
「もう着なくなったなぁ」という綿の普段着物。
ただタンスに寝かせておくのももったいないので、リメイクしました。
一枚の着物が作務衣ともんぺとバッグ(あづま袋)に変身!
おくみ以外、ほとんどリメイクしちゃいました。 下の図のような感じで、布を使います。

和裁の技術で作ったものは、基本的に立体裁断はしません。布を長方形のまま生かして使います。だからリメイクしやすいんですね!和の知恵って素晴らしいわ~!和裁LOVEっ♥
作り方の手順
着物をほどいて、身頃を作務衣にする部分ともんぺにする部分で切り離します。
切りくりこしの場合(わたしは長身なのでよくやります…)など、身頃が前と後ろで長さが違う場合もあります。その時は長い分を切っちゃうか、作務衣でも引き続きくりこし有で仕立てればよいです。
下部分をもんぺではなく巻きスカートにすれば、二部式着物にもできます。前あげと後ろあげがたっぷり取ってあった場合に選択肢として考えてよいかと。
縫い方の手順
- 背中心を縫う(洋服地(広巾)の場合は省略可)
- 脇を縫う(馬乗りを作るのを忘れずに)
- 裾をくける
- 衿を付ける(布が余る場合、衿先から紐用の布を取る)
- 袖を作って付ける
- 紐を付ける

着物の衿に入れていた三つ衿芯(晒)も、作務衣の衿にそのまま流用します。ちなみに、共衿はかけてません。共衿部分の布はバッグの持ち手になってもらいました。
「これじゃわからん!詳しい仕立て方を知りたい!」という方は、和裁の本などを参考にしてみてください~。

習いに行かなくても、ゆかた(単衣)くらいなら本見て作れますよ。私が和裁を習いに行くようになったのは、袷(裏地付きの着物)を縫おうとしたからです。
あっ、単衣でも絞りの浴衣とか大島紬とか縫おうと思うなら、先生についたほうがいいと思います……。大島、マジ難しすぎて、軽く私のトラウマです。わたしの師匠は「大島ってピシっとなるから縫ってて気持ちいいじゃなーい」とか言います。同じ人間かよ。神か。
キモノハナ おあつらえの臼杵さんはね、和裁の資格持ってらっしゃるんですよ。その臼杵さんが仕立てた袷の大島の衿付けがね…もうメチャクチャきれいでね……尊敬します。
はあああ~。大島を綺麗に仕立てられる人は、わたしにとっては神。神だ。
昔ながらの知恵を生かして、快適な部屋着を作る
今回の作務衣は、くりこし無しで仕立てました。首周りに布があると、体感温度がまるで違うのは皆さんもご存知のことでしょう。日本髪を結うなら、くりこしはあったほうが良いです。衿を抜けますから。だけど、日本髪結わないなら別に衿抜かなくったって(=くりこし無しで)いいんだよねぇ~。暖かさ優先です。トコトン機能性重視だよっ!
加えて、袖をすぼめた形にして、身八つ口を無くしました。これも防寒のためです。立体裁断(洋裁)の袖のように、体のラインに沿う形ではありません。二の腕のあたりはゆったりしているのに、手首のほうはすぼまっています。この形にすることで、空気が入って暖かくなります。
これは、寒冷地の着物や野良着によく見られる形です。アイヌの衣はもちろん、東北地方でもこの袖の形が見られます。

画像元: アイヌ女性の創造した衣文化 (津田 命子)

画像元: 【暮らしの教室】青い森 ~こぎん刺し体験と津軽資料展~
逆に、暑い地域ではこの形だと風通しが悪くて不快です。なので、琉装(沖縄の伝統的な装い)では、袖は筒形になっています。

だから、この作務衣を作る場合でも、わたしのような寒い地方の人間は身八つ口なしで裾をすぼめて作ったほうが具合が良い。
逆に暑い地方の人が作るなら、琉装のように真っ直ぐな筒袖で丈も短めにしたほうが涼しくて良いでしょう。 袖口に切込み(スリット)を入れてもいいですね。生地もしじらなんかで作ると涼しくて良いですよね。

地域の伝統的な衣装を見ていると、きちんとその土地に合った形に作られています。昔の人の知恵ですね。
わたしは「布が二枚体の前部分(体幹)で重なっている」というのが、とても心地よいものだと感じます。この作務衣を着ていても、思いますよ。着物でおはしょりして腰回りに布がガッシリあるのも、体が温まってすごく良い。
日本人って腸が長いらしいでしょう。その腸を布を重ねることでしっかり保護してくれる、冷えないようにしてくれてる。欧米ではガウン型の衣装が伝統服としてあまり残らなかったのは、腸が短いから布が薄くてもそんなに不自由なかったからじゃないのかしら。洋服の形というのはそもそも、西洋の伝統衣装の継承ですからね。
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