気づきが欲しいなら、視点を変えよう


「なんでこんなことがまかり通るの!?世の中絶対おかしいよ!」と納得がいかないことってありますよね。
なぜそんな不条理なことが起こるのか。「それを理解したいならば、帝王学を学ぼう」ということを世の中の謎を解明する方法(メルマガ読者限定記事)に書きました。

要するに、自分の視点(価値感)だけでは理解できないのです。
相手側の視点を持ってこないと、全く意味不明なのです。
陽だけでもダメだし、陰だけでもダメ。陰陽をもってして、統合は成されます。

自分と相手の視点(価値感)がいかにずれているか、というのは驚くほどです。同じ現実(現象)を見ているはずなのに、違う世界を生きているだなんてザラにあります。

上から目線と下から目線


例えば、ブラック企業の経営者と従業員。

ブラック企業の経営者は自己啓発的なポジティブポエムを垂れ流したりします。「笑顔と努力で夢は叶う!!」なんてガチで言ったりします。でも、従業員がそれに共感するかって言ったら、一部の洗脳されやすい人を除いて、表向きは賛同しているフリはしても本心では「ばかばかしい」と思っていることが多いでしょう。

だけど、経営者はその「表向き」を真に受けて「うちの従業員も毎日夢に向かってキラキラしてます!」なんて経済誌にドヤ顔でインタビュー応えちゃったりするんですよ。で、現役引退後「部下が全然連絡してこん。冷たい」とか言うんですよ。

イヤイヤ、あなたが勝手にありもしない「絆」を夢見てただけですから。「愛され力」って、大事。にも書いた通り、男社会のオラオラ文法でコミュニケーションしたところで、心なんて全っ然通じ合ってないんだよ~。オラオラしてると愛の無い人生まっしぐら!


同じ世界の住人なのに、全く違う現実を生きている。そんなもう一つの例をあげてみましょう。遊郭を生きた女性二人が見た、吉原。

吉原はこんな所でございました 廓の女たちの昭和史 (ちくま文庫)
福田 利子
筑摩書房
売り上げランキング: 229,066

こちらの本は、お茶屋の女将が書いた吉原遊郭についての本です。
非常に品が良く、下世話な男と女の世界が繰り広げられる吉原とは思えぬような筆致です。吉原とは、実に風情ある粋で情緒あふるる古き良き世界であったことが書かれています。
吉原で働く遊女たちも、理由あって売られてきた娘で、親孝行したい一心で来た子が多く、驚くほど心根のきれいな娘ばかりであったと。情の深い客の心に寄り添う娘ばかりであったと。
あゝ、吉原、素敵な世界!!

そんなことが美しい言葉でつらつらと並べられております。
これを読んだ男性は、昭和初期の吉原に一度行ってみたいものだなあ、と想いをはせることでしょう。

覚えておいてくださいね。これが、経営者側から見た視点です。
次にご紹介するのは、従業員側、遊女が書いた吉原です。

吉原花魁日記 光明に芽ぐむ日 (朝日文庫)
森 光子
朝日新聞出版
売り上げランキング: 22,157

「もう泣くまい。悲しむまい。復讐の第一歩として、人知れず日記を書こう。それは今の慰めの唯一であると共に、又彼等への復讐の宣言である――」。親の借金のために吉原へ売られた少女・光子が綴った、花魁・春駒として日々、そして脱出までの真実の記録。

この内容紹介だけでもう、十分お察しですよね。
吉原は女性の苦界と言われたその理由が、春駒日記と併せて、よーーーっくわかる一冊です。

吉原は情の細やかな優しい娘ばかり!? ざっけんな! 今の嬢と変わんねーよ!人気ある子は妬まれるし売れない子はバカにされるし、ギッスギスドロドロの女社会だわい!ニコニコしてんのはうわっつらだけだっつーの!! 客も客で女を心ある同じ人間とは思ってない扱いだし最悪!!

