闇を受け入れるからこそ、光は輝く

弟の夫 : 4 (アクションコミックス)
固定概念、とらわれていませんか?でもご紹介した、マンガ「弟の夫」が完結しました。

タイトル通り、弟には夫がいる。要するにゲイの話です。
ですが、ゲイ向けマンガではありません。むしろ、万人向けです。
【参考】第1話立ち読み

もうこの最終巻、泣けました。ボロッボロに泣けました。
今心が荒んでいるって人はぜひ、「弟の夫」読んでください。ほんとおすすめです。読んだ後、少し切なくなって、その後にしみじみと心があったかくなります。そんな素敵な作品です。

これを、あの田亀源五郎先生が描いたというのに、感服させられるわけです。田亀読者だったら「あっあっ、ヤイチ君、いつ性奴隷にされてしまうんだろう兄弟どんぶりとかカナちゃんに見せつけるとかマジやめていやああああ」と、若干不安がよぎってしまったはず。

だけど、そんなことも、全く!なく、「弟の夫」は実に美しく、温かい完結を迎えました。ここにも田亀先生のプロとしての手腕と意識の高さが見えます。テーマに沿って、それをぼかしてしまうような余計なことは混ぜない。(「君の名は」でもやってたことですよね。あの映画は、新海監督の気持ち悪い成分を徹底的に脱色したわけだから)

本当に、光です。「弟の夫」は光成分100%です。
安心して万人にオススメできる作品です。

普段の田亀作品の病み(闇)っぷりからは、想像もできない出来なんです。
じゃあ「普段ってどうなんだ」という話なんですけど、かなりハードなゲイポルノです。免疫の無い方は検索しないようにしてください。
天守に棲む鬼/軍次―田亀源五郎短編集 (爆男COMICS)
表紙の時点で↑こんなかんじで。あとは察してください。

だから、この作品を見た時に田亀ファンは驚いたと思うのです。その光っぷりに。
だって、田亀先生はゲイで男体を愛しているにもかかわらず、素晴らしい男体を破壊したがるような衝動を描いていたりするわけですよ。愛しているからこそ壊したくて支配したい、という欲望。エロ・グロの世界ですよ。そんなものと、この「弟の夫」の温かさは、あまりにもかけ離れ過ぎているじゃありませんか!

だけど、この闇の深さあってこその、光なのでしょう。
闇が深い人は、光も強烈なのです。だから人を惹きつける。光だけ伸ばそうとしても輝かないし、闇だけ追求したところで魅力は出ない。光も、闇も、どちらもあるのが肝要なのです。ここは、二元性の世界だから。

私たちは普段、道徳的にふるまうように訓練されています。それが社会性というものです。暑いからって公衆の面前でパンイチになったりしません。
でも、そうやって一日の多くの時間を「真っ当」に振舞っていると、闇成分がちゃくちゃくとたまっていきます。当たり前です、光あるところには影ができるのだから。
そして、多くの人はそのたまりたまった闇成分を抑圧してしまう。もしくは、自分より弱いものに八つ当たりしたりして、発散してしまう。次の日には何もなかった顔をして「ほら、自分は真っ当ですよ!」と光(いい人)ぶる。

だけど、これって実に不健全なのです。
光だけ求めちゃダメなんです。光だって闇だって、両方あってこそ、人間なんです。
どうしても成熟社会は「光」ばかりを尊び「闇」を押しやりたがります。だけど、闇を抑圧しないで、それをじっと見つめることで、闇を受け入れることで逆説的に光もまた強くなるのです。


今回の田亀先生の「弟の夫」を読んで、この光っぷりは、今までの闇の蓄積あってこそだなと思ったのです。だからこそ、押しつけがましくなく、説教臭くもなく、ストレートにストンと心に落ちてくるのだ、と。闇を邪険に扱わないからこそ、こんなに暖かくて素敵な作品を生み出せたのだと。

優しい人こそが冷たい人だし、厳しい人こそがだらしない人だし、いい人こそが悪い人なんです。意味が分からないかもしれないけれど、この世界に存在した時点で人間は必ず二元性を持つものなのだから。
単純な「いい人」なんて、実は一人もいないのです。

良い人すぎると周りは悪い人だらけに!

あまりにも「自分は○○だ!」と何かの属性に固定して偏ってしまうと、周りの人がその逆をいってバランスを取ったりします。
【参考】すべての事象は、バランスを取るために起こっている

例えば、AV女優だった鈴木涼美氏の親は超お堅い真面目な人です。もちろん、娘がAVに出たことをけして許しませんでした。
病床の母は、娘にこう言います。

「もう少し元気になったらね、私、命が尽きるまでに、児童文学者で、女子大で保育士や幼稚園教諭を目指す娘たちに、絵本の素晴らしさを教えている立場でありながら、娘をよりによってAV嬢に育て上げてしまった、その責任について書いておかなきゃいけないと思っているの」

今ここでお伝えしたいのは「どっちが正しくてどっちが間違ってるか」ではありません。「どちらかに偏り過ぎてたら、それを是正するような現象が起こる」ということをお伝えしたく、この鈴木氏の例を挙げています。

rico-riku やまぐちりこ×やまぐちりく写真集
元AKB48のトップアイドルりなてぃんこと中西里菜も、AV女優「やまぐちりこ」になりました。続いて妹も「やまぐちりく」名義でAVに出ました。そんなAV姉妹の親は、教師です。

「障害者は不幸を作ることしかできない」と相模原障害者殺傷事件をおこした植松容疑者も、教師の子です。
教師はマトモに我が子を育てられない。なぜなら立派な教育者だから。

陰は陽を生み、陽は陰を生む。
陰が極まれば陽になり、陽が極まれば陰になる。

要するに、偏りすぎたら、どんなことだって「ゆりもどし」がくるのです。この世界はそういうものなのです。
あなたが信じている「正義」を一生懸命努力して実現しようとしても、それが偏ったものだったら揺り戻しが来て、全て無に帰すだけですよ。
【参考】「親に向かない人間」は褒め言葉!

あなたが良かれと思ってやることは、誰かの迷惑。
ポジティブなものには、必ずネガティブもセットになっています。
理想を言えば、どちらもあってバランスが取れている状態が望ましいのです。

光ばかりを尊ばないでください。闇も尊んでください。
人間の善なるところばかりを愛さないでください。弱さや愚かさも愛してください。そして、時に憎んでください。憎しみも、愛へ至るためのプロセスなのですから。

弟の夫(1) (アクションコミックス(月刊アクション))
田亀 源五郎
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2017年08月23日 | Posted in 人生:スピリチュアルブログ | タグ: , , Comments Closed 

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