時流を、自分を、映し出す創作

「ほのぼの話」「明るい絵」の裏にあるもの

最近Pixivを見ていてとみに感じることがあります。

それは、
みんな、ほのぼの癒し系大好きだな
ということ。

キャラにネコミミがついてネコ化したり、三頭身くらいのちびキャラになって「カワイイー」と愛でられる漫画なんてのは、たいていのジャンルで見かけます。
キャラ同士のほのぼのとした掛け合いを描いたものもかなり人気があります。

最近のこの「何これ癒される」「何これかわいい」「天使しかいない」の盛況ぶりを見ていると、今の時代を感じます。
「みんな、現実辛いんだな…」と。

イラストのトーン自体も、非常に光源(ライト)が強いものが流行っている印象があります。
画面が黒くないんです。肌も髪も真っ白。明るいんです。
私がオタクヒーリング内で今まで描いたイラストの中では、↓のラブライブのものが一番そのテイストに近いでしょうか。
love_live

とにかく画面が明るいな、と思います。主線すら薄くして(もしくはぼかして)ハッキリさせないのが流行しているようです。反射光をガンガン入れるテクニックもよく見ます。

それを見ていても、感じるのです。
「みんな、現実辛いんだな…」と。

太宰治は、プライベートが幸せなときには暗い話を書いて、不幸なときは明るい話を書いたそうです。
一般的に見ても、不景気のときは明るい話が流行って、景気のいいときは暗い話が流行る傾向があります。

バブルの頃のドラマとか見てみてください。超ドロッドロですから。
人死にまくって吉田栄作が叫んでますから。同情するなら金をくれですから。
でも今は「倍返しだ!」で正義が勝って、カワイ子ちゃんがじぇじぇじぇなんです。

世相が超暗いから、現実逃避したいから、とにかく明るくてスッキリしてほのぼので癒されるものが流行る。
二次創作界隈でもそうだってことでしょう。

たとえば、7月から2期がはじまるFree!
makoto
一番人気のキャラは、↑橘真琴くん。
ほのぼの~とした癒し系キャラです。
見てるだけで癒されます。彼が画面にいるだけで癒されます。

この子が一番人気になるっていうのも、今だからこそだと思うのです。
25年前だったら「まこちゃんはイイヒトだからね~。毒が無いっていうか、ちょっと男らしさが足りない!」なんて、トサカ頭のボディコンイケイケギャルに言われてしまうでしょう。

多分その頃にやってたら、一番人気は凛だと思います。
実際、凛ちゃんファンは年齢層が高めに見えます。

Free!はPixivはじめ二次創作界隈でも、ほのぼのかわいらしい創作が多く見られます。癒されます。
特徴的だなと思うのは、江ちゃんと凛ちゃんの兄妹にまつわるもの。
この二人の漫画やイラストは、結構人気があります。

大体どれも、ほのぼのなんです。
「あーお兄ちゃん、妹かわいくってしょうがないんだなー!」とか
「もう、江ちゃんってば天然ブラコンでかわいー!」とか
見てるだけでこっちがニコニコ幸せになれるような創作が多いんですね。

これって、実に「今的」だなと。
ほんの10年前ですら「乙女的恋革命★ラブレボ!!」で兄妹の関係は結構背徳的だったのに、今の凛江はあっさりすっきりほのぼのになっている。罪悪感もスリルも無い。

ringou

実はFree!1期の最終話、私もうメッチャ切れたんですよ。怜に対して。
「んな扱いされて何ヘラヘラしてんだよ! 悔しくないのかよ!!
 お前競泳ナメてんのか? スポーツナメてんのか?
 本気でやってきたんだったら、怒れよ!!」って。

体育会系の部活やってた人はわかると思いますが、地区大会まで出るって大変なことなんですよ。
ちゃんと練習しなきゃなんないんですよ。

私は小学校と大学で競泳やってきたので、その練習がいかにハードかは身に染みてわかります。(ちなみに中学はテニス、高校は弓道やってました。ずーっと体育会系です!)
怜だってスンゴイ努力したはずなんですよ、ああいう性格だから余計がんばってたはずなんですよ。

なのに、「来年は僕のバッタを」でいいのかよ!!
これまでの努力を水の泡にされていいのかよ!!!
良くない!!!!(主に私が)

ですが、その最終話の反応、私の目に付いたのは「怜ちゃんすごいイイ子!」「怜ちゃんに感動した!」「怜ちゃん癒された!!」だったんですよね。
うん…なんか、そういう空気なんだなって。
積み重ねてきた努力が水の泡になっても、ほのぼの波風立てなくて空気読んで「何これ癒される」「怜ちゃん天使」ってのを求めているのだなって。

だとしたら、その裏にあるのは、「傷つきたくない」という強い想いなのではないか。傷つきたくないあまり「人とぶつかるくらいなら自分の気持ちは抑える」とイイコになっちゃってるんじゃないか。
そう邪推してしまうのです。
もしそうだとしたら、自己欺瞞の代償は大きいですよ。
【参考】「好きなこと」が見つからないなら、怒れ

BL創作が現す世相

woman21

腐女子も変わったな、と思う出来事がありました。
進撃の巨人で、エルヴィンが腕を巨人に食われてしまった後の反応です。

絶愛(BRONZE)とか炎の蜃気楼とかのノリでいくと、エルヴィンの右腕が無くなったことに、一定の人はめっちゃ萌えていたと思うんですよ。
不謹慎ではありますが、そういう嗜好の人を昔はそれなりに見かけました。

