なぜ私たちは人を殺してはいけないのか


答え:悪いカルマを積むことになるからです☆彡

…………一行で終わってしまった。
スピリチュアルSUGEEEE!!!!!(自画自賛)

え?それじゃ納得いかない?
こまっしゃくれたガキに「えー別に殺したっていいじゃーん」って言われた時に答えに困る?
「命は尊いのです!」系の道徳的な答えじゃ納得いかない?

じゃあ、こういいましょう。
「あなたの気を狂わせないために、人を殺してはいけない」と。

人は、人を殺せない生き物である

戦争における「人殺し」の心理学 (ちくま学芸文庫)
デーヴ・グロスマンの戦争における「人殺し」の心理学
この本は「どうして人を殺してはいけないのか」という命題の逆を提示しています。
要するに、「どうしてお前らはそんなに人が殺せねえんだよゴラァ!」という話です。だって、戦争なんだもん。敵を殺さなきゃなんないんだもん。なのに、あまりにも兵士は人を殺そうとしないんだもん!!

そう、小さな子に「どうして人を殺しちゃいけないの?」と聞かれたら、逆を聞いてみればいいのです。
「なら、あなたはどうして今人を殺さないの?今目の前にいる私を殺さないの?人殺しがOKなら、私を殺してもいいはずよね?でもあなたは殺さないわよね、なぜ?」と。
「別に今自分が殺さなくっても、ニュースでは殺しましたっていっぱい出てくるもん」と言われたら、こう返すのです。「ニュースで殺人事件が毎日流れるっていったって、じゃああなたの家族は誰か殺した?友達は誰か殺した?知り合いで誰か人を殺した人はいる?」と。

そう、映画やゲームやニュースを見ているとあまりにも殺人が世にありふれているように見えるけれども、実は、私たちのリアル人生の世界は、ほとんど殺人とは縁のないものなのです。
要するに、「基本的に人間は人間を殺さないようになっている」のです。


というか、これは人間だけの話ではなく、ピラニアでもガラガラヘビでもそうです。ピラニアやガラガラヘビも、他の動物に対しては獰猛にかみつきますが、同種に対しては相手を傷つけない程度のとっくみあい(ケンカ)程度のことしかしません。
あたらしいボスになったオスのライオンは子ライオンを殺します。ハムスターやイルカには自分の子を間引く(殺す)親もいます。
だけど、それは自分の遺伝子を残すための行動です。カッとなって他人を殺したりはしません。
【参考】アフリカで野生動物を撮る ライオンの子殺しの理由
【参考】動物の子殺し。なぜ動物の親は自分の子を食べるのか?(フィンランド研究) : カラパイア

人は、根本的に、人を殺さないようにできているのです。
殺人という行為自体が、異常事態なのです。そもそも、特異だからこそ、ニュースになるわけで。

なのに、その根本的性質を無理やり曲げて「殺せー!!」と強要したとき、人間はどうなるか。
自己嫌悪・罪悪感で苦しみ、最後には精神を病みます。

この戦争における「人殺し」の心理学では、「いかに人(兵士)が人(敵)を殺せなくてどうしようもなくて指揮官のボクチン困っちゃうー」ということがずーっと書いてあります。

「南北戦争コレクター事典」の著者F・A・ロードによれば、ゲティスバーグの戦いのあと、二万七五七五挺のマスケット銃が戦場から回収されたという。このうち九〇パーセント近く(二万四〇〇〇挺)は装填されたままだった。その装填された銃のうち、六〇〇〇挺は三発から一〇発もの弾丸が詰め込まれていた。
(中略)
ここから明らかなのは、ほとんどの兵士は敵を殺そうとしていなかったということだ。おおよそ敵の方向に発砲することさえしなかったわけである。マーシャルが結論したように、兵士の大半は戦闘中に銃を発砲することに対して、身内に抵抗感を抱えていたように思える。(中略)銃に複数の弾丸が装填されていたのは、多くの場合(ほとんどとは言わないまでも)この抵抗感のためだったということである。
(中略)
それでもどうしても発砲できない、したくないとすれば、ごまかす手段はただ一つ、銃を装填し(弾薬包を破り、火薬を流し込み、弾丸をこめ、深く押し込み、雷管をつけ、打ち金を起こす)、肩にかまえ、だが実際には発砲しないことだ。近くの者が発砲したときに合わせて、銃の反跳のまねをするくらいはしただろう。

戦争における「人殺し」の心理学
第一部 殺人と抵抗感の存在 第2章 歴史に見る」非発砲者

マスケット銃ってなんぞや、って人は↓この動画を見てね。

詳しい銃の装填方法を見たい人は↓この動画がオススメだよ!

WW2でも、兵士は驚くほど敵を撃たなかったようです。ンモウ、指揮官困っちゃうね!

