適職さがしより、戦略が大事


ゲーム・文豪とアルケミストで坂口安吾さんが全然来てくれません。なので、無頼派的ゲン稼ぎに彼の書いた「太宰治情死考」をほにほに読んでいました。
そうしたら、「おお!」と思ったのです。

芸道というものは、その道に殉ずるバカにならないと、大成しないものである。
三根山は政治も知らず、世間なみのことは殆ど何一つ知っていない。然し、彼の角力についての技術上のカケヒキについての深い知識をきいていると、その道のテクニックにこれだけ深く正しく理解をもつ頭がある以上、ほかの仕事にたずさわっても、必ず然るべき上位の実務家になれる筈だということが分る。然し、全然、その他のことに関心を持っていないだけのことなのである。

「いやーだよなー」と。
ちょうど数日前に、若い女の子とこんな話をしていたところだったのです。

「私、適職が分からなくて。自分には何が合ってるんだろうって」
「今の時代は弁護士だって医者だって稼ぐのは大変なんだよ。『この仕事につけば安泰。この仕事さえすれば上手くいく』なんて仕事・適職はまずないよ。大事なのは何の仕事をするかじゃなくて、どんな戦略でビジネスを攻めるかだよ。戦略もなしにボーッとやってるんだったら、医者や弁護士ですら食い詰めるんだから。合ってる仕事やったって、戦略無しじゃまず稼げない。とにかく戦略、戦略だよ!」

「何をやるかじゃなくて、どうやってやるか」が大事。
坂口安吾が相撲取りに感じたように、どのように組み立てるかを深く掘り下げていれば、そこには真理がある。

私は前々から言っているように、ミリオタ、戦略オタクです。いわば「どうやってやるか」オタクです。元マイクロソフト日本社長の成毛眞さんが大人げない大人になれ!で戦争研究大好きなこと、それが何よりビジネスに役立つことを書いていらして、「やっぱそうなるよな!!」と膝を叩いたものです。

「人間関係が上手くいかない」という人に「どんな戦略でやってるの?」ときくと、ポカーンとされます。ノープラン、NO戦略なのです。

いや、戦略無しで人間関係なんか上手くいかなくね?
少なくとも、私は上手くいかないよ。社会的なお付き合いの場合は、常に戦略練って距離感測るよ。じゃないと組織の中で泳げない。普通に沈む。素でいって上手くいくほど私はコミュ強じゃないし好感度の高い人間でもない。

まずは属する組織の権力関係を把握し、「絶対押さえておかなきゃいけない人」を見つけ出す。そしてその人には絶対好かれるようにふるまう。相手が野球が好きなら「昨日○○のサヨナラすごかったですねー!」と話しかける。私自身は野球全く興味はないけれど、押さえるべき人に好かれるためなら毎日スポーツニュースのチェックくらい余裕でやる。「大谷って、メジャーいってもエースで4番やるんですかね?やっぱ、栗山監督じゃないとああいうプレーは見られないのかなぁ?」


【画像】飴色パラドックス(1)

一番場を押さえている人が「権力者」とは限らない。「20年いるパートのオバチャン」だったりすることもある。その見極めが大事。そのオバチャンにさえ好かれれば何かあってもかばってもらえるし周りにもフォローしてもらえる。そういう人がいたら、ドーンと懐に飛び込んで仲良くなる。

そういうオバチャンに好かれるにはサバサバ体育会系ノリが大事。そんな相手にインドア系オタク成分なんて一切出しませんよ。ふわふわ系女子ノリも嫌われる元。口調はハキハキ、声は低めに語尾は絶対伸ばさない!
×「はぁ~い」
○「ハイッ!」←好感度大!

徹底的に体育会系ソウル!! 自分やるッス!うッス!!
本当に体育会系かどうかではなく、「体育会系に見えること」が大切です。毎日風呂に入っているかどうかではなく「清潔感」が大事なのと同じです。

「気が合う人」じゃなくて「自分が心地よく過ごすために必要な人」と仲良くする。
感情ではなく冷徹に戦略で動く(もちろん感情たっぷり乗ってるようには見せつつ)。話す言葉の80%は社交辞令。リアクション大きく取って言葉をキツめにしておけば「いつでも本音で話す人」と勝手に勘違いしてくれます。オブラートに包んでソフトな物言いをしてしまうと却って「コイツ信用ならん。おべっか使ってるな」と思われます。

権力握ってる人はお世辞慣れしてるので、ソフトな言い方では通用しません。大物相手こそ、言葉のエッジを聞かせることが大切。キツイ物言いは大正義!
逆を言うなら小者にはソフトな言葉で波風立てずに、が正解。そういう人はお世辞に慣れてないから何でもすぐ本気にする。ので、オブラートに包んだ無難な言葉で十分効果アリ。

ということをやらないと、組織の中じゃ当たり前に渡っていけなくないですか?