ですが、進撃のエルヴィンの腕の損傷に関しては、ほとんどスルー(現代パロとか、巨中エルリおいしいですとか、転生ネタでハッピーエンドとか)、スルーしてなくてもリヴァイが暖かくサポートする心温まる話とか、そういう反応が多かった。

「欠損萌えー!手羽先ぺろぺろ」「こうなったからには一緒に堕ちていこう」「お前の流れ落ちる赤い血を俺の血でうんたらかんたら」みたいな人は、ほとんど見なかったんです。
20年前だったら、一人くらいはリヴァイが右腕を自分で切り落としてエルヴィンに差し出す話を書いていたはずだ。(私が見ていないだけで、誰か書いているかもしれないけれど)

昔のJuneも、そういう空気が好まれました。誰か彼か最後死んで終わることが多いイメージでした。「ホモは死ななきゃならないって決まりでもあんのか!」って勢いで死んでたんですよ。
ドラマ「同窓会」でも、ゲイボーイの嵐は最終話で死んでました。

でも、今死にネタになんてめったに当たりません。
多分、これからも死にネタはそんなに増えないでしょう。今は死が身近だから。創作でまで死ななくていい。

今述べてきた変化は、実に精神性の進化といっても良いのではないか、とすら感じました。
今の腐女子の作り出すものはおおむね病んでいない。
病んでたとしても、昔の腐女子のヤバさに比べたら軽いです。
(個人的には、昔のシリアス耽美なJune系よりも今のライトでポップなBLが好きです。時代の変化がうれしいです)

もうひとつ、ここ20年くらいのBLの変遷を見ていて思うのが
「女性蔑視表現の減少」です。

それこそJune世代以前だと、商業同人問わず、女を見下すことによって受けを辱める表現が結構あったんです。
「女のような声を上げやがって」とか「女みたいな格好をして」とか。

それが、最近はほとんど見ない。
たまに見ても、大抵お年を召した方の作だったりする。

これって、実に大きいと思います。
女性性を肯定できているということだから。
女としての自分にコンプレックスがある層が、かなり減ってきたのだろうなと。

だからこそ、最近はリバも増えてきたのでしょう。
リバ嗜好と女性性については【BL】男性性と女性性の統合とリバに詳しく書きましたので、そちらをご覧ください。

創作状況で、時代や自分自身をリーディング

woman_using_computer
私も自分を癒すために創作をしていました。
【参考】人のためにすること、自分のためにすること

私の作る物語は、たいていほのぼのしててラブラブで最後はハッピーエンドでした。
さかんに創作をしていた頃は辛かったのです。
自己肯定ができず、深く傷ついていたのです。

太宰治と同じで、不幸なときに明るい話を作っていたのです。私にとって創作はセルフヒーリングでした。

私が最も好きな!BL作家さんの描くお話は、本当に心があったかくなって、優しくて素敵な人ばかり出てくるんです。
「どうしてこんなに心に染み入るような暖かい人間を描けるんだろう?」と思って、彼女のブログを読んだら、理由がわかりました。

そのBL作家さんは、父親が相当なろくでなしで、幼い頃には親戚に預けられたりして苦労をなさっていたんです。
「そういえば最近、父が生きていることを20年ぶりに知りました。が、別に会いたいとも思いませんでした。死んでいたとしても何の感情も動かないです」ということを書かれていたのです。

それで、すごく納得しました。
「ああ、人間のもっとも暖かい心を表現できる人は、最も人間の冷たいところを見てきた人なんだ」と。
仲良し家族でほのぼのスクスク育ってきたお嬢ちゃんに、あんなに暖かくて人の心を動かす素敵な話が作れるはずもない。だって、飢えてないもの。人の心の暖かさに。

飢えないとパッションは沸き起こらない。
パッションがないと、わざわざ「表現しよう!」とまで思わないでしょう。
だって、文にしろ絵にしろ音楽にしろ、「創る」って莫大なエネルギーを要しますから。(それが趣味レベルであってすら)

「エロゲのシナリオは、童貞のほうがいいものを上げてくる」という話を聞いたことがあります。
現実にはセックスから遠のいている人のほうがエロイものが書けるというのは、実に真理なのかもしれません。
時に創作で作り出せるものは、自分から一番遠いものだったりもするからです。

もう少し人の心が明るくなったら、イラストもお話も暗くなるでしょう。
どちらが良い悪いではなく、忠実に時流を映し出すフィルタとして(創作をされる方なら自分自身を映し出す鏡として)、実に優秀です。

商業ベースのもの、特に一般ウケするようなものは、今のリアルタイムでの流れを見るのに便利です。
でもそれはあくまでもリアルタイム、今現在。これからの流れを見る参考にはなりません。遅すぎます。

二次創作やニッチな分野は、これからくる流れを読むのに役立ちます。
なぜなら、二次創作は編集や出版社等の思惑が入らない(要するに、売れ線を狙わない)ものがほとんどなので、より、一人一人のハートに正直であるからです。
人のあるがままのエネルギーが乗りやすいのがアマチュアの創作(同人、二次創作)なのです。だから、私は同人や二次創作の傾向を重視します。

イラスト募集

オタクヒーリングの記事にイラストを描いてみませんか?
採用された方には、スピリチュアルカウンセリング30分を提供いたします。

「何のジャンルでどんなキャラのイラストがほしいか」などの詳細は、無料メルマガでその都度お伝えします。
応募希望の方は、無料メルマガをご覧ください。

2014年06月18日 | Posted in オタク ヒーリング | タグ: , , , Comments Closed 

関連記事