ただそこにいて、待っていなさい

オタク ヒーリング

刀剣乱舞クラスタが新イベントの新キャラで盛り上がっているという話を、こちらの記事で書きました。

人を惹きつけるには、理由がある。
ゲーム・刀剣乱舞の新イベントで新しいキャラが実装されました。 それがまたイケメンキャラで、すごい人気です。pixivでは一カ月経ってないのに彼のイラストが約800件も投稿される有様。 だけど、別に顔がいいキャラなんて二次元には腐るほどい...

それは、W山姥切の陰陽のバランスが素晴らしいからだと。もっというと、神話型のアーキタイプに準拠しているからだと。

闇に降りていくことで、光は完成する

ゲーム・刀剣乱舞をご存知ない方にご説明しますと、今回の新イベントは「異世界の探求により新キャラを手に入れる」というものでした。もっというと「写し(レプリカ)である山姥切国広が本歌(オリジナル)の山姥切長義に出会うイベント」でした。

自分の半身(影)に出会うためには、異次元(闇の世界)に降りていく必要があります。
待っているだけでは駄目なのです。自分からつかみ取りに行かねばならない。半身は、自分から外の世界に出てくる力はないのです。

あなたはその世界に閉じ込められたままだ

何が心(知性の座)を動かし、何が肝臓(感情の座)を動かしたのだろう?
この子は私と暮らしたいのか?
土を食らい、塵を飲みたいのか?

異世界を探求しに行くのは陽の仕事、山姥切国広がやることです。陰の長義は監査官としてじっと見ています。彼自身も十分に力があるにもかかわらず、手助けしたり力を与えるようなことはありません。陰は、ただじっと「そこにある」ものです。努力をするのは陽です。

異世界に半身を求めて降りる。
このモチーフは世界中の神話で至る所に見られます。イザナギとイザナミ、クピドとプシュケ、イナンナとエレシュキガル――

異世界に降りたとき、その人物は試練にさらされます。
その試練をくぐり抜けた時、恩寵があります。陽の力が陰の世界と深く交わった結果です。ゲーム内でいうと長義が国広の元へとやってきます。

「異世界」というとゲームの中の話で、現実の自分とは全然関係ないと思われるかもしれません。しかし、この異世界というのは「自分の中の闇(シャドウ)」というメタファーでもあります。
隠れていた自分の闇(意識の奥底)を見ることで、人は統合を果たし、全体性を取りもどした魂は成長します。

陰の力はラクチンやでぇ~

陰陽の半身としての神話に、日本ではイザナギとイザナミの話があります。

男神は柱の左から、女神は右から回り、二人が出会うと女神が先に「ああ、なんと立派なお若い方でしょう」と言いました。次に男神が「ああ、なんと美しい乙女だろう」と言いました。
二人が交わると、蛭のような子が生まれました。気味が悪くなった二人は子を籠に入れて海に流しました。
それは儀式で女神イザナミが先に声を上げたからでした。二人が天つ神に尋ねたところ、やはりそれが原因だとわかりました。

このくだりは「女が男を立てずに出しゃばると障碍児が生まれるぞ」という内容で、まあまあ現代視点でのポリティカル・コレクトネスもクソもあったものではありません。古事記では、はっきりと「女子先に言へるは良からず。」 と言っています。
【参考】初めてのまぐわいと初めての子 | 日本神話・神社まとめ

この話をそのまま受け取るなら男女差別も甚だしいわ!!ということになります。
しかしながら、神話とは寓話であって「書かれていることがそのまま起きたのだ」と頭で理解してしまっては何の役にも立ちません。噛み砕いて自分の精神の血肉にしてはじめて滋養になります。

イザナギとイザナミの話を「男と女の話」ではなく「陽と陰の話」と置き換えてください。

陰は自分から動いてはいけません。ゲームでも長義は自分から手をのばしてつかみろとうとはしません。「参加は任意」なのです。自分の半身を見て「がっかりさせるな」と焦れても失望しても、国広が成果を上げるまでじっと待っています。時が来るまでは、自分から布をはぎ取って正体を明らかにすることがありません。

イザナミの失敗は、陰が陰としてのふるまいをしなかったことに由来します。
「女は黙ってすっこんでろ!」じゃなくて「陰は何もしない(もしくはリアクション返してるだけ)で上手くいくんだよ」って話です。

陰の力、女性性のすばらしさというのは「引き寄せ」です。
努力して自分からつかみ取るのではなく、ただあるがままにくつろぐだけで、必要なものがするするするすると引き寄せられてくる。それが陰の力です。「楽をして良い」「頑張らなくてもよい」のが陰なのです。陰の力を生かすには、陽のように力強くふるまってはいけません。

「相手から求められたい」「必要とされたい」という人は、陰の力を使えばいい。そうすれば、陽の力が引き寄せられてきてあなたのことを求めるから。
女が男から愛され求められるのは、陰の力ゆえ。陰の力を使えば愛されるなんて朝飯前。


陽は努力しなきゃダメ。
陰は努力しちゃダメ。

もちろん、神話とは違って現実の人間が完璧に陽だけだったり陰だけだったりってことはありませんから、「陽が強い時期」と「陰が強い時期」が交互にやってきます。占い(特に東洋の占術)による「運勢を見る」というのは、そういう陰陽の流れを見るということです。


【画像】Xiantianbagua – 易経 – Wikipedia

そして浅薄な占い師は、軽々しく陽の時期を「運が良い」としたりします。わかってないですね。そういう見立てをするなら、人生は味気なく殺伐としたものにしかならぬというのに。
大切なのは陰も陽もあること。そしてもっというならば、その相反する陰と陽を統合し太極・中庸に至ること。精神的に男でも女でもない半陰陽・両性具有に達すること。

山姥切長義と国広が共にあるのを見て心が動く人がいるように、陰と陽が引き合っている様子は、ものすごく心惹かれるものです。
なぜなら、わたしたち個人個人が、自分の中で、他者との間で、陰陽を味わい統合していくことが、この二元性の世界で与えられている根源的な課題だからです。

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