思考が世界を創るなら、思考を広げなくっちゃ

オタク ヒーリング

ボクたちのBL論 (河出文庫)

サンキュータツオと春日太一の対談本「ボクたちのBL論」で、男がBLを読むのは「自分探しに近いのかもしれない」と書かれています。「男の中にある繊細な部分っていうものに、BLが共感させてくれる(中略)きづかせてくれる」と。
そういうお二人の対談を見ていたわたしも、自分の無自覚だった一面に気づかされました。

例えば、わたしはコンテンツ消費を基本「生存戦略の一環」として行っていることに気づきました。

 BL体験は、誰の話を聞いても非常に個人的な話になっていき、一般化しにくいものでもある、ということです。

 「僕はエンターテインメントに何を求めてきたんだろう」って。そのときに行き着いたのは全く同じ結論。「僕はファンタジーを求めてきたのだ」と。
(中略)
エンターテインメントに触れるときは自分からできるだけ遠ざかって別世界に行きたい。

この春日さんの発言に「そうなんだ、私とは違うんだなあ」とずいぶん驚きました。
そしたら、この本の発売イベントで腐女子代表の池田裕子さんも似たことをおっしゃっていた。


24:40~(共感から)離れたい、そうですね。自分介入したくない。
春日さんや池田さんの、自分からは遠いファンタジーの世界に没頭したいという欲求は自分とは全然違うので、驚いたのです。

自分は、何のコンテンツからでも「現実でコレ使えるかな」「この手を使ったら上手くいくかな」というヒント集めに使っているので、完全ファンタジーだとのめりこめない。「自分」が全く介入できない、存在できない世界だとピンとこない。
その世界の中の知識なりメカニズムなりをどっかこっか持ってきて抽象化して「ここの世界でも使えるように魔改造したい」という欲望があるんですよね。サムライトルーパーの当麻が好きで弓道始めちゃうような安易さで。

ゆえに、ファンタジーよりどこかにリアリティの残っている作品が好きなわけですよ。或るアホウの一生とか或るアホウの一生とか。だってアホウに出てくる人、ビジュアルは置いといて中身は人間として生々しいでしょう。

ミリタリーものが好きなのもそこなんですよね。
人生渡っていくのに軍事(戦略)知識ってすごい役に立つから。いや、そのままじゃ使えないんだけど、抽象化すれば十分ビジネスで応用可能だから。エロと戦争は人間の本性を一番鋭くえぐり出します。

↑これとか読んだら「レイプされた時に頭に抱きつくふりして親指目の奥までつっこんでグリって回せば殺せるんだな~」とか勉強になりますよ~。金カムのお銀が後ろからかんざしでグルってやったのの前からバージョンですね。

もちろんそんなこと実践する機会はないですけどね。(ただの雑学だよ~♡)

だから、わたしにとって本を読んだりアニメをみたり映画を観たりするっていうのはインプット作業であって、もちろん娯楽であって楽しいわけですけれども、人生の飛躍において非常に大切なんですよね。アイデアの着想をくれる存在なんです。

現実逃避ではなく、「いかにその虚構を現実でも使えるようにカスタマイズしていくか」なんですよ。科学者がスターウォーズ観て「俺もライトセーバー作りてえ!」みたいな。

だって、スピリチュアルな法則では「思考が現実を創る」っていうでしょう?
なら、その思考がでっかく柔軟じゃないと、世界は広がらないのですよ。可能性は限られたままなのですよ。世界を広げるための刺激を大切にしないと、世界は広がらぬのですよ。

現実に役に立てるためのアイデアとしての虚構。だから、あんまり現実から離れてると「うーん、これは使えないなぁ」と興味がわかない。宝石の国なんかその典型例です。すごくいい作品なんだけど、ピンとこない。違う。自分的にはファンタジーすぎる。

宝石の国(1) (アフタヌーンコミックス)

僕は、くにちょぎ妄想ができない

コンテンツは人生戦略のためのアイデア、インスピレーションを与えてくれるもの。
だから、常にリアリティが大事だしファンタジーすぎると興味が持てない。

けれども、「創作」と考えるとこういう見方はマイナスになります。「リアリティがない」という時点で萎えてしまっていると、人の期待を裏切るような素晴らしい創作はできないからです。
例えば、わたしは刀剣乱舞の「W山姥切が陰陽の形として面白いよ~」という記事を書きました。


せっかく因縁のあるイケメン2人がいるんだから、腐女子としてはカプにして美味しく頂くべきですよね(変な義務感)。だけど、わたし、自力妄想じゃこの二人をカプにできないのです。特に、まんばちゃん(山姥切国広)。

特(修行前)のまんばちゃんだと、もう想像すらできない。異次元すぎる。
「いやアンタなんでそんなに思考がいちいち暗いの。そんなウジウジ考えてて生きるの苦しくねぇの?やめなよそういう考え」とかクソリプかましてしまいそうなくらい、彼のことが理解できません。
わたし、エヴァンゲリオンの碇シンジも全く意味不明の宇宙人に見えるんで。無理。よくわかんない。なんなの君???ウジウジしてないでスパッとしなよ(無慈悲)

