人と距離を置くことが、愛と平和をもたらす


「いつも一緒(○ ⚈ ◡ ⚈ ○)」
「ずっと仲良しฅ ̳͒•ˑ̫• ̳͒ฅ♡」
こんな関係こそが、理想の人間関係だと思っている人がいます。とにかく距離をつめて近しくなればいいと思っている人がいます。

でも、そういう人は人間関係に依存しているだけ(共依存)です。
人とベッタリくっつかず、適切な距離を取れるからこそ、人間関係は必要以上の軋轢を生まず、円滑に周るものだからです。

距離があれば、憎しみは生まれない

今、殺人は血のつながった人の間でこそ起きています。殺人事件は、実に半数以上が血縁間のものです。
今日も、副知事も務めた女性キャリア官僚(56)が弟(52)に刺殺されたというニュースが入っています。
【参考】女性官僚、刺され死亡 逮捕の弟は通院歴も|日テレNEWS24

警察庁による平成26年の実態調査では、親族間殺人のうち、被害者と加害者の約8割が同居していたとのこと。
【参考】【神戸5人殺傷】増える傾向の親族間殺人 昨年は殺人事件総数の55% 「将来を悲観」や「不仲・トラブル」 – 産経WEST

いやぁーわかるわぁー。とわたしはうなりました。
私も、親と距離をとっているからこそ、穏やかに過ごせるからです。

8/12号のメルマガで、以下のように書きました。

自分の感覚を知るには、違和感を大切に」で、母を客観視して擁護するようなことを書きました。

これを読むと、私は母に対して何の恨みもなく親子関係を修復できたかのように見えるかもしれません。
が、これは逆に縁を切っているからこそできることなのです。

縁を切って、距離を置いて、もうあの人と関わらなくていい
そういう安全地帯にいるからこそ、憎しみで彩られずに済みます。

もしいま親と連絡を取り合って、同居したら、私は確実に、高齢者虐待を始めるでしょう。もう腕力では、確実に勝てます。

私が母の介護をしたら、オムツに便をした時「この忙しいのにっ!」と怒鳴って殴りつけるでしょう。乳児の私がそうされたのと、全く同じように。

「お前早く死ねよ!今すぐ首つって死ねよ!!自分が生きてていいと思ってんのかよ!?死ね!死ね!」
毎日毎日欠かさず、そんな罵声を浴びせるでしょう。
実際、最後親に会った時に、私はそう言いました。

私が今、穏やかであれて、
「あの人も、まあ、大変だったのだろう」
と想像までできるのは、縁を切っているからこそです。

もし、また連絡を取り合って縁をつないだら私は激しい憎しみのさなかに舞い戻り、最悪、殺人者になってしまうでしょう。

だから、親と縁を切るのは最大の親孝行なのです。
親と距離を置くのは、最善の手段なのです。
距離がある人間を憎むのは、かえって難しいことですから。

もし距離をとった後も、ずうっと憎み続けるというならば、それは自分の中に憎しみがあるということです。
それは、自分の問題。自分で解決していく課題。

ふるさとは遠きにありて思ふもの。
遠くにあるからこそノスタルジイに酔うことができる。
近くにあったら、大していいものなどではないのです。

「血のつながった親子なんだから、わかりあえる!!」
そんな期待を持たず、幻想にしがみつかないからこそ私は今、穏やかに毎日を過ごすことができるのです。

人間は完璧な生き物じゃないから、どーうしたって相性の悪い人間がいるものです。
そういう人にまで「みんな仲良くしなきゃ٩( ´◡` )( ´◡` )۶どんな人にだっていいところはあるんだもんッ٩(*ゝڡ◕๑)۶♡」なんて思ってると、マジで危険な殺意が芽生えてしまいます。

「どんな人とも仲良くなろう*:ஐ(●˘͈ ᵕ˘͈)人(˘͈ᵕ ˘͈●)ஐ:*」と思ってる人は、本当に脅威です。「大丈夫(๑•̀ㅂ•́)و✧話し合えばわかりあえるからっ٩(•̤̀ᵕ•̤́๑)」といってドンドンドンドン距離をつめてくるからです。お前はどこの安倍昭恵だ。おっかねえ(ブルブル)

人と距離を取ることこそが、思いやりになる場合だってあるのが、わからないのです。満員電車でギュウギュウなところに、より距離を近寄せたら、不快なだけです。人とできうる限り距離をとるのがお互いに平和をもたらす事態があるのに、多くの人が気づいてほしいものです。

親子や夫婦だからこそ、距離が必要


今の世の中は、人との距離が近づきすぎて息苦しくなりがちです。
SNSはそれを助長する最たるもの。Facebookなんて悪夢ですよ。卒業して30年たっても同中の人とつながりあうって、なんですかそれ拷問ですか?

