なぜ或るアホウの一生は打ち切りの憂き目に遭ったのか

オタク ヒーリング
或るアホウの一生 3巻15話

こんなに面白いのに、なんで打ち切りに?理由が知りたい!

【画像】或るアホウの一生 3巻

或るアホウの一生というマンガが打ち切りになりました。私はすっかりショックでアホウ記事を量産する始末。
今までは「アホウ!面白い!読んで!」で終始していましたが、この記事では少し冷静になって「なぜゆえ打ち切りになったんだ?」という視点で見てみようと思います。

シンプルに売れなかった

トウテムポール先生は、打ち切りの原因を「売れなかったから」と明言しておられます。

「そんな!こんな名作が売れないはずがない!」と思ったわたしは、データを調べてみました。そうしたら
本当に売れてなかった。涙

POSランキング見るだけで、「ああ、わたしが小学館の社員だったら打ち切るな」と思う数字。特に2巻→3巻への落ち込みは実にひどい。

マンガワンのせいで、アホウは打ち切りになったのか?

「ヒバナ」1号 2015年 4/10 号 [雑誌]: ビッグコミックスピリッツ 増刊

アホウ1~3巻分は小学館の漫画雑誌「ヒバナ」創刊号から最終号まで連載されました。
その後、マンガアプリマンガワンへと移籍しました。

マンガワン、確かに「いいなと思った作品が打ち切り食らう頻度高すぎ」という評価があります。加えて、作品ラインナップを見ても、明らかにアホウ(もしくはヒバナからの移籍作品)は浮いていました。

しかし、実は打ち切りが決まったのはヒバナ掲載の3巻出版時のようなのです。移籍後の話がマンガワン読者に受けなかった以前に、ヒバナ掲載時の話が売れていないのです。

2→3巻で売り上げが落ちたのはなぜ?

或るアホウの一生 3巻表紙

前も書いた通り、2→3巻の売り上げの落ち込みはかなり深刻でした。基本的に打ち切りは1巻の部数の伸び(数)で図るようですが、3巻の売れなさっぷりも非常にまずかった。

ポール先生のようなコアなファンがつくタイプの作品って、「続巻も絶対買います!」になるんじゃないのか?なんで2巻から3巻でそんなに売り上げが落ちたのだ?

要するに、2巻を買った人が「3巻も買う!」と思わない構成になっていたということです。
ファイナルファンタジーなんかもそうだけど、前作が良作だと次の作品の売り上げは伸びるんです。実はその巻自体ではなく、その前の巻の出来によって、次の巻の売り上げが変わってくる。

じゃあ、2巻の何が悪かったのォ!?

ペラペラっとめくって、気づいたんです。

【画像】或るアホウの一生(2) 第10話

2巻、すごくキレイに話がまとまってる。
言い換えると「引き」が無い。「エーッ!これ次どうなっちゃうのぉ!?続きが気になる!」にならない。「ワーイ、迫さん勝った!ヤッター!」でスッキリして終わっちゃう!!

わたしみたいな素人が指摘しなくても、プロの編集さんは当然この痛恨のミスを見抜いていたことでしょう。事実、3巻の最終話は見事な引きで終わっています。「あ、あの御船が!」っていう。

3巻へ興味をつなげる引きが弱かったのと、掲載紙移籍というダブルパンチで、アホウの3巻はあそこまで売れなかったのではないでしょうか……。媒体を移籍したのだから、元ヒバナ読者に「出るよー!」と普段より強くアピールせねばならなかったのに、3巻で広告費がガッツリ削られている様子が察せられるのもキツイ。

それに対してアホウは今回初版でも帯がありません。
つーのもね。実は帯って結構金がかかる訳です…
※今回も金の話か!
本を買う人への負担にはなっていないので大丈夫です。
こちら、本を作る際の「宣伝費」というところから引かれている訳ですが
私のごとき輩に出る宣伝費など限られているので
何にどう使うか!?っつーのが毎回担当氏と苦戦を強いられるところな訳です。

帯の色々。 トウテム日記/ウェブリブログ

もちろん、マンガワンに作風が合っていなかったのも事実です。
が、それ以外の悪条件も重なっていたと言えましょう。

「読めばわかる」? じゃあなんで読まないの?