この本で、特に私がぞおっとしたのが性病(花柳病)にかかったときの扱いです。
当時はコンドームなんてありませんし、遊女が性病にかかるのは珍しいことではなかったようです。なんども性病にかかったり堕胎を繰り返すので、年季明けの遊女は多くが不妊の身になっていたそう。もちろん、最悪の場合は病が元で死に至ります。
それくらい、春をひさぐのは肉体的に過酷なことだったのです。

この作者は歌人・柳原白蓮の元に逃げ込み、吉原を脱出することができました。
脱走した遊女は警察に連行されて当たり前の世の中です。そして連れ戻されたら、罰としてひどい暴行を受けるのは目に見えている。それなのに、危険を冒してまで、抜け出したのです。

先ほどのお上品極まりないおステキな情緒あふるる男の楽園・吉原を描写した吉原はこんな所でございましたと比べてみてください。どちらも、同年代に同じ世界を生きていた女の証言です。それなのに、立場が違うとここまで心象風景は変わるのです。

視点を変えることで見えてくるもの


普段自分が見ている視点(価値観)ではどうしても理解できない、ブレイクスルーできない、行き詰る。そういった時には、パラダイム・シフトが必要になります。自分の視点だけじゃダメなのです。

別にあなたの価値観が間違っているというわけではありません。そうじゃなくて、別の視点で見てみないと、見えないものがあるのです。飛行機で行く旅と、電車の旅では、風景の印象が全く違って見えるように。

株式会社トリノの代表取締役 村井愛子さんは仕事が出来る人と出来ない人の決定的な違いは「想像力」と「体系的思考」といいます。
読書によって、一つの世界で多層的な読み方をできるようにできれば、顧客視点に立てる想像力も養われると。

体系的思考を養うにはどうしたら良いのでしょうか?それには、物語を読むことが一番です。しかも、1度だけではなく何回も読める物語が一番です。例を挙げると、ドフトエフスキーやトルストイといったロシア文豪の小説、日本の作家でいうと村上春樹氏の小説、アメリカの現代作家なども良いかもしれません。逆にミステリー等はおすすめしません。なぜなら、ミステリー小説は一つの筋を追う内容であって、多重構造になっていないからです。

花恋つらね (1) (ディアプラス・コミックス)花恋つらね(2) (ディアプラス・コミックス)

多様な視点を養うのに、同士・腐女子な皆様へ私がオススメしたいのは「BL多層読み」です。
一つの作品をまずは攻視点で読んで、次に受視点で読んで、最後は第三者(天の声)視点で読むのです。心理描写が受け中心で行われている作品だったら、攻の気持ちを想像して「ハハ、なんだコイツこんなこと思ってのか、カワイイなァ」と気持ち悪くニヤニヤするのです。

攻キャラも受キャラも「自分」に取り込むのです。どっちか好きなほうだけじゃなく。理解できなかったり好きじゃないキャラでも、とりあえずなりきってみるのです。

自分の中に攻視点も受視点も持つ。まあ、なんだ、結局リバ最高!!って話なんですけど。
【参考】【BL】男性性と女性性の統合とリバ

そうすると「そうだったのかー!」っていう気付きが訪れます。知らなかった世界が見えてきたりします。苦手なタイプの人間の不可思議な行動が、腑に落ちて腹が立たなくなったりします。腐に堕ちるだけに。


って、今、多分、腐女子以外の方は超置いてきぼりになってますよね。なので、もちょっと間口の広い題材で行きますね。

セラピーの手法として、「出さない手紙を書く」というものがあります。
例えば、父親に対してトラウマのある人が、「傷つけられて辛かった」と父親に出さない手紙を書きます。実際に出すわけではないので、安心して気持ちを吐き出していいのです。

そして、次に「お父さんからの返事」を書きます。自分で。
ここで「ええー!?書けないよー!あの人何考えてるか全くわからないもの!」ってなりがちなんですけど、書いてみると、意外とかけるんですよ。父親視点で。そして、気づけるんです。「そうか、そういうことだったんだ!お父さんはこういう気持ちだったのかも!」と。

その気付きが本当かどうかなんてどうでもいいんです。相手に確認して裏を取る必要もない。ジャーナリズムや訴訟じゃないんですから。
大切なのは、事実かどうかではない。それで癒しが起こるということが、大事なんです。

ジョン・グレイの本でだからあなたは今でもひとりという、これまたケンカ売ってるとしか思えないひどいタイトルの本があります。
だけど、この本の中に書いてある、過去の失恋の傷を癒すための手紙によるセラピーは秀逸です。失恋相手を親に置き換えればインナーチャイルドケアにも使えます。どこが特に優れているかというと、初心者でもとっつきやすいように誘導してくれる(何をどういう風に書けばいいか細かく指定してくれる)ところです。
気になる方はタイトルに負けず、ぜひぜひ手に取ってみてください。ほんとこれ、タイトル酷いわー。内容いいのに。