だって、本当に馬があう人となんて、Facebookなくてもつながってるじゃろ。Facebookないとつながらない時点で、そんな関係は大抵ゴミなわけですよ。わずらわしい、いらん関係なわけですよ。だからFacebookは地獄。私は絶対にやらんぞ!
【参考】幸せな人生にFacebookはいらない!?デンマーク「幸福研究所」が発表 | TABI LABO

そして、人間関係の息苦しさを助長するのに見逃しがちなのが「今の時代は寿命が長くなっている」ということです。

カウンセラーの信田さよ子氏は逃げたい娘 諦めない母で、昔の母娘は寿命の短さゆえにそこまで苦しまずに済んだと述べています。要するに、一緒に暮らす時間が短い、と。女性なら15~20年も一緒に暮らしたら嫁に出ていた、しかも嫁に出た後は年に1年会うか会わないか、あまり生家と連絡を取るのは婚家に失礼に当たるから、母親と密接に付き合う時間は本当に短かったのだ、と。

今の時代は結婚しようがしまいが、いつまでも母親とベッタリしようと思えばできてしまう。それが余計に母娘関係を難しいものへとこじらせている、と指摘しているのです。
距離が近く、関係が長く続いてしまうからこそ、軋轢や苦しみが生まれるのです。

昔は成人した頃に、親は体調を崩したり死んでしまったりしたものでした。
夏目漱石の「こころ」でも、大学を卒業したばかりの主人公の父親は死病にかかっています。
死んでしまえば、過去は美化されるものです。ともに過ごす時間が短ければ憎しみがあったとしても、そこまで煮つまる機会自体が少なくなります。西原理恵子氏がアル中で死んだ夫を、今じゃ思い出としてきれいに描写できるように。

ずうっと相手が生きていて(心理的に)距離の近いところにいるからこそ、苦しみは倍増するのです。
そして、自分もまず死なない。何十年も生きる。
みんなが長生きしてしまう状態ならば、人との距離を近くとりすぎるのはリスキーです。昔みたいに簡単に死なないのだから。

親子だけではなく、夫婦でもそうです。

平均寿命が短かった1980年代頃までは、結婚して子育てが一段落したら夫婦のどちらか(多くの場合夫)が体を壊すなどしていたために、 夫婦二人だけで過ごす時間はそれほど長くはありませんでした。

しかし最近は子育て終了後夫婦だけで過ごす期間が長くなっていて、1927年生まれでは4年程度だったのが1968年生まれだと16年間になると試算されています。夫婦のギャップを何十年も燻らせたままに婚外恋愛に走ったり、子育てが終わった後で離婚したりといった問題はこれからますます大きくなっていくと思われます。

昔の夫婦は、ちょっと我慢すれば相手が死んでくれたりしたのです。長生きしなかったから。
子供の手が離れて4年で死んでくれるなら、まあ離婚も面倒くさいし我慢するかな。と思える奥様も多いのではないでしょうか……。

昔のお嫁さんが介護に対して「何とかなるでしょ」と楽観的であれたのも、昔の人は長生きしなかったからです。大体、寝たきりなったら3年も我慢すれば死んでくれたから。
ボケがはじまったら頭が壊れてきたっちゅうことだから、体全体も壊れていくのが当たり前。ボケたらもう長くは持たない――はずだったのに、今は医療が発達して薬漬けにして生き延びさせるから、介護が地獄になる。介護殺人が起こる。

長生きすることによって、その人と関わる年数が増える=関係が密になることで、憎しみや苦しみは増えていく。長生きって、キツイ。長寿社会ってのは、いいことばかりじゃないですね。


やはり今の世を生きていくには、いかに人と距離感を保つか(近くなりすぎないか)という意識が大切です。
「いつも一緒(○ ⚈ ◡ ⚈ ○)」「ずっと仲良しฅ ̳͒•ˑ̫• ̳͒ฅ♡」は、苦しみの元です。

距離をとってあげることこそが、相手のスペースを尊重することにつながります。それこそが、本当の愛情というものでしょう。
きちんと距離を保ってくれる人こそが、成熟した大人です。

「でも、一人じゃさびしい~…இ௰இ」という精神性の未熟なあなたには、以下の言葉を贈ります。

仲むつまじくても互いに距離をおきなさい、
そして二人のあいだに天上の風を吹かせよう。

愛し合っていても、愛で束縛してはいけない、
二人の魂の靴のあいだに波立つ海をあらしめよう。

互いのカップに注ぎあっても、一つのカップから飲まないこと、
パンを与え合っても、一塊のパンから食べないこと。
一緒に歌い踊って楽しんでも、互いを独りにしておくこと、
同じ音楽に震えるリュートの弦でさえ互いから離れているように。

愛情を与え合っても、それをしまいこまないように。
生の手だけが二人の愛情を納められるのだから。

一緒に立つときも、近くに寄りすぎないこと。
神殿の柱は離れて立っているのだから、
樫も樅も互いの日陰では育たないのだから。

カリール・ジブラン 預言者より
逃げたい娘 諦めない母
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