アホウに関して「知られれば売れるマンガだったのに」「読めば面白さがわかるのに!」と悔しがる発言を目にします。

私もまったく同意です。はじめて読んだ時「なんでこんなに面白いのに今まで読まなかったんだろう!」ってメチャクチャ自分をアホウだと思いましたから!

だけどね、これってね、裏返すと
「知ってたのに手に取らなかった(読む気にならなかった)」
ってことなんです。

東京心中 上 (EDGE COMIX)


わたし、もともとトウテムポール先生の東京心中のファンで、それこそ10年以上前の商業展開以前の(同人誌だった) 段階から追ってたんですよ。
だから「トウテムポールが青年誌でBLではない連載を始める」という情報は当然入ってて「或るアホウの一生」という作品の存在自体は認識してたんです。

なのに、アホウ連載開始後3年経過、2018年に入るまで読まなかった。

BLじゃないから? いやいや、別に非BLマンガも好きですよ。
逆視点で「なぜ東京心中に食いついたか」というと、わたしの場合は「仕事場面での体育会系ノリがメッチャ熱くて燃える!!」これですね。

もちろん、読んでいく中で宮坂や矢野さんのもっと深い面やエピソードで引きこまれてはいったんですけれども、フックはこれです。わたしはとにかく「体育会系脳筋大好き!!

キャラの体育会系な仕事っぷりが私の心にドストライクだったんです。「だよねっ!仕事後のビール美味いよねっ!ユカさぁん!(ガッツポーズ)」
仕事!辛い!でも楽しい!みたいな充実感が、スッゴイ共感できたんですよね。

逆にいうなら、アホウが「将棋漫画」って聞いて、
「あ、将棋? 興味ない。いいわ」
って思っちゃったんです……。

だって、三月のライオンがいかに素晴らしい作品か力説されても「え~でも、将棋でしょお?将棋はいいわ~」ですからね。

あんな名作ベストセラーですら読む気を失せさせる力があるんですよ、将棋マンガって。個人的には将棋って自分で指したほうが楽しい。マンガで読みたいとは思わん。

同じく、「将棋?うーん」で敬遠した人、女性だと多いと思うんですよね……。
正直、将棋って、食いつきにくい。だって、難しそうでしょ。

そして男性読者(特にマンガワンなどのアプリのユーザー層)には丁寧な心理描写が地味に見えて刺激が足りない。アホウを楽しいと思える男性読者は、少女漫画も読める層になりそう。となると、マンガワンはやはり厳しいですね。

あと第1話試し読みまでしたとしても、ブロマンス要素が薄すぎてBLクラスタは食いつけない。これが痛い。東京心中の読者を引きこめないから。

迫も夏目も腐女子にとっては非常に魅力的なキャラなのに、カプにならないこのもどかしさ!!夢女子はキャラ一人だけでも推せるけど、腐女子はカプじゃないとスイッチ入らんのですよ……。ギブミー相棒。

アホウは紫紅編になるまで正直BL好きにアピールするには弱かった。このあたりは東京心中好きが或るアホウの一生を読むべき3つの理由に書いた通りです。

ポール先生の作品は、読んだら好きな人は「めちゃくちゃ好き!」「こんな作品を作れるの、この人しかいない!」って深くハマれるタイプなんだけど、フックが弱いんですよね。

何が一番弱いかって、もうこれ、メチャクチャ正直に言っちゃいますけど、絵ですよね。絵だけで「えぇ……」って敬遠する層は一定数いる。

あと、わかりにくい。元ネタわかると「フフッ」ってより深く楽しめるんだけど、わかんない人には内輪で盛り上がってるみたいな感じで置いてけぼりにされちゃう感がある。

コンテンツが少なくて、一つの漫画を何度も読み返して味わう時代には、こういう「噛めば噛むほど味が出る」作品って末長く愛されます。わたしもそういうタイプの作品、好きです。だけど、これだけマンガがドンドカドンドカ多数出版されて消費されまくる潮流だと、厳しいですよね。もっと即物的な刺激を求める読者のほうが多い。

だからわたしは、ポール先生は商業じゃなくて同人に行ってほしいというわけで。

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