男と女の間には深くて暗い川が流れておるのじゃ…

結婚失格 (講談社文庫)

枡野浩二さんの「結婚失格」を読んでいます。
漫画家・南Q太さんとの離婚のいきさつが書かれた私小説です。

「なぜ俺を捨てる? 俺が何か悪いことをしたというのだろうか? 頼むから子どもにだけは会わせてほしい」
という悲痛な叫びが、つらつらと書かれている本です。

ちなみに枡野さん、結局12年後の今に至るまで息子さんとは面会できていないそうで。詳しくは→精力もお金も潔さもなく毎朝しぼむ四十七歳 – messy

私は妻、南Q太さんが枡野さんと離婚後再婚した三番目の夫との生活を綴った「今日も夫婦やってます」も読んだことがあります。

今日も夫婦やってます
今日も夫婦やってます

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南 Q太
筑摩書房
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いやぁーーー……。
なんか、本当に、「いやぁー…」と
意味の無い言葉で唸って、黙ってしまう感じです。

枡野さんは、多分、正しい。
できうる限りいい夫であろうとしたのだと思う。
他者(妻や子)にとっていい夫であったかどうかはまた別。という視点がスッポリ抜けているだけで。

「正しくて心のまっすぐな男性が、なぜ女性から邪険にされてしまうのか」

この命題を見るにつけ、かの「恋愛工学(女とヤるためのナンパテクニック)」は確かに必要とされてしまうのだろうな、とため息が出ます。
【参考】チャラ男の闇は、深い…

最近、とある男性から、このようなお誘いをいただきました。
「今度一緒に和装でシチズン・フォーを観に行きましょう!
 映画のあとは和風カフェでお茶でもしましょう!
 いや、考えただけでもドキドキしちゃいますね!
 楽しみにしてます!」

この誘いは「正しい」です。
私はエドワード・スノーデンが大好きで、シチズン・フォーも是非観たいと思っています。この男性も私も、着物が好きです。

これは実に、私の好みにマッチした、100%完璧なるデートの提案です。
男性にとっては「考えただけでドキドキしちゃ」うような。

ですが。
私にとってこの男性は「仲間内で会う分には楽しい人」、もっと言うと「3か月~半年に一度会う分には楽しいけど、あんまいっぱい一緒にいると疲れる人」でもあります。
1カ月にいっぺん会えと言われたら、ちょっとストレスです。二人きりで半日みっちり会えと言われたら、正直きついです。

いるでしょう? そういう距離感の人って。
盆と正月に顔合わせるだけなら「まあいい人だよね」と思えるけど、同居しろって言われたら「絶対無理!」って親戚、みたいな。

そういう人から、「正しい」ことを言われても「あなたと映画を観たくないし二人で会いたくもないです」と、理不尽かつ残酷な断りを入れなくてはならなくなるのです。

正しいことを言ってるのに。
すなわち、女のニーズをくんで、女の望むことを提案してくれているのに。

じゃあ、まっすぐで真っ当な男の一部は
「それじゃ女の言うこと聞くより恋愛工学(ナンパテク)を使って簡単に股開かせてりゃいいじゃねえか!」となるかもしれない。
だって、恋愛工学を駆使すれば「ドキドキ」というスリル(トキメキ)を人為的に操作して起こすことができるから、別に女のニーズにそこまで沿わなくってもメソッドに乗るトキメキが大事★な恋愛体質()女はペロッと釣れちゃうから。

ああ……恋愛工学を単純に糾弾できないのがキツイ。だって、真っ当な直球じゃ、多くの女は食いつかんのだもの。相手が打ちやすいように外角高めの絶好球投げてあげたところでバッターボックスに入ってくれなきゃゲーム(関係)すら始まらん。そして女はゲームをする気すらないわけで。ならズルくてもテクニック使ってどうにか食いつかせるしかないでしょう。

恋愛市場が不毛地帯になるわけだは。
男と女のズレをどうにかする(ズレがなくなったかのように錯覚させる)には、もう恋愛工学しかないのか!?
【参考】賢い人は、脱恋愛★脱結婚!
【参考】日本人はもうセックスしなくなるのかもしれない

根拠なく自信満々な男たち

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私が非常に不思議なのが、枡野さんに限らず世の男が「俺は妻(女)から愛されてる・好かれている」という根拠のない自信にあふれていることです。

香と速水が愛読していた岡田斗司夫の『フロン―結婚生活・19の絶対法則』には、離婚というものはたいていの夫にとっては「寝耳に水」なのだと書いてある。妻のほうは少しずつ「あんたを嫌いになっちゃうけど、構わないの?」というサインを出しているのだが、夫のほうはそんなサインには気づかないものだ……と。

