相変わらずマンガ或るアホウの一生の打ちきりに打ちひしがれておりますが、皆様にあられましてはますますご健勝のこととお慶び申し上げます。
なんで私がこのマンガがそこまで好きかというと、「人生の法則」みたいなものを、上手く暗喩してくれている作品だったからです。
「そうそう!そうなんだよ!そこでそうなるんだよ!」みたいな。
言語化するのが難しい、そういうフニャッとしたものを、マンガで上手く立体的に表現していたのがこの作品だったのですよ。
要するに、読みこまないと理解できない。表面的にただ読んでるだけじゃ「フーン」で終わる。
ハイコンテクストなんですよ。
例えば、2巻の表紙。
これを見たたけでジャケ買いしたがる人はあんまいないと思います(失礼)。突出して美麗ってわけじゃないからな(失礼)。
「フーン。なんかスカした兄ちゃん二人が赤ワイン飲んでウェイしとんのか」くらいにしか見えないと思います。
だけど、内容を読んでからこの表紙を改めて見ると
「うっ!うぇえええええ!そう来たか!エグイ!!ギャァー!!!」
って絶句するんです。メッチャ心に刺さる。
もう牧野さん!
もう牧野さんその笑顔やめて!!
そしてページをめくってすぐ出てくる牧野さんの笑顔に二回えぐられる!!
【画像】或るアホウの一生 2
いやえぐってくるの君だから。
でも、それがなぜかを説明できないのです。
説明しようとすると、一から全部話さなきゃならない。
だから、このマンガをおすすめするのは本当に難しい。一言で上手く表現できない。
だから正直、売れないのわかるんですよ(失礼)。
だってこのマンガ、文学作品みたいなんだもん。つか題名からして「或る阿呆の一生」だもんなァ。芥川龍之介の遺作ですよ。天才が死んで遺したものですよ。天才(シコウ)が遺した――そこからこのマンガを読むと「アーッ!!」ってなるんですよ。
わかるひとにはわかるけど、わかんない人にはとことん伝わらない。
だって、或るアホウの一生って言われてピンとくる奴なんて、正直2割おれば上出来やろ。芥川龍之介すら知らんヤツのほうが世間では多いで。いやまじで。
昔国語で習ったのなんか、みんな忘れとりますわ。教科書に落書きしたくらいの記憶しかないでしょう。←大体こんなことになってる
このマンガが売れるなら「文芸が売れない時代」なんて来てませんわ。
売れない、数字が上がらないのはわかる。だけど、読みこめるなら本当にすごいんですよ。「自分の人生には何が必要で何がダメなのか」が洗い出せるんですよ。触発してくれるんですよ。
ゲーマー風に言うなら、「自分はこのクエ消化のために何の素材が足りていないのか」がわかるんです。
願いをかなえるには「素材」や「プロセス」が必要だ
「恋がしたいのに良縁が来ないッ!!」
という女性がセッションに来ることがあります。
スピリチュアル的な視点からすると
「縁が必要なら引き寄せればいいじゃない」
って話なので、すごい困ります。
「○○したいのにできない」っていう場合、基本的に潜在意識と顕在意識がズレていたり、ブロックがかかっていたりします。「できない状態」を自分でわざわざ作ってるのに、そこに気づけない(自覚できない)から結局は「できない状態」を継続するしかないんです。
で、「あなたにはこういうブロックがあるから異性は寄ってこれなくなってますよ」って伝えても「えっ、そんなことないです!」っていうんだよな、そういう人の場合。否認すんだよ。
例えば、ホットケーキ(トウテムポールリスペクトをこめてパンケーキと言わずホットケーキというぞ)を作るときには、ホットケーキミックスだけでは駄目です。それじゃただの粉です。
ホットケーキミックスに卵と牛乳という素材が必要です。
そして、それらの素材を混ぜて焼くというプロセスが必要です。
「○○したいのにできない」という人は、素材とプロセスのどっかが過剰か足りてないんです。
「ホットケーキが食べたいのにホットケーキミックス買ってきたけどできないんです!」
