今の現代、「迷信」とは信ずるに値しない非科学的なものとされています。
しかし、本当にそうなのでしょうか?
一部の迷信の裏には、何か深い意味が隠されているのではないでしょうか?
例えば、とある集落には「あの森に入ったら祟りがある。絶対にダメだ」という迷信があったとしましょう。
バカバカしいですね。実際にそこの森に入ったら悪いことが起こるのかといったら、そんなことはまずないでしょう。大抵ピンピンして普通に帰ってくるはずです。
しかしながら、「入らずの森」にしておくことでアンタッチャブルゆえにそこは原生林が守られます。人の手を入れた森よりは生産性が低いかもしれませんが、ユニークな生態やバランスが保たれます。
その迷信を馬鹿にして森を開発すると、巡り巡ってその森のおかげで起きなかった洪水や干ばつ等、天災に見舞われることになります。シベリア・タイガの伐採やアマゾンの森林破壊で地球環境全体が狂ってしまっているように。
地球規模で見ると、その「下らない迷信」は人の欲望のストッパーの一つとして機能していたかもしれないのです。
生理中の女性は不浄であるという迷信も、今の世にあっては「ばかばかしいことこの上ないもの」の一つです。
集落によっては生理中の女性を隔離して、「不浄だから」と閉じ込める風習もあったそうです。今もネパールの地方などではその前時代的な風習が残っているそう。
「生理の女は汚いですって!?時代錯誤もほどがある!ふざけるな!」と科学的思考に慣れた現代人のあなたなら思われるでしょう。もっともなことです。別に生理中の女性に触れたからって悪いことは起きません。当たり前ですが、何らかの病気も移りません。
でも、生理中の女性を「不浄」としておくことに何かしらの知恵があったのではないかと思うのです。「あの森に入ると祟りがある」として森を守ったように、女性を守るための知恵という側面もあったのではと。
生理中の女性を隔離しておくことで、その期間女性は普段の過酷な労働から解放されます。小屋にこもっていなくてはならないのはただただ退屈かもしれませんが、昔の女の過酷な家事労働から一時体を休めることにはなったでしょう。
生理の時はそんなに動きたくない女性も多いでしょう。むしろ、だるくて横になっていたい人も多いはずです。
体力も落ちます。実際、生理中になった風邪や病気は回復しにくく長引きがち。無理をしてはいけない時期なのです。
しかし、それを「女性の権利だ!」と合理的に主張しても現実にはなかなか通用しません。法的に生理休暇は取得可能ですが、そんなのリアルで取ってたらまず白い目で見られます。
昔の社会でだってそうでしょう。女性に対する理解が低かった昔なら尚のことです。「ズルするな!なまけたいだけだろう!」と心無い言葉で済まされてしまったはずです。
そこを「不浄である」と宗教的な言いがかりを付けちゃう(迷信にしちゃう)ことで、女性は生理中の大切な体を休めていたとは考えられないでしょうか。「生理中だろうがなんだろうがセックスは妻の務めである!!」と股を開かせようとする無理解な夫から逃げることができたという側面もあったのでは。
迷信を破ったからって祟りがあるかといったら、ほとんどないでしょう。ないからこそ「非科学的な迷信なんか下らない」という認識がここまで広がっているわけですし。
そう。科学的に見ると非常に不合理でバカバカしいことばかりなのです。
でも、本当にバカバカしくて無意味なのでしょうか。
愚かな人間の際限ない欲望をいさめるストッパーとして、存在する迷信も中にはあったのではないでしょうか。
確かに宗教やそれに連なる迷信は下らないです。科学的ではないし合理的ではありません。
だけど、一人ひとりの人間が個人としての欲望を追求しすぎると全体の集団としては不利益を被ることも社会科学では判明しています。その人間の欲望のストッパーこそが一部の迷信であり禁忌であったのではないでしょうか。
もちろん永久に葬り去るべき迷信もあります。いけにえを捧げないと存続していられない集団なんて明らかにおかしいです。
しかしながら、迷信を亡きものにした今、人間の欲望は際限を知らず自然は破壊され放題です。環境汚染は人間自身にも害を与えるほどのレベルになっています。
【参考】地球の記録 – アース・カタストロフ・レビュー
今一度私たちは、迷信の裏にある深いものに目を向けるべき時期に来ているのではないでしょうか。自分や属する組織の合理性を追求するのではなく、もっと広い視野で物を見るべきなのではないでしょうか。
非効率な宗教や神秘的な精神世界を見直すべきではないのでしょうか。その非合理性の裏に横たわるものを、再考する価値があるのではないでしょうか。
確かに宗教や迷信は下らないです。
けれども、科学ばかりを神のように信奉し(それこそ「科学教」のように!)合理性を突き詰めるのは危険です。それでは結局、自らを滅ぼしてしまいかねません。
非科学的でカビ臭い言い伝えは、裏に深い意味があってのことかもしれません。
下らない迷信こそが、実は地球環境を、ひいては私たち生きとし生けるものすべてを、守っていてくれたかもしれないのです。
「ペドゥリート、地球人には知らないことがたくさん、たくさん、あるんだよ……。いまから数千年前のことだ。地球にはいちど、現在とほぼおなじような文明が存在していた。でもその文明は、科学の水準が愛の水準をはるかに上まわってしまっていたんだ。しかも世界は分裂したままの状態だった。とうぜん、起こるべきことが起こった……」
「自滅してしまったの?」
「うん、完全にね……でも少数の人たちは前もって何が起こるかを知らされ、ほかの大陸に逃げた。でもその戦争の結果は散々なもので、ほとんどすべてさいしょからやり直さなければならなかった。君たちはその結果として、今日あるんだよ。」
アミ小さな宇宙人より