めた「自分」には確固たるものがあった。軸があるブレない人たちだったんです。

そんなシッカリした三人は平均寿命でポックリ死んで、あからさまに流されて弱弱に見える祖母こそが100年も生きる人間だっただなんて~~!!
「生命力」として見たら、一番強いのは実は一番弱そうな陰の女だったというわけです。

陰の力って、すごいね。
メンタル弱そうな人こそが、実は一番生命力が強いんだよ。
強そうな樫は台風で簡単に折れるけど、弱そうな柳は折れないからなァ。

解説書の「文言伝」には、化すことについてこう書いてあります。
「万物を含みて、化おおいなり」。陰は万物を生み出す力と、育てて化す、「化けさせる」という偉大な力をもっているということです。なんでも受け容れ、智慧を使い、工夫して、あらゆるものを形づくり、そして新たなものに化けさせるのが陰の働きです。生み出し、化すという能力がある陰は、陽の力が弱くとも永遠に生き抜くことができると教えています。

超訳・易経 自分らしく生きるためのヒント P148~149
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