でも、極(修行後)のまんばちゃんだと「こんな感じかな」という想像の余地ができます。

すごい「高校生男子」って感じの男の子。コミュ力低くて無口で真っ直ぐゆえに無神経だけど、悪気がないのはわかるから同級生男からは好かれるし信頼される。身体能力も高いので、一目置かれる。これがないとイジめられがち。運動神経は中高生男子の生命線。
女子からは怖がられたり「何考えてるかわからない」と思われる。イケメンだから顔に釣られたスクールカースト高め女子が告ってきたりするんだけど、押されて付き合ってみても正直まったく女子の求めるリアクションやコミュニケーションが無理。なので、女は勝手に寄ってきては勝手に失望して去っていく。よって「女って面倒くさい…」と苦手。山伏兄さんと山籠もりして筋肉筋肉してる方が断然楽しい。本当にど真ん中男子高生。オバチャン視点で見ると、どんぶりいっぱい飯食わせたい系男子。食うぞ、こういう男子は。一升炊いとけ。いっぱいたべる きみがすき(赤城提督並感)

長義くんは「偽物くんってば気に入らないかなギリギリギリギリギリギリ」なので、まんばくんは「なんかよくわからんが怒っている。怖い」と近づかない。だって、名前も物語も自分にとって一番大事なことじゃないって気づいちゃったんだもの~。

――と自分で考えると、こんな感じになります。
嗚呼、まったくBL展開にならない!!!

けど、よそ様の二人を見れば、いくらでもカプになってるんですよ。
自分では生産できないけれど、他の人には生産可能なんですよ。わたしの脳みそではストップしてしまうその先まで妄想できるんですよ。
これってリアルを求めないからこそできることですよね。創作しようと思うならリアリティ追求型よりファンタジー追求型のほうが強いと言えましょう。

え?解釈違い?
うーん、そうかもしれないけど、解釈違ってて何が悪いんですかね。
「自分で考えたらカプにできない二人をカプにしてしまえる妄想力のある人ってすごいな」って思うだけですよ。自分、雑食でなんでも美味しく食べるし。もりもり。リバ好きだしね!

考え方なんて違ってていいじゃん

このボクたちのBL論では、「公式による、あざとい情報提供」問題についても論じています。

 作り手側が「これはこういう作品で、こう観てください」とすべて提示してくるから、受け手が解釈する行間がないというか。
(中略)
発信側は受けての受け取り方を意識しすぎないでほしい。

公式から「ホラッホラッBLでしょッ、沼でしょっ(チラチラッ」ってやられると、冷めまくるよねって話です。余白があるからこそ妄想の余地があるのだと。

 ドット絵が妄想を誘ってくれるんですよね。
 余白がある。
 顔が同じだから、そこに自分自身の顔を妄想で埋め込むこともできる。

そうなんですよ。
ファミコンのファイアーエムブレムなんてね、キャラビジュアルがこれですよ!!
左:カイン 右:アベル
こんな情報量でカプ作るんですよ!!?スゲエよ腐女子!!!
ちなみにパラ的にはカインがパワータイプでアベルがテクニカルタイプです。イベントとか会話とかほぼほぼないです。

もうこんなんだから、その人によってアベルもカインも造形が違うんですよ。キャラも違うんですよ。アベル×カインもあればカイン×アベルもあるんですよ。
解釈なんて人の数だけある!! 同じなのは赤と緑という色くらいだ!!

刀剣乱舞も「人様の本丸の男士は人様のところの子だからねえ」で、かなり余白があるんです。だからこそ同人で流行ったのでしょう。スピリチュアルな言い方をするなら、並行現実が許されているので実に多次元的な世界であります。

ヒプノシスマイクという、男性声優キャララップバトルをご存知でしょうか。


これも情報量が少なく自由に妄想の余地があったがゆえに、人気の出てきたコンテンツに見えます。
ちなみに速水奨さんが参加されているので、古の腐女子にも優しい作りとなっております。まあ、ジュリアス様がラップですって!

 基本的に腐女子にロックオンされたものは、どういう見せ方をしても読者上位の世界なので、公式の想定を上回る方法で消費されていきます。
(中略)
 個人にとってのいちばん魅力的な存在って「自分の妄想したその人」だと思います。ヘタすると公式のその人自身より魅力的だったりする。ずっと時間かけて愛情こめてその人のことばかり考えて考えて練り上げられた結晶なわけですから。

そう、だから下手に公式が詳しい設定を後出ししちゃうとよく燃えるっていうね……。
いや、昔ガンパレードマーチというゲームがあってね、その裏設定というのが――いや……うん…とうらぶでは芝村さん黙っててくれて、わたし、とっても、嬉しいな~。マジオペのソフィアみたいなのは勘弁して。ブルブル。芝村世界は怖いよ~。

最後に、ビアンカ愛を貫くタツオさんと春日さん、お二人に懺悔しておきます。
わたし、フローラ派です。
えっ、だってイオナズン使えたほうがいいじゃん?(冷徹性能厨)

ボクたちのBL論

ボクたちのBL論

posted with amazlet at 18.10.18
サンキュータツオ 春日太一
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