第二次世界大戦の米軍兵士のうち発砲したものは一五ないし二〇パーセントだったと結論した。
(中略)
第二次大戦の戦場では、どの軍にも同じくらいの割合で非発砲者がいたにちがいない、とダイアは述べている。「日本軍やドイツ軍のほうが、進んで殺そうとする者の割合が高かったとすれば、実際に発砲された銃弾の数量はアメリカ軍の三倍から五倍になったはずである。だが、そうではなかった」
マーシャルの観察は、米軍だけではなく第二次世界大戦のあらゆる軍の兵士に当てはまる。このことは膨大な証拠に裏付けられている。それどころか、きわめて説得力のある資料が示しているように、同類である人間を殺すのをためらう傾向は、戦争の歴史を通じて常にはっきりを現れているのである。

戦争における「人殺し」の心理学
第一部 殺人と抵抗感の存在 第1章 闘争または逃避、威嚇または降伏

たまに殺してしまうと、メチャクチャ苦しみます。
生涯を通じて、そのトラウマを負い続けることにもなりかねません。

作家のウィリアム・マンチェスターは、第二次大戦に従軍した元海兵隊員だが、接近戦において日本兵をみずから殺したあとで、後悔と恥辱にさいなまれたという。「今も思い出す。私はバカみたいに『ごめんな』とつぶやいて、それから反吐をはいた……全身が自分の反吐にまみれた。それは、子どものころから言い聞かせられてきたことへの裏切りだった」。接近戦での殺人について語るとき、マンチェスターのおののきとよく似た心理的反応を経験したという戦闘経験者は他にもいる。

戦争における「人殺し」の心理学
第二部 殺人と戦闘の心的外傷 第11章 殺人の重圧

ランボー、インディー・ジョーンズ、ルーク・スカイウォーカー、ジェームズ・ボンドの上に築かれた文化は、戦闘や殺人は平気でできると信じたがる。だれかが敵と宣言すれば、大義のため国のため、兵士は良心の呵責もなくその相手をきれいさっぱり地球上から消し去ることができると。
ほかの若者を殺すために若者を遠い国へ送りだすとき、社会はいったいどういうことをしているのか。多くの意味で、そのことを正面から向き合うのはあまりにも苦しいことなのである。

第二部 殺人と戦闘の心的外傷 第12章 盲人と象

そんなんだから、「より効率的に兵士を殺戮マシーンにする方法」をアメリカ軍は編み出したのですよ。で、WW2では15%だった発砲率が朝鮮戦争では55%、ヴェトナムでは90~95%に上昇したんですってよ……。それで生み出されたのが一緒のベッドに眠る妻の腕を無意識のうちにへし折ろうとする夫「アメリカン・スナイパー」ですね分かります。
アメリカン・スナイパー(吹替版)

でも、逆にいうと「そこまで訓練しないと人は人を殺せない」ということでもあります。
もちろん例外はあって、兵士の2%は「人殺し楽しいぜヒャッハー!」なサイコパスだったそうです。その2%がメチャクチャ殺しまくるから結果的に数字はそこそこに上がったそうで。
だって、WW2の日本兵戦死者の大半なんて実戦じゃなくて餓えで死んでるからね。多くはアメ公に撃たれたわけじゃないんだよ。補給と兵站が大切だって、大淀さんがあれほど言ってたじゃないか!
【参考】餓死(うえじに)した英霊たち

選りすぐりの兵士で2%なら、非戦闘員だとその値はもっと低いでしょう。多くの人間にとって、人を殺すのはそもそも大変難しいことなのです。

空襲(空爆)などで、一方的に攻撃を受けてもそれほど精神を病む人は出てこないんだそうです。だけど、自分が殺す側に回って、そして実際に殺してしまうと、ものすごく病む。人格が破壊されてしまう。
「接近戦では、兵士の少なくとも九八パーセントがしまいには精神的戦闘犠牲者になってしまう(第10章)」

兵士のPSTDのすざまじさは、よく知られるところです。
【参考】イラク戦争の功罪── 兵士が抱える心の闇PTSD | THE PAGE

帰還兵はなぜ自殺するのか (亜紀書房翻訳ノンフィクション・シリーズ)
デイヴィッド・フィンケル
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「へーっ、だから何?」とスルーされることなかれ。
あなたが実際に戦場に行かなかったとしても、夫が、息子が、友達が、兵士になったとしたら、そのトラウマによって人間関係が崩れてしまうかもしれないのです。
特に、帰還兵の妻は、本当に大変です。夫の心の深い傷は、時には家族へのDVの形をとりかねません。子どもに対して愛情深い父であることも難しくなる。そういう形で戦争に苦しめられている女が、世界にはたくさんいるのです。

人を殺すということは、殺した人自身の心を殺すことでもあります。
人は、人を殺してはいけないのです。

なんで人を殺しちゃいけないかって?
あなたの心を殺さないためだよ。

おまけ:ブラック企業に勤めるのは戦争に行っているようなものだ

ホームズは、戦闘の疲憊を経験した兵士の症状のリストを作った。戦闘は個々の兵士の忍耐力の在庫をたちまち使いつくしてしまい、その結果次のような状態が引き起こされる。

精神活動の全体的な減退と感情鈍麻、最悪の場合は絶対的無気力とみなされる状況に陥る。……思いやりのある将校や下士官の励ましや慰めも、このような兵士の無気力から救い出すことはできなかった。……頭の働きが鈍り、……記憶障害が著しくなり、口頭での命令を正しく伝えられなくなる。……やがて、植物状態の前段階としか形容できないような状態に陥る。……たいてい自分のタコツボの中か、あるいはその近くにいて、緊急の行動には全く加われず、たえず震えている。

(中略)
これはたんに恐怖への反応ではなく、圧倒的なストレスに対する反応なのだ。ストレスは人の意志と生命力を吸い取り、臨床的抑うつ状態にしてしまう。

戦争における「人殺し」の心理学
第二部 殺人と戦闘の心的外傷 第10章 忍耐力の井戸

これ、ブラック企業勤務あるあるじゃないですか。
ブラック労働している人は、既に戦場にいるようなものなのだ。

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2017年10月29日 | Posted in 人生:スピリチュアルブログ | タグ: , Comments Closed 

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