ただいま北海道民は9月6日の地震から、節電生活を心がけています。
9/22現在では胆振の一部地域を除いて、停電はほぼ復旧していますが、発電所は完全復活とはいっていません。
【参考】停電情報 – 北海道電力
【参考】苫東厚真発電所2号機の復旧見通しについて(第4報)(9月20日) [PDF:145KB]
そんな状況なので、引き続き節電しておるわけですが。
【画像】9/21の電力使用状況 (北海道エリアのでんき予報より)
予想(うすい水色)をはるかに下回る実績。みんな、ガッツリ節電しております。道民ステキィ!!
この様子を見ていて「電気を使うなってのは極端かもしらんけど、『電気をあんまり使わない生活=停電しても何とかなる生活』ってのにシフトしてくのは、可能なんじゃないか?」と思います。
今回の停電でオール電化住宅の人なんて、メッチャ大変だったし、そうじゃなくても「電気に依存するってヤベエ」って思い知らされたわけですよ。薪ストーブ売れてますよ。
【参考】“電気不要”まきストーブに関心
情けは人の為ならず、エコは地球の為ならず。自分のためです。
ドラマ「北の国から」第1話にはこんなシーンが流れます。
純 「電気がないッ!?電気がなかったら暮らせませんよッ!」
五郎「そんなことないですよ」
純 「夜になったらどうするの!」
五郎「夜になったら眠るンです」
純 「眠るったって。だって、ごはんとか勉強とか」
五郎「ランプがありますよ。いいもンですよ」
純 「い――――。ごはんやなんかはどうやってつくるのッ!?」
五郎「薪で炊くンです」
純 「そ。――――そ。――――テレビはどうするのッ」
五郎「テレビは置きません」
純 「アタァ!」
そう。電気がそれほどなくても何とかしようと思えばできるんです。
だって、何万年も、そうしてきたんだから。
文明は奇跡の砂上の楼閣
この「北の国から」の脚本家・倉本聰さんの「獨白」という本があります。
この本に書かれているのは311のことなのですが、災害が多発している今、ものすごく心に刺さる言葉が多いです。要するに、倉本さんの言葉は普遍的なのです。
「獨白」はもともと富良野塾のOBライターに行っている特別講義をまとめたものです。周期的に行っているものなので、普段通りに話しているのですが、そのとき2011年3月11日14時46分が訪れます。
いやはや。
なんとも言い様がないね。
―――――。
地震。
大津波。
そして原発の事故。
―――――。
地震と津波は――――仕方がないといえば仕方ないよ。これは地殻の変動だからね。
46億年の地球の歴史の中で、くり返して来たことの一つの事象だ。我々はその地表、薄氷のような地殻の上で、泣いたり笑ったり生きてるンだからね。
被災者の方々には何とも言葉が見つからないけど、これは一つの天災だ。一つの運命と思っていただくしかない。問題は原発の問題だよ。(P90)普段ぜいたくな、身に過ぎた豊かな生活を享受してるものなら、そういうことも起こるだろうって覚悟しとくのがあたりまえなンだ。
文明ってのはある意味、化石エネルギーに支えられた奇跡の砂上の楼閣なンだからね。(P135)福島の原発事故で計画停電ってものが始まって、東京の街が部分的だけど暗くなってるだろう?
薄暗い夜の街の中、家路を急ぐ人々の影。
くり返して言うけど、これ俺大きなチャンスだと思うンだ。
これが当たり前の姿なンだよ!
昔ぁどこだってこうだったンだよ。
夜は元々暗いもンなンだ。
いつもの明るさが異常なンだぜ。(P170)今、この災害の後をどうするかって時、新聞の社説が消費をすすめろって載せていた。目を疑ったね。今回の災害が日本にとって第三の敗戦って言われるならば、立ち直るためにはこれまでの価値観、誤った概念を叩きこわさなきゃいけない時なンだ。即ち浪費によって大国になり上がった終戦後の日本の思想をね。消費すること、浪費することで今の繁栄を築き上げた。そのツケとして原発事故が起きた。そのことにみんな気づかないのかね。(P312)
福島にあるあの原発が作る電気は、実は福島の人たちは使ってないンだぜ。全部関東に送られてるンだ。関東の為にあの原発はあるンだ。なのに東京は恍々とネオンをともし、我欲にもとづいて買い占めなンかしてる。これを変だと思わないかい?