枡野さんは自分のことを良い夫・父だと思っていて、離婚を言い渡されたのは青天の霹靂だったそうです。熟年離婚された団塊の世代のジイサンと似た感想を言っています。
男は何だってあんなに「自分は愛されるに足る存在である」「自分は必要とされている夫(父)である」「自分は妻(女)から受け入れられている」と思い込んでいるのでしょう? 多分、そう思い込まないと生きていけないのでしょうけれども。

私に誘いをかけてきた男性にしてもそうです。
彼はいや、考えただけでもドキドキしちゃいますね!と、私がデートをOKするに決まっていると疑っていない様子でした。私が「うれしいっ!私もドキドキしちゃいます★」と頬を赤らめ笑顔で応えるに違いないと心の底から信じ込んでいる様子でした。
意味が分かりません。なぜ自分がそんなに好かれてると思っているのでしょう?? 私はただ「3か月にいっぺん会う程度に仲良くしたい人」に社交用の笑顔で接していただけなのに。おいら姫条まどかタイプだから友好にはすぐなるけど好き状態にはなかなかならないよー。

さて、男の「原因不明の自信」の例は枚挙にいとまがありません。
学生時代の友達は、彼氏に半年音信不通になられて次の彼氏を作りました。
「こんなに連絡をくれないってことは、私たちはもう終わったんだな…って」
私は彼女の選択を当然のものと受け止めました。長い交際ではあったものの、半年も連絡が途絶える男性とのお付き合いを続けるのは難しいでしょう。

ですが、その男性は1年後ひょっこり中国から帰ってきて彼女が他の男と付き合っているのを見て大ショック。
「アイツだけは俺のこと待っててくれると思ったのに」
はああああああああああ!!?です。イミフすぎます。1年音信不通な男を待ってるだなんて瀬里ちゃんだけだよ。

でも、音信不通男はありあまる自信で思っていたらしいのです。「アイツは多少(注:1年)連絡しなくったって、俺についてくる!アイツには俺のことしか見えてない!」と。

男、自信ありすぎやろ。なんでそこまで女に好かれてると思っとるねん。いや、好かれていると思い込みたいのか?
ユリウス・カエサル曰く「人は自分の見たいものしか見ない」。ああ、何たる真理……。
多分彼らは、21世紀の今でも名画「ひまわり」の世界で生きているんだろうナ。

すこしずつ、ずれていく心

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南Q太さんは、多分、枡野さんのすっごい小さな色々に、ちょっとずつちょっとずつ心を削られていったのではないかと想像します。あくまでも一例ですが「歯磨き粉のキャップを使用後いつも閉めない」みたいな。これ、たまに泊りに来る友達がやる分には全然気にならないけど、一緒に住んでる人間に毎日やられるとイライラすんぞ。「また!閉めてよッ!」ってヒステリックにキイキイ言いたくなる。トイレの便座を上げたままにされるのも同じく。
でもその「ちょっと」は例に挙げたように、言語化したらあまりにもバカバカしい。大体「そんなこと気にするなよー」レベル。
だから、言葉に出して不快感を伝えてみたところで多分、枡野さんのほうが「正しい」。

そんな小さなことにこだわる人間が悪い
そんなことくらい大人なんだから我慢するか流すべき。
みたいになっちゃってたんじゃないのかなぁ~、と勝手に想像するのです。

枡野さんは何度でもケンカしてぶつかり合って何度でも仲直りすればいいと思っていて、妻はケンカするのに疲れてしまったという記述からしても、多分ケンカしても枡野さんは「理論的に正しい」がゆえに強者だったんだろうなと。

そして、自分は正しいから「俺、何か間違ってる?」と確認すると妻はグウと黙ってしまう。
で、追い詰められた側は、ある日爆発して「離婚だーっ!」となってしまう。(うーん、これって男女逆パターンでもありそうだ)

いやはや、まあ、とにかく結婚とは本当に難儀なものですわ。
だって、両者とも別に罪を犯すような明確な悪はないのに、ちょっとずつかみ合わなくなっていって、結果的に一緒にいるのが辛くなってしまうのだもの。

結婚は幸せになるためにするものではない!
妥協と忍耐のための試練でありますっ!!
結婚生活を続けていくには、一にも二にも忍耐、でありますなぁ~。

結婚失格 (講談社文庫)
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枡野 浩一
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2016年07月07日 | Posted in 恋愛・結婚:スピリチュアルブログ | タグ: , , , Comments Closed 

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