私が昔勤めていた組織は、「なんでホストに転職しないんですか」という伊達男な出世頭がおりましてな。で、女職員は「元妻派」「元愛人派」「現彼女派」の三派閥に分かれておりまして、まあまあ、それはそれは素晴らしい地獄絵図でございましたの♥♡でもって、一番権力があるのは「元愛人派」。いやはや地獄ですわね~。昼ドラ化してよもう。

そんな派閥に飲まれたら確実に死ねるコースしかないので、私はどの派閥にも属さず、かつどの派閥ともそこそこ仲良くしておくという戦略をとっておりました。年齢的には「現彼女」と近くて現彼女さんも私と割と仲良くしたがってたっぽかったけど、表面だけ仲良くしつつそこそこの距離は取らせてもらってました。

どこからも憎まれず、美味しいところだけ頂きたいでしょ。
なら戦略ですよ。ストラテジーですよ。タクティクスですよ。
戦略を勉強するのにぜひぜひオススメな一冊は、古典になりますがマッキンダーの地政学ーデモクラシーの理想と現実です!!

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マジ面白いよ!!(大興奮)

あと、プライベートな関係でこういった戦術を用いるのはオススメしません。あくまでも社会的な人間関係で用いるべきです。
なんでプライベートでやっちゃいけないかって? そりゃ人生が砂漠になるからだYO!!

プライベートでは不器用に本音出して、上手くいかないなら上手くいかなくてもいいじゃありませんか。人間だもの(みつを)。プライベートでテクニック使い出したらあーた、それこそ恋愛工学と同じになっちゃうよ……。
よっぽどDVしちゃうとか無意識にモラハラしちゃうとかじゃないかぎり、プライベートな関係でテクニックを使ってコントロールしようとするのはオススメしかねます……。

オフィシャルで心にもない社交辞令ばっか言うなら、プライベートでは正直であったほうがいいでしょ。人としてバランスとらないと。

夫も親も、わかってくれない生き物である


他に安吾さんの名言だナァと思ったのはコレ。


こう思っとけば、夫婦生活も何とかやり過ごせますわいな。
親子だってそうよ。下重暁子さんが、親は「乗り越えるべき壁」っておっしゃってたのと似たような感じですね。
【参考】「家族という病・国という病」 下重暁子氏講演 文字起こし

「ダンナがわかってくれない!」とか「親がわかってくれない!」とか言うけど、そもそもそれが当たり前なのよ。人間として精神的自立を果たすための踏み台になってくれるのがそういう関係だと思えば、「クッソー!絶対お前になんか負けるもんか!見てろよ、自分の道貫いてやんぜ!!」って反骨のエネルギーに持って行ける。

ちなみにこの逆バージョンが「この子も歳をとれば(親になれば)わかってくれるだろう」
わかんねって。私、このことについて友達と話してたんです。「親の気持ち、この年になったらわかるわよ。大変だったんだなっていうのもわかる。でもさぁ、なら産むなよとしか思えないんだよね」
「だよねー…。親に限らず、同年代で子育て以外にやりたいことあるのに未練タラタラなのまじカッコ悪いと思うよ。自分の選択なんだから、選んだ道にコミットしないと。どんな道を選んだって、背負うものはあるんだからちゃんと背負えって思う。そういう意味でも自分の親の生き方はダサいし共感できない」
こんな結論に至りました。人生経験を積んだからこそ、大人目線で「親の生き方はダメだな」ってわかるという。

わたしが子どもをもたない理由(わけ)
命の連鎖を断ち切ってしまいたい。私一人の命などどれほどのことがあろう。命の洪水の中に、溺れている私という存在はいったい何なのだろう。(P26)

私自身が歓迎できない連鎖を、この先続けていくのだろうか。無意識のうちに子供を作り、産み、私と同じようなことをその子が感じたとしたら……。
私のそうした悩みを聞くと友人たちは笑った。
「そんなこと考えたら子供なんて産めないわよ。何も考えないことよ」
しかし私にはできない。自分で納得できていない生を誰かに押し付けることなんてできない。
考え過ぎだという意見、考えたら子供を作るなんて大それたことはできない。大それたことならまして、納得できないでは作れない。生まれてくる子供は、全てを背負って親の元に生まれてくるのだから。
「どうして私を産んだの」
という最も根源的な問いに母は答えなかった。自分が大切に育てた子から言われることが納得いかなかったのだろう。
「私は生まれたくなんかなかった」。どんなに親不孝な言葉かは私だってわかっている。父と母がどれほど私に愛情を注いでくれたかもわかっている。その上で、どうしても聞きたい。(P27~28)

昨年(二〇一六年)末、岡山で母親を殺した少年の事件、祖父母への殺人、逆に親が子を虐待死殺人に至る事件と、親子関係、家族間の事件が増え続けている。
殺人事件自体は減っているというのに。
産んでからの後悔と同様、生まれてきたことへの後悔だってある。こうしたことについて誰も責任をとらない。(P43)