「あなたには卵が必要ですよ」
「卵なんて要りません!ホットケーキが食べたいんです!」
「いやだから、ホットケーキには卵を入れたほうがおいしいんですよ」
「卵なんてホットケーキと関係ないでしょう!?私卵じゃなくてホットケーキが食べたいんです!!」
先ほどの恋愛したいけどできないバージョンにあてはめると、こうなる。
「恋愛がしたいのに縁がないんです!」
「オーラがかたいと男は寄ってこないですよ」
「オーラで恋愛するんじゃないでしょ、私は恋がしたいんです!」
「いやだから、オーラがかたいと男の人は近寄れないんですよ」
「オーラなんて恋愛と関係ないでしょう!?私オーラを見てもらいたいんじゃなくて恋がしたいんです!!」
要するに、「○○したいのにできない」という状態は何らかの素材とプロセスを「関連性が全くない(と思っている)もの」として、切り落としてしまっている状態なんですよね。
確かにホットケーキは、卵には見えません。お菓子を作る人じゃないと、卵を入れて作るものだということも知らないでしょう。だけど、ホットケーキには卵が入っているのです。卵が必要なのです。
同じく、恋愛をするのにオーラなんか関係ないと思うかもしれません。それよりも見た目や若さのほうが大切だと思ってるかもしれません。ですが、ブサイクでも良縁をつかんでる女性なんて世の中いくらでもいるし、老人ホームで色恋沙汰起こす高齢者だって珍しくないんです。なぜなら、そういう人は「相手を引き寄せる力」があって、それが要するにオーラでありエネルギーだよっていう話なんです~~~。
もうさ、そこがワカンネってんだったらお前大人しくセッションで言われたこと「ハイ分かりました」って聞いとけや!って話ですよ!!「いやそれ関係ないです」「そうじゃなくて私は○○の話をしていて」じゃねんだよ!関係なく見えるんだろうけど、それが必要なんだよ!!それがクエに必要な「素材」なんだよ!バタフライエフェクトで風が吹けば桶屋は儲かるんだよ!!
【画像】裏サンデー | 或るアホウの一生 第25話 カウントダウン
話を戻しますと、このマンガ「或るアホウの一生」は、そういう「一見全然関係なさそうなふとした何気ないこと」が実は重要で全てつながっているのだということを、見事に見せてくれる作品だったのです。特に紫紅編に入ってからというもの、そのつながりっぷりがまさに芸術的で鳥肌ものでした。
だけどそれを「ここがこれでこうつながっていて」と説明しちゃうと、全部ネタバレになるので全然話せないのです。面白さをうまく言葉で表現できないのです。ギギギギギ。
ラヴェルの「ボレロ」のように、一つ一つの旋律は単調でも重なれば重なるほど重厚さを増し大輪の花が咲いていくような作品でした。特に、紫紅編からは大輪の片鱗が見えていました。
逆にいうと、1話(立ち読み)だけ読んでもつまらないのです。「なんだこれ」で終わっちゃうのです。ボレロの始まりのフルートパートだけを延々と聞かされていくような単調で退屈な作品に見えるかもしれません。のちのち壮大なオーケストラになるのすら予測がつかないでしょう。
そしてこの作品は、淡々淡々と話を進めるので、スゴイことをわざとらしい演出もなくサラッと流しちゃいます。慌てて「えっ!?あっ!?」とページを戻して読み直すようなシーンがいくつもあります。
だから、ソシャゲのような至れり尽くせりで「分かりやすいもの」に慣れ切ってる読者には伝わらない。
結果、売れない。
もっともっと、わたしはあの世界を見たかった。
鮮やかにこの世界のホログラフィを見せてくれる作品でした。
残念です。
この世界は全部フラクタルなんだよ!【参考】マンデルブロ集合 – Wikipedia
さて、ここを見たあなたはその時点でシンクロニシティに引き寄せられ大天使と不動明王とシヴァ神に導かれた大いなる運命だと思ってとりあえずアホウ買ってください(ダイマ)(霊感商法)(いろいろとひどい)