どうして東京のための原発なのなら東京都内に原発を作らないンだ。関東のための原発なのなら、東京湾とか千葉とか湘南に自分たちの原発を作らないンだ。(P209)
「身の丈に合った生活」から、わたしたちは外れてしまっています。
そもそも、北海道に原発が3基もあること自体がおかしい。人口も減っているし、もう電気はそんなにいらんのです。
ピーク時の消費電力が380万キロワットしかないような地域で、138万キロワットもの原発を運転するって、無理じゃないの?最低が190万キロワットとすると、原発の出力を落とさざるを得ない気がするんだけど
— onodekita (@onodekita) 2018年9月7日
北海道電力のブラックアウト たりなきゃ、増やせばいいだろというのは幼稚園児の考えだ。 足りなければ、減らせばいい。それが大人の知恵じゃないか
— onodekita (@onodekita) 2018年9月9日
大きな地震で不便な生活を経験した方が、防災対策で一番大切なのは「水の確保」といいます。「風呂に水をためることは絶対やっておけ」といいます。優先順位の1位は電気じゃない。水です。
「生活必需品を10あげよ」(P172~173)
▼富良野塾生の回答▼
1位 水
2位 火
3位 ナイフ
4位 食い物
▼渋谷の路上にいる若者の回答▼
1位 金
2位 ケイタイ
3位 テレビ
4位 車
水が何よりも一番大事。
これは、北海道の開拓民の間でも周知の事実でした。
電気がなくても何とかなる。でも水がないとお手上げ。
入植したときはまず水を探すンだね。ライフラインだよ。水が何より先なンだ。
で、しばらくは湧水と沢水で暮らしたンだけど、そんなもンじゃとても間に合わないからみんなで共同の井戸を掘るンだ。(P117)水が人間の生命線だってことは、今度の災害地を見たってよくわかるだろ。人間の70%は水。
水飲まなきゃ三日も生きられないよ。都会の人間にはそのことがどうも、日常的にピンと来てないみたいだね。こういう災害時には初めて判るけど。それでも何か月かすると忘れちゃうンだ。文明都市とは忘却の民の住まうところなり。だよ。
(中略)
五郎は開拓民の末裔だから、水の大切さはきちんと頭に沁みこんでる。昔、開拓は井戸掘りから始めたっていう、そういう話も当然知ってるだろうしね。だから、発電よりまず第一に、水を通すことから着手したンだよ。
今回の原発災害で、東京の水も放射能に汚染されたか?って報道が出るや否や、スーパーの水のペットボトルがアッという間に売り切れちゃっただろ? 中には段ボールごとよこせ!なんて大声でわめいてるバカな男までいて。
常々水のありがたさに気づいてない奴ほどヒステリックに騒ぐんだよね。
今度の事件で都会の人たちが以後その意識を代えてくれるといいけど――――。忘れるんだろうなァ、どうせすぐ又!(P150~151)
今回の地震及び停電で一番困ったのは、間違いなくオール電化住宅の人です。賃貸の場合は、引っ越しを検討されていることでしょう。持ち家の場合は、ガスの導入を検討されていることでしょう。電気一本は危険だと思い知ったのです。
投資の世界では「卵は一つのカゴに盛るな」といいます。
【参考】卵は一つの籠(かご)に盛るな | 東証マネ部!
オール電化では、まさしく卵を一つのカゴに盛ってしまっているのです!
リスクマネジメントの観点からも、電気だけに依存する生活は危険ですね!
オール電化住宅でも、普段からアウトドアに親しんでいたり七輪やバーベキューコンロで調理することに慣れている人は、それほど困りませんでした。オール電化じゃない人はガスは使えたのでもっと困りませんでした。
倉本さんによると、昭和の富良野でも、似たようなことがあったそうです。
春の大雪で、富良野から麓郷に至る送電線が雪の重みで切れちゃったンだ。麓郷に電気が行かなくなっちゃった。ところが当時もうすでに、麓郷はかなり電化しており、電気が切れると水道も出ない。ストーブも殆んど使えない。春だからまだ外気はマイナスに近い。にも拘わらず暖房器具が全く作動しない。
困り果てて古いコタツを持ち出すやら、手持ちストーブを納屋で探すやら、毛布にくるまってパニック状態に陥ったっていうンだけど。その時全然影響のなかったのは古い生活をしていた人たちだったっていうンだね。薪ストーブでやってた家は、全然影響を受けなかった。
これは極めて象徴的事件だって、俺はその時思ったね。(P134)
最後の最後に、どうしようもなくなったら、あきらめて笑うしかない。
これはすごくネガティブに聞こえるかもしれないけれども、厳しい冬に生きる地方の人間には多かれ少なかれ培われる性質ではないでしょうか。北海道でも、裏日本でも、東北でも。北欧の人やロシアにもじっとして耐えるという国民性があるでしょう。まあロシアは広いし何にしろ極端だから超絶我慢したと思ったらリミッター外れちゃって全裸で寒中水泳したりしだすけど。
北海道の人って覇気がないとか男は草食系だとか言われますけど、あんま陽キャラでガツガツ行っても冬に叩きのめされるだけなんですよ。ただひたすら我慢するしかないんですよ、冬って。遊びに来る分にはいいだろうけどさ。雪って過酷なんだよ。
そうなると、あきらめるのが上手くなってくる。「変えられないものを受け入れる冷静さ」が自然と身についちゃうわけです。
それとね、これも言えるンですよ。天災に対してね――――あきらめちゃうですよ。なにしろ自然が厳しいですからね。あきらめることになれちゃっとるですよ。だから―――たとえば水害にやられた時、――――今年やられましたよ北海道さんざん、――――メチャメチャにやられてもうダメッちゅうとき――――テレビ局きてマイクさし出されたら、みんなヘラヘラ笑っとるですよ。だめだぁって、ヘラヘラ笑っとるですよ。あきらめちゃうですよ神様のしたことには。そういう習慣がついちゃっとるですよ。(P301)
今回の大きな地震で「道民つええー」「道民ポジティブ」的解釈がありましたが、そう見えるのは諦めてるからですよ。自然に対して。受け入れるしかないって。
最後はまあ、笑うしかない。
だけど、そこまではできることをやる。
とりあえず、節電しましょう。できるだけ、電気から離れていくことです。