そもそもな、私がVERY妻をしつこくディスるのは自分の母親や母の周りにいた友人が、あのタイプの金持ちマダムだからなんですわ。
真正のアンチVERY妻ってのは、大体「金持ちマダム(≒VERY妻)に育てられた娘」なんですよ。アルテイシアさんにしろ、ぱぷりこさんにしろ、そう。

友達は私がキイキイVERY妻をディスりだすと、ほえーとなって「そういう人って、世の中いるんだねぇ…私の周り、いないから分かんないやー」とポカーンとします。
ですよね。リアルで接してないとディスる気も起きんよね。だからVERY妻を否定してる女がいたら「ああ、この子の母親、キラキラマダムだったんだなァ」と遠い目でそっと眺めていただければ幸いです。

「やっぱVERY妻だよねっ★ハッピーな勝ち組アテクシ♪」とか言ってる女は、20年後に娘から「アンタは最低の女だ」とネチネチ憎まれ続けることを覚悟するがよい。クックック。

まあ、どっちもどっちで「わかりあえない」って思って「精神的に自立するためのミッション」と思ってたほうが建設的ですわいなって話です。私はVERY妻は理解できるけど(だって身近にいたわけだからね)、ああはなりたくありません。そっちは選択しません。

少女漫画界の大ベテラン、萩尾望都先生はこうおっしゃっています。

この「理解する」ということと「許す」ということは微妙に違います。母は亡くなりました。親子の事情を知っている人から「お母さんは亡くなったけれど、お母さんがやったことは全部もういいやと思えるようになった?」と聞かれました。(もういいやと)そう思おうと思ったのですが、時々昔のことを思い出して、床下から畳がバーンと上がるように、ムカーっと怒りがこみ上げてくるんですよ。これはダメだなと思いました。仕方がないので、バーンのままにしておこうと思います。

もう親が死んでても古稀目前でも、ムカーッと来るわけですよ。
わかりあってハッピーエンド★になんかならんわけですよ。

「母親は自分の子供を愛して育てるものである」という幻想が、長らく「文化」として人々を規制してきた。母性愛は、実は自己愛の延長に過ぎないことが多いという。かつては親子の縁など薄いものだったが、それが近代国家になって、徴兵制と税金の問題から、どうしても「家族」という幻想が必要になる。そこで家族という幻想が発明される。

いつまでも「わかってくれないー!」って言ったってしゃあないんです。抑圧して貯め込んだ感情があった場合は、いったんちゃんと解放してあげるのが大切。その間は「親が全部悪い!」でもいい。だけど、そのプロセスが終わったら通常営業に戻らないと。なんでも親(夫、子、家族)のせいにしてたら自分を見失いかねない。

夏には夏の過ごし方があって、冬には冬の過ごし方がある。
ずうっと同じでいるってことは成長していないってことであって。
「わかってくれないものはわかってくれないもんだ」と受け入れたほうが、かえって別の道が見えるものですよ、っていう。

わかりあえないものだ、といったん思って「じゃあどうするか」って話なんですよ。
そっちのほうが、たぶん建設的に人生の時間を使っていけます。もちろん萩尾先生みたいに時折「ムカー」とはきつつ。

「スピリチュアルカウンセラーになる」といった時、母は「何言ってるの、それより結婚しなさい。自分のことなんて子供を産んでから考えなさい」と言いました。
この言葉で、私は悟りました。「ああ、この人たちと一緒にいたら、私は自分の道を歩めない」と。「まあ、スピリチュアルカウンセラー!素敵ね!あなたがやりたいことをやりなさい。お母さんはそれが一番の幸せよ」と言ってくれたら、縁を切ることもなかったでしょう。老後の面倒もしっかり見たでしょう。親孝行したいと心から思ったでしょう。

でもそれは無理なのです。ありえないのです。母の言葉では「結婚しない女は不幸」でしたから。
じゃあなんで結婚して出産したアンタは私が小さい頃「みんなやりたいことやってるのに私だけやりたいことができない!」「結婚なんてしたくなかった!苗字が変わるの嫌だった!」「結婚なんてシステムはおかしい!不自然だ!」ってヒステリックに怒鳴ってたのよって言う話でなあ。言動と行動が一致していないと信用できんわいの。

25年後に逆のこと言っても、ダメですよー。
自分が嫌なことは人に押し付けちゃいけないって、小学校で習わなかったのかなー?


親とは分かりあえないと理解したとき、私は親よりも自分の道を選びました。
後悔はありません。むしろ、自分の選択に誇りを持っています。ある意味、親は私の自立を促してくれたのです。巣立ちを迎えた動物が、二度と親の元へは戻ってこないのと同じです。

わかりあえなくてよいのです。
「分かりあえないなら、じゃあどうするか」という話なのです。

これダーッと書いて、もう一度文アル回そうかなと思ったらメンテナンス中でした。
とりあえず、安吾さん来ません。安吾さ~ん。太宰の情死ネタだけじゃダメなんですかね…。
もっと褒めれば出てくれる?安吾さんステキーキャーダイテー!!!……ダメだこりゃ。

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