やさしさが毒になるとき

人生:スピリチュアルブログ

普段からリンデンバウムでは「インナーチャイルドケアって大切!」とお伝えしています。
幼少期の自分を癒し、自分の中の子供の部分を受け入れて解放してあげることで、生き生きとしたクリエイティビティや直感が冴えるようになるからです。

インナーチャイルドの傷が深い場合、癒しは根気強く行わねばなりません。かなりの時間をかける必要があると思っていいでしょう。2~3か月で「ハーイ癒された☆」とはなかなかいきません。

しかし、それほど問題(トラウマ)が無い場合でも、継続的なインナーチャイルドケアは大切です。
要するに、自己のメンテナンスです。一度癒してしまえば完璧というわけではなく、アフターケア・メンテナンスが必要なのです。子どもの部分の自分をあやし、よしよししてあげることは、一時期ではなく人生を通してたびたび必要になってきます。

大げさに考えなければ、理解できるはずです。
誰にだってスネたくなったり駄々をこねたくなる時があるでしょう。それこそ「まるで子供のように」。
大の大人が小学生男子のような発言をしてビックリするなんてことも珍しいことではありません。特に家族や近しい人に対しては甘えが出るので、そんな機会も多くなるでしょう。

だから、継続的なインナーチャイルドケアが必要なのです。
「あっ、すねてる!」と気がついて、内なる子供をあやしに行く必要があるのです。
それは「自分の仕事」です。そこを人任せにしてはいけません。自分の感情の面倒を見るのは、まぎれもないあなた自身の大切な仕事なのですから。

littlegirl

と、ここまでは「ふむふむ、なるほど」と読んでいただけたことと思います。いつも言っていることとほぼ同じですから。
ですが、ここからが今日は違います。

インナーチャイルドは素晴らしい直感や創造性、生命力を持っています。同時に、ものすごくワガママで勝手で視野が狭く人を振り回すようなところ、要するに「子供の嫌な部分」もゴッソリと持ち合わせています。
インナーチャイルドケアがしんどくてなかなか続かないのは、この「クソガキ」の部分と付き合わなきゃならないからです。子どもは理屈では動きません。いくら正しいことを言ったって「イヤなものはイヤ」で突っぱねられてしまいます。非常に扱いに困る存在なのです。

そういう「理屈じゃ動けない自分」「正論じゃ動けない自分」と向き合って受け入れて付き合っていくのは、骨の折れる作業です。大変です。下手すると、自らの暗黒面を見ることになります。「自分ってこんな最低な人間だったんだ」と突き付けられ、それを受け入れなければなりません。とても辛い作業です。

でも、やらねばなりません。個々人、誰もに課せられた大切なミッションなのですから。
自分のことに関しては、この「どぶさらい」は必修です。逃げてはいけません。
ですが同時に、他人のどぶさらいをしてはいけません

あなただけではなく人にも、暗黒面があります。
超勝手でろくでなしでクズな面が、どんな人格者にだってあります。
あなたと同じく、人も定期的にその暗黒面を自分でケアして向き合う時期がやってきています。いちいちそんなこと表に出して言わないだけで、みんなそうしています(もしくはやらないで逃げています)。

それは、あなたと同じく辛い作業です。
だから、優しい人はついつい口にしてしまいます。
「辛いなら、私に頼ってね」と。

これがアカン。
アーカーンー。アウトっす。

さっきも説明したとおり、自分の一番のダークでディープな暗黒面は自分自身で面倒を見る必要があります。そういう面を授けられたのも、自分を磨くための一助であって、そこから逃げていては成長は訪れません。
もちろん逃げ続けることも可能です。その選択をする人も多いです。しかし逃げている限りその人に進歩はなく、ただただ「自分を受け入れられない苦しみ」が続くばかりです。

だから、人が横からその課題をかっさらってはいけません!!!
実はそれは、やさしさの仮面をかぶった残酷なる行為なのです。
だって、そうしたほうが本人の苦しみは却って長引くのだから。

共依存症 いつも他人に振りまわされる人たち (講談社SOPHIA BOOKS)

アルコール依存症者とそのパートナー(共依存症者)が典型例です。
パートナーが酒量の管理をしようとシッカリ見張っているからこそ、アル中の人間は「安心して飲める」のです。だって、自分がしっかりしなくても相手がシッカリ管理しようとしてくれるんだから、限界までそれにダラーンと甘えればよいのです。「俺が飲むのはお前のせいだ!」と難癖をつけて飲めばよいのです。だって、共依存の人には何を言っても「自分が悪い」と思ってくれるんだから♪

受容的な雰囲気、わかりやすく言うとソフトで優しそうな印象の人間は、ついつい人の暗黒面を引き出しがちです。なぜなら「この人は甘えさせてくれる」と思わせるからです。

もちろん、ある程度まではそれは美徳です。人を癒す素敵な性質です。
だけど、行き過ぎると自分もキツくて相手も辛い関係しか築けなくなります。他の人の前では「素敵な紳士」を、自分の前では「ひどい暴君」に変貌させてしまうのです。しかも、一人だけではなく、何人も。

「あなたのすべてを受け入れます」という態度でいると、どんなステキな人もあなたの前では暴君になります。
なぜなら、本来は相手自身がマネジメントすべき相手の暗黒面までスッポリ受け入れてしまうからです。

そもそもそういう人には自覚がありません。自分自身が相手の暗黒面を引き出していることに。
むしろ「付き合うまではいい人なのに、なぜ付き合ったとたんヒドイ男に変わってしまうのかしら?」と悩んでいたりします。

それはな。
お前が優しいからイカンのじゃー!!!
「私には何でも話して」と微笑むからアカンのじゃー!!!!

暗黒面を知り、それを受け入れるのはあくまでも自分自身の仕事です。
そこを人任せにしてはいけません。結局受け入れられるのは、その人だけなのです。
そもそもが、そう作られているのです。そのための暗黒面なのだから。

自分のダークサイドを受け入れ「クソガキ」なインナーチャイルドをなだめる作業を続けることは大切です。
そして同時に、人様の暗黒面を引き出さないよう、ちゃんと境界線を引くことも大切なのです。【参考】境界線(バウンダリーズ)

誰にでも優しくしすぎちゃダメなんですよ。
「自分が辛くなる優しさは、相手をもダメにしている」と心得てください。
優しさ=高尚な愛ではないのですよ。人をダメにする優しさは控えるべきです。

Be true to yourself first. You cannot nurture and help others if you cannot nurture and help yourself first.
まずは自分自身に対して誠実でありなさい。自分を成長させたり救うことなく、人を成長させたり救ったりなどできないのですから。

境界線(バウンダリーズ)
ヘンリー・クラウド ジョン・タウンゼント
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