支配的な男を作り出す母親たち

最近、「男の人って、本当に女が怖いのだなあ」ということを、ひしひしと理解できるようになりました。
怖いからこそ威圧的になるし、支配しようとする。
その恐怖はどこから来るのか?

母親です。

謝られたって、トラウマは癒えない

秋葉原事件 加藤智大の軌跡を読んで、この点を深く考えさせられました。

秋葉原事件 加藤智大の軌跡 (朝日文庫)

この本を手に取ったのは、「母がしんどい」の著者、田房永子さんのWebエッセイ(親が子どもに謝ること)がきっかけです。

加藤智大被告の母親はかなりの毒親だったようです。
そして、それを見て見ぬふりをしていた父親も、立派な毒親だといえるでしょう。
加藤被告の弟は、事件後に自殺しています。

加藤被告も、その弟も、他者を殺してしまったり自分を殺してしまったり、悲惨な結果を生み出してしまいました。
それは実に、母親の支配のトラウマです。
実際に加藤被告も法廷で母親の虐待の影響を語っているし、自殺した弟も、生前「俺がこうなったのは母さんのせいだ」と言っていました。(ちなみに弟は、高校中退で引きこもりになっていました)

母親の支配って、非常に深いトラウマを植えつけるのです。
加藤被告の母親は自殺未遂をした被告に「ごめんね、私の育て方が悪かった」と謝罪して加藤被告を抱きしめました。
でも、ご存知のとおりその後、加藤被告は無差別殺人事件を起こしてしまうのです。

大きくなってから「私が悪かった」じゃ、遅いんです。
「謝ればすむなら、警察はいらない」じゃないですけれど、そもそも子供を産む前にちゃんと精神的に成熟していないと、取り返しがつかない傷を負わせてしまうのです。

男の自分は「汚い」

決定版 感じない男 (ちくま文庫)

大阪府立大学・森岡正博教授の感じない男は、実に目からウロコの一冊でした。

男性の根深い自己否定・劣等感について、私たち女性は、普段なかなかふれられない。
なぜなら、男性はそもそも感情表現が下手くそな人が多いし(加藤被告もそうでした)、弱いところをできうる限りかくして強がろうとする人が多いからです。

森岡氏も、自分の内面を語るに非常にしんどい思いをしたようです。
それでもこの本を上梓なさるということは、強い信念のある証。「真に勇気のある男」とはこういう人のことを言うのでしょう。

その森岡氏も、母親との関係によるトラウマについて語っています。
現実の母親と決別した後も、自分の内面の整理がつかず、苦しんできた事実を明かしています。

この感じない男で、印象的だったのは、ポルノについて語っていたときの話。「ポルノはなぜ女の体ばかり映して、男は映さないのか」という話題になったときのこと。
そのことに対して、とある男性が
「だって、男の体は汚いじゃないですか!」
と言ったのです。その発言になぞらえて、森岡氏は男性は自分が汚いと思っている心理について分析しています。

そう、男は自分の体が汚いと思っているのです。
この言及によって、私も「男は汚い」と無意識に思っている自分に気がつきました。

例えば、「女子寮に遊びに行く」となったら、別に何の抵抗もないと思うんです。
「○○ちゃんのとこ遊びに言ってくる~♪」程度で、何の心配もしない。
でも、「男子寮に遊びに行く」となると、まず「靴ぬいでも大丈夫?(靴下が真っ黒になりそう…)」「くさそう……」と思います。正直、あんま、行きたくない。男子校も以下同文。

例えば、60代の女性グループの中に入っていって、談笑するとする。
「ちょっとうるさいかもなー。オバチャンパワー怖いなー」くらいのことは思います。でも、生理的に云々は無い。
だけど、60代の男性グループの中に入っていけって言われたら、その瞬間「ウッ」っとなります。くさそう。

nomi

そう、男の人って、男くさいじゃないですか。
もうあの時点で寄りたくない。

たまーに、100人に一人くらい「いい匂い(体臭)!」って人がいて、それは遺伝子的に自分と合っている型(この人と子供を作ったら遺伝子的に優れている)という人なんですよね。

でも99%の男性が、くさい。正直、寄りたくない。
森岡氏も、自分の体から立ち上る男くさい体臭に辟易した経験を書かれています。

このあたり、本当に無意識に「当たり前」に思っていたので、言われてはじめて気づいて目からうろこでした。
この点において、私もかなり無神経です。

それにしても、「いるだけでクサイ」って思われるって、相当なダメージじゃないでしょうか。
女性はそんなことはまず言われません。10日も風呂に入ってなくて垢だらけでもない限りは、そんな扱いも受けないでしょう。

でも、男はいるだけで臭いんです。
Overアラフォーともなると、加齢臭で近くで話すのもキッツくなってきます。年配の男性とヒソヒソ話とかしなきゃならないのは軽く拷問です。

って、本当に大変だよ男! かわいそうに!
「いるだけで俺臭い」とか、どれだけ劣等感を持たなきゃならないんだろう。
男性の自殺率が高いのも、なんかすごいわかる気がしてきました。。。

支配的な男は、女が怖い

couple06
私は今まで、男性から支配的に振舞われて嫌な思いをすることがたびたびありました。
女性には意志があって心がある(生身の人間である)という事実を、綺麗にスルーして「俺のことは全部受け止めてくれるんだろう」前提で、私に関わってくるのです。
しかも、相手はそういう振るまいに対して悪気がなかったりします。

例えば、とある経営者の方は、私に一生懸命こう言いました。
「俺はな、もう朝立ちはしない。
 だけどテクはある!テクはあるんだ!大丈夫!絶対イカせてやるから!」

この言葉をわかりやすく翻訳すると
「俺は女を満足させられる男だ。
 だから、お前は俺とセックスをすべきである。むしろしたいだろう!な!」

ポカーン……(゚ω゚;)です。
意味不明です。
あの、一応補足しておきますが、私、この方とお付き合いはしておりませんよ。

それで「いやー、ちょっとセクハラは困りますねー」とやんわり受け流したら
「いや!セクハラじゃないから! それ、セクハラって思ってるだけ!!」

……………………(゚ω゚;)

あの、セクハラって、被害者側がセクハラって思った時点でセクハラなんですけれども。それがセクハラ定義の大原則なんですけれども。

要するに、「俺がこうだと言ったらお前はそれに従うのだ」って前提で物事言ってくるんですね。
ちょっと意味がわからないですよね。

でも、この二冊を読んだあとだと、そんな支配的な男性の心理が理解できるようになってきました。
多くの男性はびっくりするほど、劣等感と自己否定で余裕が無いのです。
そして、「自分が優位に立っていないとバカにされる」という恐怖で、がんじがらめになっちゃっているのです。

だから意味不明なことをする。
そして女性から嫌われる。
なので、地位や権力やお金(もしくは何らかのパワー)を振りかざさないと、女と対峙できない。

悪循環なんです。

その根っこに何があるのかといったら、母親の支配です。
放置される無関心であったり、「あなたのためを思って言っているのよ!」という過干渉であったり。

女にとっての母親も非常に重たい存在になりえますが、男にとってはそれ以上かもしれません。
独裁者や支配者の生い立ちを見てみると、大抵母親との軋轢(もしくは過剰な癒着)が見えます。
【参考記事】悪人は、真に悪なのか?

母性というオブラートに包まれた支配が、実は世の中の支配の根本かもしれません。
母になるということは、一人の人生をつぶす犯罪にもなりうる。
この事実を、重く受け止めなくてはなりません。

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