令和な今こそ、昭和な大人がカッコイイ

わたしはトウテムポール先生のマンガが好きです。
その理由の一つが、「カッコイイ大人」が出てくるからです。
或るアホウの一生だと、師匠の光堂寺先生。

【画像】或るアホウの一生(2) 第8話  或るアホウの一生 1

光堂寺先生がいかにカッコイイかは 私がオバアサンになってもに詳しく書きました。好き。

ポール先生の代表作、東京心中にもカッコイイ大人がでてきます。
ものすごい昭和な匂いのする、かっこいいオッサンです。

「お前が必要だ」と言われる時が来る

ブラックドッグノービスケッツ-東京心中・7- (EDGE COMIX)

ブラックドッグノービスケッツ-東京心中・7-では、番外編として「街の裏側」という短編が収録されています。宮坂と矢野の過去編です。

成年映画(ポルノ)を観ていた矢野少年。映画館のオッチャンに「そんズボン学ランやな お前18とちゃうやろ」注意されてしまいます。

オッチャンは、少年の年齢にそぐわない冷静な返しに怒りをそがれてしまいます。

このお話は、映画料金が「¥900均一」となっているので、1970年代半ば(昭和50年前後)のものと推測されます。
【参考】 70年近くにわたる映画観覧料推移をグラフ化してみる – ガベージニュース
しかし、AVについても言及しているので、旧作を廉価で見せる映画館の可能性もあります。どっちにしても、昭和後期~平成初期の空気感です。

ぼっちでエロ映画を観る学ラン少年。
若いくせに、ちょっと背中がすすけてますよね。
それには理由がありました。矢野少年は、父親を亡くしていたのです。

感情も上手く出せない。部活もやめる。
無気力な少年がブラブラとして見つけた居場所が、映画館でした。

そんな矢野少年に、オッチャンはこう言います。

「もう遅いけど映画一本おごったる 見てけ」
客のいなくなった映画館に二人。
スクリーンから流れたのは、「羅生門

羅生門 予告篇

観終わった矢野少年は、思わずうめきます。

ずっと心が死んでいた矢野少年は、不条理な物語の前で、久々に感情を動かされたのです。

M★A★S★H マッシュ」などで知られる故ロバート・アルトマン監督は、羅生門についてこう語ります。

ロバート・アルトマン監督 【黒澤明監督 羅生門について】 字幕

(動画3:00~)
誰とこの映画について議論しようと それぞれ違った見解が生まれるのです
それが芸術の美しさです
芸術というのは私たちの知覚に入り込んで
私達の体験や記憶を刺激するのです
しかし、その時の反応は個人に特有のものです
それが芸術の持つパワーだと思います

【画像】ブラックドッグノービスケッツ-東京心中・7- 東京心中(上)

現実逃避できて、観た後はスッキリできるハリウッドのエンターテインメント。確かに見た後は心がサッパリして、ストレス解消になります。

せやけどオレはこーゆう感情えぐってくるマンガも好きやねん。他人事やと思って見とったマンガが気ぃついたら心ん中に入り込んできよってマンガ読んどるつもりが自分の内っかわさらされてるみたいやねん。
或るアホウの一生、お前のことじゃー!!!

オッチャンは、学校を辞めて働こうと思っていた矢野少年に諭します。

長男である矢野少年は、父が亡くなってしまい気負っていたのです。だけど、年端もゆかぬ高校生に、現実をどうにかする力などあるはずもなく。

クラスメートの前でも、妹弟の前でも、もちろん母の前でも、出せなかった本音。
だけど、大人の男の前では、するりと自分の心を捕まえることができたのです。
「おとんが死んでもてショックやったんやな俺は…」

そして、最後にオッチャンはこう言います。

居心地が良いからって、いつまでもここにいてはいけない。
少年を、自分の手の中に収めて包みこむのではなく、ちゃんと突き放す。実に典型的なる父性の仕事です。

父性の力があるからこそ、人は自立を学べる。
自分の足で歩いていくことを、学べるのです。

矢野少年のモラトリアムは終わりました。
彼は、映像制作のための道を歩みはじめるのです。

大丈夫!宮坂がいるから!!!!(東京心中読者の心の声)

少年の10年後
【画像】東京心中(下) 東京心中(上)

少年に父性を示す、成熟した大人の男性

基本的に、この 「街の裏側」 矢野編は、矢野少年の視点で動いていきます。
しかし、この話を昭和50年前後の映画業界の事情とオーバーラップさせていくと、また違った風景が見えてきます。

「カッコイイ昭和のオッチャンの姿」とは

タイトルとURLをコピーしました