「愛され力」って、大事。

女性誌にある「愛され○○!」って、正直やりすぎだと思います。
だけど、人から愛される力は、実はものすごく大切なものです。
なぜなら、年老いた時に「人から愛される力があるかないか」は、その人の生活の幸福度を大きく左右するからです。

尊敬されることよりも、愛されること

私たちは、年老いたら弱ります。当たり前の摂理です。
若いうちに突然死でもしない限り、誰にでも弱る時が来ます。
(だから不謹慎ではあるけれど、突然死した人はある意味幸せかもしれない)

ブッダは「生病老死」を生きていくうえで避けられない四苦といいました。若いうちに何らかの原因で死なない限り、私たちはこのうちの老苦と必ず対面することになります。医療の発達で若くして亡くなる人が減ったからこそ、皮肉にも誰もが老いの苦しみを背負わねばならなくなったのです。

この老いた時に重要な能力が「愛される力」です。
「カワイイおじいちゃん、おばあちゃん」になることです。カワイイはどこまで行っても大正義!!

「いや、自分は尊敬される矍鑠とした老人になりたいのだっ!」と夢見ている方がいらっしゃるかもしれませんが、それは若い肉体を持っているからこその幻想です。老いたら簡単に屁はこくし、尿道のしまりが悪くて失禁しちゃうし、脳が衰えたせいで我慢が効かなくなり簡単にキレてしまいます。ハッキリ言って、若者に尊敬されるような老人になれる人なんて1万人に1人くらいでしょう。多分あなたには無理です。

弱者は愛されることで生き延びていきます。
弱者たる老人は、若者から尊敬されることよりも愛されることが非常に重要なのです。

けして良いことだとは言えませんが、絶滅危惧種の野生動物すら「見た目が愛らしいかどうか」で、保護の優先度が変わってしまうのです。
【参考】かわいい動物は救われる? 人間が選ぶ保護種は見た目が優先|地球ニュース
愛される資質は、老いた時にとても大事。

愛され力を奪う「男社会」


とまあ、ここまで読んで今までさんざん愛され力の研究をしてきた人ならば「若かろうが年を取ろうが、やること同じじゃない」と思われたかもしれません。

そうなんです。
女性的なコミュニティで女性性をふんだんに使って生きてきた人は、歳をとっても実はそんなに困りません。なぜならそういう女性的なコミュニティ(女社会)では、困ったことがあったら言うのが当たり前だし、助けを求めないのは「水臭い、早く言ってくれればよかったのに!」と思われるだけですから。
弱った時に「助けて」というのは、けして恥ずかしいことではなく、当たり前のことなのです。

でも、男社会ではそうなりません。
弱みを見せるのは恥ずべきこと。困っているときも自分ひとりで解決してこそ、一人前と評価されます。
この性質が、老いた男性を深刻なまでの孤独におとしめます。わかりやすく「老害」になってしまうのです。

老人ホームで一番嫌われる人は、社会的に成功した男性。普通に考えたら逆に尊敬されそうなものなのに、見事に嫌われてしまうのです。

老人ホーム経営している友人の話によると「元社長の名刺を持つ老人はだいたいつまらない人で老人ホームでは人気がない」と言うのです。

それはそうでしょう。老人ホームではもう昇進する必要もなければ金儲けをする必要もないので、大企業の元トップであろうか元外交官であろうが、話し難くてユーモアのない人には誰も用はありません。

こういう人は、実は現役世代の時点で家族から嫌われています。だって、妻を「自分の下にいる人間」と部下扱いし、「男は仕事をやっていればいいのだ!」と子育てにも無関心ですから。
人を上から抑えつけるスキルはあっても、愛されるスキルが無いのです。

男社会にいると、どうしても「ナメられてはいけない」と肩ひじ張って生きねばなりません。相手にできうる限り「下」に見られないよう、時に虚勢すら張らねば自分のポジションが守れません。

防衛大学OB・現役幹部海上自衛官は、このように話します。

「そもそも、いじめに遭うのは動作が緩慢な者か、やたらと正論を吐く理屈っぽい者が多い。自衛隊のような戦闘組織は命令一下、たとえ理不尽な命令でも率先して動かなければならない。動作が緩慢な者はいざというときに組織の足を引っ張る。海外からの侵略や震災などの有事の際は、『何が正しいか』を議論している間に、事態が深刻化することもある。本人の考え方を自衛官らしく矯正し、もし向いていないと判断するならば、別の進路を考えさせることも防大同窓の役目だ」

おほーっ(白目)
あっ、白目むいてる場合じゃありませんね。
上の例は極端かもしれませんが、多くの組織は似たようなロジックで回っています。特に古い体質の大企業は。
学校で「いじめはいけません!」なんて言ったところで、企業に就職したら厳然たる上下社会。世渡りのヘタな「下」は余裕でいじめられますぜ。

要するに、男社会に入ると人から愛されない資質をモリモリ仕込まれるのです。そうしないと、そこ(男社会)では生き残れないという。
自動的に「女子供と心を通わせるなんて、しゃらくせえ!」って話になるんです。

だけど、そうすると老人になった時点で詰む。
権力の無くなったあなたに、誰も見向きはしない。

支配する快感に溺れてはいけない


ここまで読んで「そうよー!男ってばだからダメなのよねー!」なんて、他人事として見ていた女性もいるかもしれません。だけど、これは男だけじゃなくて、「男社会に慣れきった人間」なら誰でもはまりうる落とし穴なのですよ。女だって男社会のオラオラなやり方を「正解!」って思ってたら、孤独まっしぐらです。
「育ててもらったくせに親に逆らうな!」って強権発動してたら、いざ老後の面倒見てもらおうって思っても、その前に子どもから捨てられますよ。

もちろん、心を硬くして乗り切らなければならない時があるのはわかります。そうしなければ生きていけない世界もあります。
だけど、それが正しくて当たり前だと思ってしまったら、あなたは愛の無い人生に転落することでしょう。あなたが軽蔑するあの団塊の「老害」どものように。

オラオラで弱者を黙らせられると思ってたら、のちのち手痛いしっぺ返しを食らうことになります。誰かを支配する快感に溺れたら、あなたは誰からも必要とされない人間となります。足腰の弱った時に。

ここは二元性の世界です。
男性らしさだけを追求する者は、女性的な要素の欠乏によってバランスを崩します(もちろん逆も然り。だから女性性に偏りすぎる専業主婦はイカン!と何度も申し上げております)。

「仕事で名をあげ社会に貢献する!これぞ男子の一生なり!」
そんな風に思っていたら、あなたは確実に若者から白い目で見られる、鼻つまみ者の老害になりますよ。
年を取ってからじゃ、いきなり愛され力は身に付きません。今から愛されるスキルを磨いておくべきです。端的に言うなら「妻子(部下)に愛される力」です。

あなただって、ほぼ確実に、弱者になる時が来るのだから。

男というのは、どこまで鈍感な生き物なのだろう。世の熟年夫たちは、「夫婦は古いほど味が出る」と無邪気に考えている。(中略)たいていの夫は、家族の幻想、夫婦の幻想を墓場まで引きずっていく。相手の真意を知ろうともしないから、妻が途中で変わってしまったのだと思いこむ。しかし、年老いてから捨てられて泣くのは、夫のほう。

最期のときを見つめて (ターシャ・テューダーの言葉 最終章)
私は↑ターシャのようなおばあさんになりたいです。

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