角田光代の対岸の彼女のような、「立場の違う登場人物が出てくる」お話も、別視点を持つためのトレーニングにはいいですよ。

対岸の彼女 (文春文庫)

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全く普段の自分の生活からはかけ離れているような人間に、感情移入してみる、なりきってみるのです。自分が演劇役者になった気分で「次の舞台でこの人の役をやらねばならないの!」と思って読んでみるのです。
新しく物語を読むのが億劫な人は、手持ちのもので十分です。電子書籍派なら青空文庫でもいい。ホコリを被った国語の教科書でもいい。もう源氏物語読んどこうぜ。イケメンリア充ごっこしよ(笑)

そうやって、別視点を取り込む訓練をすれば、相当コミュ力がつきます。不条理だと思っていた理不尽が、相手の立場的ならば正当な理由があることが見えてきたりします。幅広い共感力が養われるからです。「相手の欲しい言葉」がわかるようになります。逆に、相手に迷惑している場合も、対策が立てやすくなります。

相手に乗り移って、別の人生を体験する


このことをオカルト的に表現するなら「対象に憑依する」んです。相手に乗り移って、相手の目で物を見るんです。
そうすると「ガチ左翼だったムッソリーニがなんで右に振り切っちゃってファシストになったのか」が、見えてくるようになるのです。
【参考】「人と深くつながりたい」というあなたへ

創作でもそうです。
私がBL小説を書くときは、男になって書いています。あの「出したくて出したくてしょうがない生き物」に憑依しているのです。
そうすると、自分の目線から見た時には「無口で暗いコミュ障=友達になりたくないタイプ」の綾波レイや長門有希が、なぜオタク男の目には魅力的に映るのかが理解できるようになります。艦これの鹿島ちゃんが「有明の女王」と呼ばれる所以がわかるようになります。「出したい」と。
艦隊これくしょん -艦これ-  鹿島 iPhoneカバー/5・5s・SE用

女視点だと、相手(男)に求めることは「分かり合えること」です。でも、男視点で世界を見ると、相手(女)に求めるのは「自分を受け入れてくれること」です。別に心なんて割とどうでもいいのです。自分の存在を受け入れてくれさえすれば。
銀河鉄道999のメーテルみたいな、何考えてるかわからないミステリアスな女が好ましく思われるのもここです。相手の気持ちが理解できなくても別にいい(こんな自分を受け入れてくれさえすれば)。そもそもが通じ合いたい(通じあえる)と思ってないんです。

そしてここらへんが結婚後の女の大きな絶望となります。「相手を理解したいというモチベーションが無い」「もう自分は相手のことを十分知っているので、わざわざ情報をアップデートする必要はない」という態度は、女からすると決定的な愛情の欠落に映るから。

だから奥さんに「今期アニメで一番何が好き?」とか「春イベの備蓄どう?」とか聞く(相手の情報をアップデートしようとする姿勢を見せる)ことが何よりの愛情表現になるわけであるが、男の文法からするとそのあたりは大抵スポンと抜けている。なんかスゴイことしないと(例:高級なアクセサリーをプレゼントする・海外旅行に連れて行く・花束を渡して愛していると囁く)手柄にならないと思っている。

いいか。嫁に必ず今期アニメ何が一推しか聞け。「今何に沼っているのか」「今一番の推しキャラ」を小一時間相手に語らせろ。それだけで夫婦は円満じゃ。オタクであることは素晴らしいのう。

性欲のベクトルが変わると確実に人格は変わります。
だから男は大変。今の世を生きるなら女の肉体のほうが絶対いい。

ザ・ゲーム ──4イヤーズ

実はコインの表と裏なだけで、自分もその相手と同じ要素を持っていたりもするものです。ニール・ストラウスがザ・ゲーム ──4イヤーズで恋愛回避型と恋愛依存型と、いろんな人が両面を持ち合わせることを見せていたように。
すなわち、「追われると逃げたくなり、逃げられると追いたくなる」というあの不毛な「ゲーム」のことです。気がつかないと、いつまでも立場を入れ替えて同じ傷つけ合いのダンスが続くばかりなのです。自分の目線だけでは、気づけない。

自分視点だけだと、どうしても行き詰ります。
上から目線も下から目線も必要なのです。片方だけではなく、両方を理解しておいたほうが良いのです。
そうすることで、気づき、ブレイクスルーが訪れます。

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