無理に分かち合わなくていい

「何らかの熱中できる趣味」を持っている人は幸いです。
なぜなら、人生を楽しむすべを自然と習得している、自分本来の姿を取り戻す(スピリチュアルな用語では「センタリング」といいます)にはどうしたらいいのかがわかっているからです。

しかしながら、没頭できる趣味があると、大抵は「理解してくれない人」が現れます。
それが知人や職場の同僚レベルなら大した問題ではありません。別にわかってくれなくったって、休日ずっと一緒に過ごさなきゃならないわけでもなし。

しかしながら、それが親友、恋人、家族などの近しい人間だと非常に厄介です。
そして、そういう人の誰か彼かは理解してくれなかったりするのです。

突っぱねるのもできないし、だからといって説明したって無駄。
だけど、その趣味は自分の人生にとって非常に重要。
こういった場合、どうやって折り合えばよいのでしょう?

ベッカムの写真なんかいらねーよ!

2002年日韓W杯で、札幌ではイングランド×アルゼンチンというサッカーファンなら垂涎の的の好カードがありました。私はそのプラチナチケットを手に入れて、生で観戦しました!

その当時付き合っていた彼氏は、サッカーにあまり興味がない人でした。
そういう人に無駄に暑苦しいサカオタの話を聞かせるのもナァと思い、私は「イングランド×アルゼンチン観に行くんだー」くらいのことしか話していませんでした。

そして試合後数日経ってから、彼氏がニコニコして私を訪ねてきました。
「オイ、喜べよー。お前のためにコレ、知り合いのカメラマンから入手してきたぞ!」
彼が笑顔で手渡してきたのは、イングランド×アルゼンチン戦でのイングランドのキャプテン、デイヴィット・ベッカムの写真でした。

「…………………………は?」
私は意味がわからずポカンとしました。

いやいやいやいやいやいや、そもそも私アルゼンチンが好きでイングランド×アルゼンチンだって観に行ったクチですし、バティステゥータ様やクレスポ観に行ったわけであって、ベッカムなんてむしろどうでもいい、なんかPK蹴ってたなくらいの印象しかないし、イングランドだったらベッカムよりオーウェンのほうが好きだし、そもそもアルゼンチンサッカーの良さを分かってないからイングランドに目が行くわけでしょ、あの「サッカー批評 issue 11 特集:本命はアルゼンチン」読んでよ取りあえずスーペルクラシコまじ熱いよ、あーでもわかんないよねそんなこと言われてもねーとにかくベッカムファンじゃないんだよ私は、ボランチってポジション自体は結構好きだしラインコントロール上手いとカッコイイと思うけどベッカムのプレースタイルはうんぬん(以下省略)

と言いたい気持ちをグッ!とこらえて、
あの、ベッカムの写真は、いらない
とヒトコト言ったんです。

そうしたら、彼の表情が凍ったんです。
彼は、多分、私が、ベッカムの写真をもらえば喜ぶと思っていたのです。
サッカーが好きな人間なら、ベッカムの写真をもらえば喜ぶと思っていたのでしょう。

でも、何かのオタならわかってくれると思いますが、それって
「俺の愛するフットボールはそんなんじゃねえ!!」
としか思えないんですよね。
今風に言えば「スペインサッカーかっこいいとか言って超にわかじゃん。お前にリーガ・エスパニョーラの何がわかる」みたいな。

だから私は彼氏にあえてサッカーの話をしなかったのであって、アンタッチャブルでいてくれればお互い平和でいられたんです。
なのに、こういう「そんなに好きなら、自分も何かしてあげたい」という余計なおせっかいをされると厄介です。

「SMAPが好き」って言ったら、木村拓也のファンなんだって断定されちゃって、キムタクのうちわ買って来られるようなもんなんです。
ゴローちゃんや草なぎ君はいなかったことにされるようなもんなんです。
「SMAP=キムタクかよ!」みたいな。

この場合、私は仕方なくベッカムの写真を受け取りました。
そうしないと、彼の顔をつぶしてしまう雰囲気だったからです。

でもここで、喜んで受け取っちゃいけない。
喜んで受け取ると、またベッカムの写真持ってきかねなかったから!!
多少気まずくても、しぶしぶ受け取る必要があります。実際に、これ以後彼はサッカーの話題には触れてこなくなりました。

自分が嬉しいことをしてもらいたかったら、本当に嬉しいときに喜ばないと、相手だって学習してくれません。
いくら相手が自分のためを思ってやってくれたことであったとしても、ウソんこで喜んじゃダメなんです。

心地よく誠実な人間関係を

couple01

私は男性にBL(ボーイズ・ラブ)趣味を理解してもらおうとは思いません。
もちろん私がそういうのが好きということは認識しておいてもらいたいとは思いますが、別にだからといって男性とBL話をしたいとは思いません。(腐男子なら別ですよ)

もちろん彼氏が友達(男)と「おっ前、だからダメなんだってー」とか言いながら、肩をガッと組んだりしたら「アーーーーギャーーーーーーキャーーーーーーーーーーー!(むり!!!MURI!!!ホモ神が!!ホモ神が光臨している!!!!)」とかめっちゃテンションあがっちゃいますが、それは放っておいてくれればいいんです。
別に放っておいてくれれば、どっちが攻で受かなんて解説しません。ちゃんと脳内でおさめます。

いくら親しくても、分かち合えないものは分かち合えない。
そして分かち合わなくてもいい。もっと分かち合うべき別のものがあるわけだし、お互いに違う世界を持っているからこそ、学びになるし互いの成長を助けることもできるのです。

ここで大切なのは、「どんなに親しい相手でも、踏み入ってはならない領域がある」ということを知ること。
そして、自分が理解できなさそうだったら、無理に理解しようとせずに放っておくこと。一緒に楽しもうとはしないこと。
そして、逆も然り。自分の趣味を無理に相手に理解させようとしないこと。

こう一口で言ってしまえば簡単に見えますが、はじめっから上手くいくことは難しいです。
どこまで踏み込んでいいのか、どこが踏み込んじゃダメなのか。
それは付き合いを深めていくうちに、少しずつわかってくることです。いきなり初対面でわかるはずがありません。

お互いに、少しずつ探っていくことが肝要です。けして焦らずに。
そして、相手に自分をできるだけ理解してもらうためにも、表情や言葉を偽らないこと。
嬉しいときに笑い、嬉しくないときには無理に笑わないこと。

こういったシンプルな積み重ねこそが、心地のよく誠実な人間関係を育んでいきます。

もし
「相手のことを全て理解したい!」
「人生全部を分かち合えるパートナーと出会いたい!」
「自分を幸せにしてくれる運命のソウルメイトがいるはずだ!」
と思っているならば、あなたは生きてて苦しくありませんか?

そういう方にオススメなのが共依存かもしれない―他人やモノで自分を満たそうとする人たちです。
あなたが幸せをつかむのに障害になっているものが、この本でわかるはず。ご一読ください。

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